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ダンジョンと10層のボス

自分の中での問題の戦闘シーンが来てしまいました。場合によっては書き換えを行うかもしれません。


2018/03/22

団長との会話を少し変更しました

前に変更しましたが、その時にきちんと保存ができていなかったようです。すみません

 翌日、ついにダンジョンに潜るなった。

 ダンジョンに潜る組は朝食をとった後に場内の訓練場へ1度集まり、すぐに迷宮まで移動するらしい。ちょうど俺が一緒に訓練を受けていた同じクラスの奴らと一緒だ。


 大半の者が驚いていたが、俺は無視しておく。上手いこと行けば明日には王都を出ていけるので関わらなくてもいい。



 今日ダンジョンへ潜る組の集合が確認されると、団長を含む騎士団20名近くがダンジョンの入口まで誘導。

 そして騎士団の人から注意事項を説明されたあと革製の胸当てなどの装備とポーションが渡された。


 同じ組だった奴らが騎士団の人達とダンジョンの入り口から入っていく。


 俺には追加で昼飯と、もしもの時に備え転移結晶が支給された。


 転移結晶は、登録したダンジョンの階層の入り口に一度だけ戻れる消費アイテムらしい。今回の転移結晶は、入口の近くに転移されるように設定されているとのこと。

 俺は受け取ると、ダンジョンに入ろうとする。


「待ちなさい」


 そんなとき誰かに止められた。止めた本人はイスバーン団長だ。

 見れば団長を含む5名の騎士団が残っている。


「レイ君。君の事なんだが、団員が護衛として4名ついていく。もちろんひとりで攻略するつもりであることは知っているので、手出しはしないつもりだ。ただし、危なくなった時に手を出したり道を教えたりはする」

「4名は多いです」

「なっ! 多いだと!?」


 俺の言葉に団長は驚く。

 本当は俺1人がいいが、多分それは団長が許さない。仕方ないな。


「本来は俺1人がいいのですが、道もわからないですし、危ないので護衛は適当に1人選んでください」

「おいおい! 護衛1人はさすがに危なすぎるぞ!」

「大丈夫です。10層までの魔物は弱いので」


 弱いと言っても、油断はできない。それが魔物だ。本で確認したが、ゴブリンだから大丈夫。そんな考えでダンジョンに挑んだため、命を落とした人は多いと書かれていた。


「確かに弱いが……。だが、慣れない奴が接近戦をするのは――」

「接近戦はしません。遠距武器を使うので。」

「武器ということは弓矢か銃か?」

「はい。銃を使います。と言っても走りっぱなしだと思うのであまり使いません」

「いや、銃と言っても、命中率はすごく悪いぞ。そのうえ装填に時間がかかりすぎる」


 俺の言ったことに対し、団長は困惑したように言う。

 無理もない。火縄銃は装填に時間がかかりすぎるので、その前に敵に攻撃される可能性がある。それは分かっている。

 しかし俺が使う銃は、火縄銃より先の時代に作られた銃であり、比べ物にならないものだ。


「大丈夫です。作戦はあります。その作戦に護衛が邪魔になります」

「なめられては困る。我々は騎士団だ。日々過酷な訓練をしてきているからお前の様な初心者に敵わないことなどない。そんなことをいうのなら10層のボスを1人で倒せるのか?」

「1人で倒せると思いますが――」


 俺はそこで言葉を止める。

 倒せると言った時に、誰から見ても明らかなほど団長の顔が憤慨したものになったのだ。


 なぜ俺は護衛が多いのが嫌かというと、俺の作った銃を見た後に取り上げ立てるのを恐れた。そして銃の仕組みを理解されたら、同じものを作られるかもしれない。それは嫌だ。

 そう思う俺だが、地球で生きていた過去の人達の知識を真似しているのは俺であることには触れない。


 話は戻すが、俺から銃を取り上げた中から同じ物を作られ、それを同じ学校の奴に使われるのはもっと嫌だ。さらにこの銃を作れるのは俺ただ1人だけだろうから、それを理由に王都に縛られることが考えられる。


