プロローグ8
あけましておめでとうございます。今年も皇国転移をよろしくお願いします。
今回の話は短いです。おまけに転移までいきません。
それと、かなり実験的なことをやっています。(時間を惜しんだだけともいう)
『…なるほど、わかった。友人の危機だ、可能な限り支援することを約束しよう。それでは近いうちにまた会おう』
「で、だ。どうしたらいいと思う?」
「ひとまず在日米軍は避難させるよりほかありません」
「そうだな、しかし韓国からの撤退が決定的になっている今、日本も失うというのは痛すぎる」
「西太平洋地域のパワーバランスに破滅的な影響が出かねません。オーストラリアの基地機能の強化と、東南アジア地域へのさらなる展開が必要でしょう。日本が設置する予定だった東南アジアのいくつかの基地をそのまま引き継ぐ形で交渉を進めつつ、当該国との関係を強化する必要があります」
「やはり安全保障的には日本の存在の重要性は半端ではないな…」
「産業面でも影響は避けられません。スマートフォンやIoT化の進んだ各種工業製品の部品などには日本製がとても多いですからね」
「とはいえこれは悪いことばかりでもありますまい。高い技術力が要求される分野で日本がなくなれば、欧州に勢いのない今我々のライバル足りえるのはまだノウハウの不足が否めない中国だけですから、我が国の工業の復活の起爆剤とすることもできるでしょう。いやむしろ、日本の消失による悪影響を帳消しにするためにもなんとしてもそうしなければなりません」
「欧州も中国も考えることは同じだろうがな」
「どこも状況は似たようなものですからな」
「ことの是非はどうあれグローバル化は確かに成功していたというわけだ」
「さて話は変わるが日本が求めてきた支援だ。軍事と航空とIT産業方面の技術提供や食料および軍需物資の援助だが…どのような形でどこまで応え、何を対価とすべきと思う?」
「まずF-35のライセンス生産ですが…」
「外はえらい騒がしいな」
「仕方ありますまい。わが民族の宿願の一つが叶ったといっても過言ではありませんからな」
「あんな島国、どうでもよかろうに」
「我々も『転移』とやらに巻き込まれることはないでしょうか?」
「大丈夫だろう、我らが半島は大陸とつながっているのだから」
「しかしまぁ巻き込まれないとしても喜んでばかりも居れません。日本がなくなればそこにいる米軍が止まり木を求めて移動します。当然、我々への干渉が強くなるでしょう」
「所得主導の経済政策を信じない財閥の傀儡どもがデマで勢いづいているというのに面倒な…米帝は経済支援などを餌に財閥どもを傀儡としてくるに違いありません。まだ経済政策の効果が出ていない今、次の選挙は苦しくなりますぞ」
「だが逆に言えばこれを退けることができたならば、この北東アジアから米帝を追い出すことができるというわけだ。これは好機でもあるぞ、ふふふ…」
「さて大変なことになったわね」
「産業的には好都合とも不都合とも言えますね。我が国とかの国は得意とする分野が被るところがありますから。雇用の改善、ひいては国内の安定にも繋がるでしょう」
「自動車産業には福音になるかしらね」
「ある程度は。炭素繊維の輸入などは難しくなりますので、全部が全部いい方に向かうとも言えませんが、不正問題で大きなダメージを負った我が国自動車産業の復活の大きな手助けとなるでしょう。米中も同じ考えでしょうが」
「まだまだその辺に負けるほどこの国の工業力は落ちぶれちゃいないわよ」
(…そうだろうか?かなり危機的状況にあるように思うが)
「とはいえ、どこも国家主義的になりつつある今、曲がりなりにも自由貿易主義の巨頭が消えるのは痛いわね…」
「ええ、各国の孤立主義は一層加速するでしょう。EU内の引き締めを図らねばなりません」
「そうね。それじゃ…」
『…中国人民党の報道官は、太平洋への警戒を強めるとともに、日本への支援の用意があることを発表しました。ロシアのイワノフ大統領は、択捉島へさらなる部隊の展開を行うとしており、警戒を強める構えです。…速報です。高半総理は先程、田町沙門衆議院議員を国土転移災害対策担当大臣に任命しました。…』
本当は前回の話に加えるか、次の話にまとめてやるつもりの部分だったのですが、「年内」と言ってしまった手前さっさと出してしまったほうがいいなと思いまして…
次の話で今度こそ転移までいってプロローグが終わります。