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外伝話 勇者視点3

本日2話目の分です。


後書きの方に今後の更新について書いております。

 太陽の位置から言うと、ちょうど昼あたりだろう。

 レールン王国領土内の草原を武装した集団が歩いていた。人数は400人ほど。もしかすればそれより少ないかもしれない。遠目から見たら軍隊のように見えるだろうが、実際は軍ではない。

 かと言って、この世界には無数にいる冒険者でもない。


 遠目から見れば全員大人に見えるが、近づくと分かる。

 50代60代の大人が10人ほどいるが、大半の者はまだ20歳にもなっていない。そしてこの世界では見ることのない顔付きをしている。日本人だ。


 本来はレールン王国の王都にいるはずの彼らが、まるで王都から離れるかのように何もない草原を歩いているのには訳がある。

 それは数週間前にさかのぼる。






「本当にいいですね?」

「ええ。全員覚悟の上です」


レールン王国の王都にある城。そこの大広間で先生を含む、460名の日本人が女王と向かい合っていた。

 日本人側の先頭に立っているのは学生であり、この世界で唯一の勇者でもある小林修太(こばやしゆうた)。そしてその1歩後ろに立っている女子生徒が池本綾香(いけもとあやか)である。


 別に2人とも付き合っている訳ではない。かといって友達でもない。言うならば、友達以上恋人未満のような存在。


「もう1度言いますが、出ていったら私は何も出来ませんし、何もしません。加えてあなた方の命を奪いに行くかもしれませんよ? それでもですか?」

「はい」


 話にも合った通り、日本人はレールン王国を出ていこうとしている。

 だがこの世界にいる多くの人はこれだけ聞いても理由が分からないだろう。


 この世界にとって日本人は貴重な存在。というのも基本的に戦闘職で、尚且つスキルがいい物揃い。何より勇者がいる。

 だが日本人は戦闘慣れしていない。簡単に死んでしまうような存在と思っている。

 そんな日本人が王都という安全な場所を離れようとしているのだ。


 離れようとしている理由。それはとても簡単。

 レールン王国がアルール王国と戦争をしようとしている。それに日本人か参加させられそうになったことを小林修太が知った。


 小林修太はそれを先生に相談し、参加したくない者は王都を出ることを決断。もちろんこの世界に慣れてきているためか、はたまたゲーム感覚なのか、少ない人数ではあるが戦争に参加しようとしている者もいた。


だが多くの者が逃げようとしているのは確か。それを知った、女王は提案をしてきた。

『別に王都を離れてもいい。ただし、何があっても知らない。そして王都を出ていった貴方たちは私の敵でもある。死ぬ覚悟はしていなさい』

 もちろんそれを聞いた生徒の中には女王側についた者もいる。


 それでも少しでも多くの者を救いたいと思っていた小林は説得を繰り返す。全員で生きて帰ろうと。


 そのため王都を離れる生徒と職員の数は460名。この世界に来た人数は誤差はあるものの少なくとも550名ほど。日本人であることから考えると、離れようとしている者はかなり少ない。もちろんそれ以前に王都を離れたものもいるが、それでも100名が戦争に参加することになる。


「そうですか。意志は固いようですね。それでは王都から出ていきなさい」


 興味を失ったのか、無表情でそういう女王の声は氷のように冷たい。女王を守るように周囲にいる兵士たちがこの場にいる日本人に向ける視線も、冷たいものだった。


「それでは失礼します」


 だが小林は気にしないかのように王広間を出ていった。それに続くように池本が大広間を出ていき、他の日本人も大広間を後にした。






 だが、全員覚悟の上。そんな言葉を後悔する者もいた。

 草原を歩いているまるで小学校の遠足の時の先導する先生や他の生徒も同じ。


 というのも、王都を出てから連日ほとんど歩きっぱなしだからだ。


 人数が人数のため、街には入らない。入るだけでお金を取られるので、余分な出費を出さないため。

 また、人数分の宿を探すのも一苦労ということもあり、野宿が基本となる。


 野宿でも別の問題がどうしても出てくる。そのうちの1つが風呂に関して。

 最初は生活魔法の中にある魔法を使って体を綺麗にしていたが、どうしても限界はある。そのため話し合った結果、魔法をいくつか使って簡易の風呂を作ることとなった。魔法で土を露天風呂のような形にしてお湯をはる方法だ。


 道中にある街に関してだが、全然入らないと言うことはない。街に入ったとしても1度に20人ほどが入る。


 街に入る目的は、道中出てきた魔物の魔石や皮をギルドに寄って売却し、その売却したお金で日用品や保存が効く食料を買う。ただそれでも出費の方が多く、すでに底が見え始めている。


 ただ、悪いことだけではない。

 本来は出てくるであろう盗賊も魔物も、人数の多さに恐れをなしてか、出てくる気配がない。そのため時々数人が森の中に入って魔物を狩る。そうして手に入れたものを街で売ると言うことだ。


 それでも途中で離脱する者があとを絶たない。生徒の命を預かる職員としては、できれば防ぎたいがどうにもなっていない。

 そのため残っている生徒だけでも守ろうと、職員は弱音を吐かずに生徒を引率するように付いて行っている状態だ。






 そしてようやく、王都から出発して数週間が過ぎ国境が見えてきた。

 アルール王国とレールン王国の国境のように、木の柵でバリケードを作って囲んだ簡易的な町。もはや村と言ってもいい規模の集まり。それでも国境であることには変わりなく、皆大いに喜んだ。


 さすがに全員寝泊まりできるほどの宿はないので、体調がすぐれない者を優先。そのほかの人達は野宿となった。それでも安心したのか、皆ぐっすり眠る。


 丸1日休みを取り、再び出発。そしてその3日後に街が見えてきた。




 ヘルネ聖王国。

 それがレールン王国の隣国の名前であり、レールン王国から避難してきた日本人達が入った国の名前。


 国境にある町を除くと、国のなかで1番レールン王国に近い場所にある街に日本人達は到着した。

 街にはダンジョンが存在すると言うことで、一攫千金を狙う冒険者たちで毎日が賑わっている。


 そのような街で迫りくる魔王討伐戦へ向け、レベルアップであったり技術の向上をするために留まることとなった。


 だが全員がこの町に留まることはない。

 ある者は自分の望みを手に入れるため、ある者は更なる世界を見るために、別の地方へと向かって進んで行く。


 それでも職員と生徒合わせて300人を超す大人数が街に残った。

 ただ何かあれば困るので、彼らはクランと呼ばれる集団を作った。学校関係者のみで作られたクランだ。


 彼らは基本的に、日々の生活費のためであったり、技術やレベルアップのためにダンジョンに潜っている。


 もちろん全員が潜るわけではない。ある者は人々の病気を格安の値段で治し、ある者は便利な道具を開発し街で販売。

 またある者は、後世の歴史書に乗ることとなった大きな出来事にて、とある人物と肩を並べて立ち向かうなど、人々のためにいくつものことを成し遂げた。


 そのような数多くのことを成し遂げた集団として、これまた後世の歴史書に乗ることとなったのだが、別の機会にでもお話ししよう。

いつも『非戦闘職で異世界冒険 ~鍛冶師が弱いとだれが決めた?~』をお読みいただきありがとうございます。


毎週楽しみにしてくださっている方々には申し訳ございませんが、今回の投稿を持ちまして、一時的に連載を休止させていただきます。

期間は半年から1年を予定しております。


詳しくは活動報告の方に記載させていただきます。

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