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「……………………。」
また、ここに来た。
前回は変なぶよぶよに包まれて強制的に連れてこられたこの部屋、この扉の前。
しかし、今回は違う。素敵なメイド服を見に纏い、自分の足で、自分の意思でここにきた。
「私はここにいるから」
そういってエメさんはドアをノックする。どうやら一緒に部屋の中までは入ってくれないらしい。
深く息をすって、大きな扉を開く。あの仏頂面の金髪少女に聞きたいことを全部聞く。それと私の名前はさらだと伝える。
「し、失礼します。」
昨日と同じく、金髪少女は大きな椅子に座っていた。
「よーこそ、新入メイド」
赤い目と目が合う。眼光は鋭く、獣のようだ。
「あ、の、レオンさんから、私に用事があると」
緊張で言葉が上手く出てこない。
「そーですね。用事があるのはアマヤの方ではないですが。」
アマヤ。それがこの"お嬢様"の名前……。
「……どういうことですか?」
用事があるのは自分の方じゃない。ではなぜ、私を呼んだの……?
「聞きたいことが山ほどあると思ったから。」
椅子の脇に置いてあった皿から小さいピンク色のお菓子を口にしながら、アマヤは言い放った。
私がアマヤに聞きたいことがたくさんあるのを知っていたから、解消の場を設けてくれた……?確かに、聞きたいことは文字通り山ほどある。けれど、なぜ昨日はまともに取り合ってくれなかったのに?
理解が追いつかない私を他所に、アマヤは何かを頬張りながらこちらを見つめている。
このまま待たせるのも、よくない。折角向こうから機会を設けてくれたのだから、乗らないと。
「えっと」
「はい」
「今食べてるものは何ですか?」
「金平糖です。あげねーですよ。」
「なんで質問の機会をくれたんですか?」
「早いうちに解消した方が、アマヤとしても色々と都合がいいからです」
「アマヤ、様?はそれが名前なんですか?」
「そーですよ。天の鵺で天鵺なのです」
どうしよう、いざ聞こうと思っても本当に聞きたいことが出てこない……!くだらない質問ばかりしていると天鵺"お嬢様"も痺れを切らしてしまうだろう……。早く本当に聞きたいことを聞いて私!
「聞きたいことはいじょーですか」
もう痺れを切らした……!
「あっいえ、その、まだ」
「ここがどこなのかとか、これからどうしたらいいかとかは聞かねーんですか?」
どう聞こうか悩んでいるうちに本当に聞きたいことを言われてしまった。
「えっと、はい……お願いします」
今回は、まともな答えが期待できるかもしれない。
今回は2話連続投稿でした。小説の書き方を完全に忘れている……。しばらく拙い文章になるかと思いますがお付き合いお願いしますm(_ _)m
ちなみに天鵺お嬢様のフルネームは八月一日 天鵺です。難読ゥ!