 しかし、団長を怒らせると面倒くさそうだったので、俺は予定を変更することにした。


「わかりました。では護衛4人お願いします。ただし、ついてこられないようなら置いていきます。」

「ああ。わかった。気をつけろよ」


 その後、団長と俺はダンジョンに潜った後のことについて地図を見ながら話し合った。団員はすでに10層までのマップは頭の中に入っているようなので話には加わらなかった。


 話した内容は、ルートの確認や休憩をとる場所の確認がメイン。

 ルートについては、最も早く10層にたどり着くことができるものを選ぶ。教えてもらったルートを使えば、夕食の時間ごろにはつきそうだった。


 休憩の場所は、安全地帯と呼ばれる場所。ここなら魔物が沸いたり、入ってきたりしないらしい。そこまでのルートの確認も行う。


 その他にもいろいろと話し合ったあと、俺は名前だけの護衛4人とダンジョンに入った。だがダンジョンに入るなり、考えもしていなかった問題が発生したのだった……




「なぜこうなった……」


 俺はあきれていた。

 攻略を開始して2時間はたっただろうか。詳しい時間がわからない。現在は4層。階層はかなり浅いため敵は弱い。


 出てくるのはゴブリン。ゴブリンと言ってもこん棒を持って殴ってくる奴らだけではない。驚くべきことに、魔法を使う者も紛れ込んでいた。ただ相手が魔法を撃つ前に倒すので、本当に魔法を使おうとしているのかは怪しいが。


 銃を使っているのでハイペースで進むことができた。この調子だったら今日中に10層のボスは行けると思っていた。

 しかし、思いもしなかった問題に直面していた。


「た、隊長め! ……この恨みは、帰ったら絶対……返す。ゲホゲホ……」

「おい……隊長がいない……からって……それは言うな、ゼエゼエ……」

「こんなの……訓練で……しないだろ……」

「くそ……帰りたい……」


 そう、護衛4人がバテていた。それもそのはず。護衛対象の俺は皮装備にリボルバー。そのほかの荷物はすべてインベントリ。

 対する護衛は体力はあるが、ミスリルのフル装備に剣、さらにはポーションなどの荷物。もちろんインベントリという便利なものを持っていないので、すべて手持ち。重量に違いがありすぎる。ミスリルは軽いといわれるが、全身フル装備になると話は違ってくる。


 もちろん普通に歩いていては、こんなにバテない。しかし2時間近く走っていたら、さすがの騎士団でも無理だ。例え身体強化の付与魔法があっても。


 付与魔法は魔法使いの人が護衛の人にかけていたため俺にもかけてもらった。普段の2割増しの力が出せたと思う。そのため1層から高速で攻略できた。

 敵は遠距離から一方的に撃ち、魔石を回収。


 魔物は、死ぬと煙のようになって消え、代わりにその場に魔石を落とす。

 時々、魔石以外のアイテムも落として消えたこともあった。回収方法は、近づいたときに少しかがむように走って、手を触れた瞬間にインベントリにしまった。

 そのため取り逃しはあったものの、目的は10層ボスの討伐なので問題はない。そしてここまでかなりのスピードで進めた。


 もちろん銃での攻撃は、騎士団の人から見えないように行った。銃の形だけで異世界の銃であることがバレる恐れがあった。だが音だけならば、いくら騎士団の人でも異世界の銃であるということを判断できないはず。

 もちろん音でバレなかったとしても、射撃間隔で気付かれる恐れがあったので、ある程度間隔をあけて撃った。


 潜り始めて最初の敵が前方から出てきた時、騎士団は止まりかけたが、俺はわずかにスピードを緩めただけで、射撃するとすぐさま走り始めた。その時に空いた距離を騎士団が詰めようとしたが、なかなか縮まらない。


 距離が縮まったのは付与魔法が切れた際、再付与してもらうため一時的に止まった時だ。

 もちろん、寄与されたらすぐに走り出した。そのため騎士団の人はほとんど休憩なし。


 さすがに俺もそれを何回か繰り返していたが疲れたため、こうして休憩をしている。

 もちろんリボルバーはインベントリにしまっている。


「お前どうしてそんなに体力あるんだよ」

「身体強化の魔法があるため」

「そんなわけないだろう!」


 体力が回復した人が尋ねてきたので、素っ気なく適当に返答する。別の人が突っ込みを入れてくるが、答えなくてもいいと思ったので無視する。

 というより、身体強化の魔法のおかげでかなり楽をした。


 もちろん感謝などしていない。使える奴は使っていくのが今の俺の考えだ。


「俺は準備できたので行きましょうか」

「うっ……待ってくれ……せめて後3分」


 体力が回復した俺は出発の合図をするが、まだ回復していない人が出発を後らせるように言ってきた。呆れて息を付いてしまった。

 仕方がないので、1人でいくことにした。というよりその方が銃を撃つタイミングを考えなくていい。


「では置いていくので後で来てください。幸いマップは貰っているので道には迷いません」

「……仕方ない。分かった。だが、ボス戦はさすがに待っていろよ!」

「遅かったら置いていきます。できるだけ早く来てください」


 俺は答えると、付与魔法をかけてもらってから駈けだした。一刻も早く地上に戻るためだ。




 残念ながら駆け出してそうそう敵に遭遇する。1層から19層までは、固有魔法を使う魔物はいない。出てくるのは20層から。そのため19層までは簡単に倒せる。

 現在、遭遇している魔物はゴブリン。例え、装備が剣だとしても簡単に倒せる。


 はずだ……




「ギャー!」


 またゴブリンか。オークはまだいないのか?

