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長い廊下にぺたぺた、コツコツ、という音だけが響く。隣を歩く整った顔立ちのメイドに聞きたいことは山ほどあったが、余りにも多すぎて何から聞いたら良いかわからずにいた。何から聞こうか考えているうちに、廊下の終わりが見えてきていた。
廊下の行き止まりには、お嬢様と呼ばれた金髪の少女がいた部屋の扉より大分小さな木の扉があった。
「レオン、入るよ」
エメさんは私の周りのぶよぶよを消しながら、扉を押す。
中に入ると、そこには目が回るほど沢山の服があった。フリルのたくさん付いたワンピース、カジュアルなスカート、シンプルながらも気品のある帽子……。色とりどりの空間は見る者を圧倒する、なんというか、素敵な場所だった。
素敵な空間の中央には、かなり年季の入ったミシンが2つ並んでいた。そしてその隣に、一人の青年が立っていた。
「エメ!おかえり!」
青年はこちらに気が付くと真っ先にエメさんにキラキラとした笑顔を向け、駆け寄ってきた。ポメラニアンみたいな人だ……。
「この人はレオン。私とここでドレスメーカーをやっている雑用の一人です。」
大好きオーラ全開の青年……レオンさんを余所に、エメさんは親切に紹介をしてくれた。紹介を受けたレオンさんと目が合ったため、互いによろしく、と簡潔に挨拶を交した。
「じゃあ突然だけどガバッと脱いでもらえる?」
_______は?会って数秒で何をほざいているんだろうこの人は。
「あー……。レオンは頭が悪いというか話すのが下手であんな言い方しかできないだけだから……。さっき採寸をして貴女用の服を繕うと言ったでしょう?そういうことです。」
そういうことか……突然脱げとかいうから吃驚した……。
ドレスメーカーというと、たぶん衣装を縫う人のことだと思う。ああ、だから私用の服を繕うとかなんとかいっていたのか。……ふと、疑問が浮かぶ。
「ところで、どんな服を作るんですか?別に今服には困ってないんですけど……。」
既に道具を近くに揃え、採寸を始めていた2人に問いかける。私用の服を作ってくれるとは聞いたものの、どんな服を何の為にかは聞いていなかった。
ドレスメーカーの2人は、せっせと仕事をしながら質問に答える。
「言いませんでしたか?メイド服です。メイドがメイド服を着るのは当然でしょう?」
メイド服。
「今メイドがメイド服を着るって言いました?私メイドじゃないんですけどなんとなく察したんですけどそういうこと?」
「あれ、お嬢様から聞いてない?何も?」
「なんにも聞いてないです、漂流者かーって言われたくらいですね。」
「そっかー。お嬢様は気まぐれだから……。まあいいや、僕から話しておくね。君は今日からこのお屋敷のメイドさんです!」
なんなのだろう……。なんと言うか、普通にムカつく。大事な話を気分でやめるあの金髪少女も、ひとの不幸を明るく報告するこのドレスメーカーも。なんなんだろう。こう、言いようのない、
「ああああああああ!!」
この感情。
めちゃくちゃ間が開きました。この先も気まぐれ投稿しかしないつもりなので数ヵ月くらい経ってからそういえばあれどうなったかなー?くらいの気持ちでふらっと覗く感じでいて下されば嬉しいです……。
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今回もキャラ紹介します!毎回恒例にしようかなこれ!
レオン…ドレスメーカーの青年。高身長で甘いマスクをもった美形。ただし頭が悪い。エメと同じカールの茶髪をしている。短髪。