 頭の隅で考えつつ、走るスピードを緩めて銃を構える。そのまま引き金を引いてあっという間に敵を倒す。魔石は走りながら回収した。


 薄暗い中を走りながら俺は考えた。何度こんなことをしただろうか。もちろん考え事をしている暇などない。早く王都から出ていくという考えを現実にするためには。



 それから、何体か倒しながら少し走っていると下への階段が見つかる。潜ってからここまで2時間半。階段を下りながら次に備えてリロードをしておく。相変わらずスピードローラーは便利だ。


 もちろん薬莢はインベントリにしまっている。インベントリを空中に開けて、そこに向かって薬莢をシリンダーから出している。


 そうこうしているとついに5層に到達。

 降りてすぐに敵に遭遇。ここでようやくオークが登場。大きさは2メートルほど。ゴブリンは1メートルほどだろうか。ゴブリンと同じく、頭を撃って瞬殺してしまう。


 始めて倒した敵なので、魔石はインベントリにしまわずに拾って見る。

 オークだけあって、魔石はゴブリンよりはわずかに良質なもの。


 と言っても本当に少しの差なので、初めて見た人なら気付くか気づかない程度。

 魔石を回収し、走りだそうとしたところでもうもう1体来ていることに気が付く。その場で銃を構えて撃つ。


 しかし、トリガーが動かない。どうやらこのタイミングで壊れてしまったようだ。


「チッ! ここでこれかよ!」


 そんなことで動揺して止まっておくわけにはいかず。すぐさまインベントリから短剣を出すと、教えてもらった通りに構える。

 単発銃を使わなかったのは、修正途中と言うことで動作不良を起こすかもしれないからだ。


 そうしている間にもゴブリンは走ってくる。スピードはやや速く、ちょこまかと動くので予想が付きにくい。そうこうしている間に間が縮む。ゴブリンが木の棒を振り下ろしてきたので、横に飛びのき一気に横を駆け抜ける。


 その際剣道でいう「胴」を決める。しかし階層が1階より深い所のためか、ゴブリンは倒れなかった。まだ何とか立っており、もう一度攻撃を仕掛けてこようと体制を立てなおす。


 ここで立て直されると面倒になると思ったもで、すぐ再度攻撃を仕掛ける。

 幸い立て直される前に倒しきることができた。


 かなり危なかった。過去の俺が剣を入れていたので助かった。

 しかし剣で倒す練習もしておかないと、こういう時にいつかやられそうだ。


 魔石を回収しながら今後の行動について考える。明日には王都を出るため、今後は自己流で剣術を磨くしかない。




 その後、少し進んだところの1本道のところで立ち止まり、壁際にある光を利用しながら銃の修理に入る。1本道なら周りの様子をうかがいながらの修理はしなくていいからだ。


 故障の原因はバネが壊れていたことだった。鉄を均一に伸ばせていなくて、一部細くなりすぎていたのが切れた原因だ。

 そこを治して再び走り出す。


 修理中に騎士団が追いつくと思っていたが来なかった。



 修理してからは順調で、変わったことと言えば6層に入ったことだろう。初めて2匹1組のゴブリンが襲ってきた。連携に変わったようだ。


 厄介なのは、オークを壁にしながら接近してくるゴブリンの組。オークが壁のようになって視界を塞ぎ、オークへ攻撃するとオークの後ろから飛び掛かってくる。もちろんそこまで苦労はしないが、少しひやりとする。


 途中弾切れになり、攻撃をよけながら急いでリロードするなど、ヒヤッとしながら10層の最奥へ到着。ボス部屋までたどり着いた。ボス部屋の前は少し広い空間になっており、モンスターがわかない。つまり安全な場所になっている。




 ボス部屋の前で休憩していると、ようやく騎士団の人達が追いついた。どのくらい待ったかは分からないが、かなり待ったような気がする。

 そして現在最後の確認をしているが……


「俺1人で行きます」

「だめだ。俺たちは団長に護衛をしろと言われた。だから中に入らないといけない!」

「それをされると、自分の実力が出せません」


 俺1人で討伐するつもりだが、それができそうにない。


 迷宮を1人で進むのは許してくれた騎士団の人だが、ボス戦はそうはいかないのだろう。

 なかなか食い下がってくれない。


「もちろん、実力が出せるように我々は端っこで見ているだけだ」

「死にはしませんよ。安全には気を付けて戦いますから」

「だが、もしもの事があれば団長に怒られるし、何より君と一緒に向こうから来た引率の大人の方々や仲間たちに恨まれる!」


 それを聞いて、ため息を付く。俺に来た仲間なんていない。だから俺はこうして今1人でいる。

 それはこの人達は知っていない。説明の必要はないと思ったが、説明を省くとややこしくなりそうだったので俺は説明をすることにした。


「俺に一緒に向こうから来た仲間なんていません。全員俺を馬鹿にしていた。それもふざけて言っているのではなく、心の底から言っているのです。そんな奴らを仲間と言えません」

「いくら何でも――」


 若かったらその分人生経験が浅いため、仲間に裏切られることはめったにないのだろうか。


 ただ最年長らしき人は経験したことがあるらしい。

 裏切られた時の気持ちを分かっているのか、俺の言ったことに言い返そうとした若い騎士団の人を最年長らしき騎士団の人が首を振って黙らせる。騎士団の人は黙り込んでしまった。


 いつまでもここで話をしていたら一向に帰れそうにないので、話を切り上げることにした。


「ともかく、俺は1人でも大丈夫なように準備はある程度してきたので大丈夫です」

「分かった。信じよう」

「ありがとうございます。ではこれを」

「なんだ?」


 俺はそう言い、インベントリから鉄の板を取り出す。そこには『俺、宮在零は1人で10層ボス戦に挑む。これが届いたということは、俺が本当に死んだと思っていい』とこの世界の文字で彫られていた。これは練習がてら、この日のために鉱石干渉で刻んだ。


「もし、俺が死んだら団長にとどけてください」

「おいおい! 物騒なものを渡すなよ!」


 騎士団の最年長らしき人に渡すと顔が引きつっていた。俺でもこんなものを渡されたらいやだろう。もちろんこれは保険である。


「大丈夫です。あくまで保険であって、実際に持って行くことになる可能性はほぼゼロですから」

「ゼロであっても渡すなよ」


 騎士団の人と会話を交わし終えた俺は、扉に向かっていった。ボス戦の扉はかなりの大きさがあった。

 しかし見た目と違って、そこまで重たくないのは確認済み。扉を開いて部屋に入る。




 扉をくぐり中に入ると、中はドーム型の部屋になっていた。広い割には暗くはなかった。ここまで移動してくるために通ってきた道の方が暗かっただろう。

 そして部屋の中央にいたのは――


「グオォォォォォォォォ!!!」


「またお前か。オーク……」


 オークだった。しかし大きさは優に3メートルはありそうな大きな体格だった。さらに、鎧・ヘルメット・オークの身長程はありそうな大きなこん棒を装備していた。鎧は胸部だけであって、腹部は何もつけていなかった。 腹部に何もつけていないからと言って、弱いわけはない。特にこん棒が脅威になる。


 こん棒にはとげのようなものが生えていた。見るからに痛そうだ。

 ヘルメットには、左右から牛のような角が生えていた。


 ボスの名前は事前に調べていたのだが、名前はオークキングというらしい。

 キングと言いながら、頭には冠の1つもつけていない。というより、ヘルメットがじゃまで付けられないのだろう。


 確かにこれは、冒険者になったばかりの初心者には厳しい敵であった。残念ながら俺には関係ない。



「では行くか」


 そうつぶやいて俺は銃を構える。オークとの距離は、まだかなりあるため、その場で右足を半歩下げて、右腕を上げて左腕で支えて構えるとボスを狙う。狙う場所は胸部の鎧。鎧を着ているため、銃弾が貫通しない可能性はあるが、実験のためだ。現在の銃弾でどのくらいのダメージを与えることができるか調べ、今後の銃弾づくりを行うためだ。


 バンッ!


 トリガーを引き発砲する。銃弾は鎧を貫通しなかった。しかし、威力が強かったためか鎧はへこんでいた。人なら痛みで動けなくなっているが、さすがオーク。身体が丈夫だから、こんなのでは倒れなかった。


 しかし、ダメージが通ったのには変わりなかったため、若干はスピードが落ちていた。

 そんなことをしていると、オークはすぐそこまで来ていた。オークは、こん棒を上に振りかざしたたきつけてきた。


 もちろん俺はこん棒を振りかざしたときに避ける準備をしていたため簡単に避けることはできた。が、こん棒が地面にたたきつけられる衝撃でバランスを崩しかける。

 何とか体勢を立て直すと、嫌な予感がしたのですぐにその場から離れる。その瞬間、さっきまでいた場所をこん棒が横に通過する。


「おいおい。オークって俊敏だっけ……」


 間一髪でその場から逃げた俺は体を反転してオークと迎え合う。今度は、腹部を頭を狙う。さすがに腹部には効果があるだろうと思ったからだ。


 バンッ!


 俺はふたたび引き金を引く。


「グオォォォォォォォォ!!!」


 結果は貫通はしなかったものの、少しは効果があったようだ。オークが悲鳴を上げる。


 バンッ! バンッ!


 俺は再度腹部に向かって発砲する。もちろんそれだけでは倒れなかった。さらに連続して撃っていく。だがいくら撃っても倒れなかった。かなりのダメージは蓄積しているはずだ。


 そこで俺は、インベントリにリボルバーをしまって、単発銃を取り出す。弾は事前に入れているので問題ない。


 その数秒の間に、オークは再び迫ってきていた。しかも先ほどより動きが早くなってきている。

 インベントリから単発銃を出している俺に接近したオークが、こん棒を振り下ろしてきた。


 もちろん俺は回避する。と同時に走り出す。

 最初の攻撃時のように、2度目の攻撃に当たらないようにするためだ。


 案の定、すぐさまこん棒を振ってきた。しかしその時には、俺は離れていた。


 俺はリボルバーを構えた時のように単発銃を構える。違う点は、左手は右手を支えるために使うのではなく、銃を支えるために使った。左で手持つ位置は、銃身の真ん中あたりにあるハンドガードだ。


 ハンドガードは木で作ってみたが、削るのが難しかった。鉄で作った方が楽だったのではないかと後悔した。

 自力で削ったためにごつごつしているが、それはそれで見た目がいいので気に入っている。


 弾数は少ないが、リボルバーよりは貫通力はある。それに、そろそろ終わらせたいので頭を狙う。


「じゃあな」


 俺はそうつぶやくと、引き金を引く。

 ここで引き金が引けなかったり、弾が出なかったりしたらかなりまずい。なぜならオークがすぐそばまで迫ってきているからだ。

 狙うのは眉間。幸い、そこはヘルメットに覆われていなかった.


 バンッ!


 引き金を引くと同時に、振動がきて音が鳴る。弾が発射されたのだ。

 その時には、オークがこん棒を振り上げ始めていた。


 弾は狙い通り、オークの額に当たる。こん棒を振り上げていたため、その勢いのままオークは後ろにのけぞる。

 そのまま、オークはその大きな巨体をゆっくりと倒した。

 その後、煙となって消えていった。


 その場に残ったのは魔石と見た目がオークの装備していた棍棒を小さくした物だった。

 それを『インベントリ』に入れ、入ってきた入り口に戻る。


 幸い、一方通行などはなく、普通に開いた。扉の先には団員が全員こちらを見ていた。その顔には、安堵や驚きの表情が浮かんでいた。


「戻ってきた! 初心者が1人でボスに挑んだのに戻ってきた!」

「まさか1人でこんなに早く倒すとは……」


 俺が近づくといろいろ言っていたが、初のボス戦で精神的に疲れているので1人ひとりに声はかけない。無事に倒したことは伝えておく。



 その後、早く帰りたかった俺は転移することを伝える。そのまま俺たちは結晶を使って転移し、無事にダンジョンの入口まで戻ってきた。


 そのまま一直線に王宮に戻ると団長に報告し、俺はそのまま部屋に戻る。もちろん自分の作った銃で倒したのではなく、既製品を使ったと言った。かなり怪しまれたが押し切った。


 その後、護衛をしていた団員は団長と話があるらしくその場にとどまったが、俺は何もなかったので解放された。


 そのため俺は早足で部屋に戻っていく。部屋に戻った俺は、再び最終確認を始めた。


 しかし、今度の最終確認は、出ていく準備の最終確認だ。食料や飲料水、その他の準備はすでに終えているので、いつでも出発できる。しかし忘れているものがあったら大変なので、確認を行うのだ。


 俺は、見た目は冷静に最終確認を行っているが、心の中ではお祭り騒ぎだ。

 そのため、昨日行った10層のボス攻略のための最終確認より集中できなかった。


 出発するのは明日の朝。王都を出る馬車に乗る予定だ。


 なんとか最終確認を終わらせた俺は、王都から出ることをわくわくしながら布団に入った。


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