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第48話 アルール王国の国王との再会

 俺はアルール王国側の兵士と協力し、2方向から挟んでいたレールン王国側の兵士を全滅させることに成功。


 俺は滅多なことがない限り殺人が起きない日本から来た。

 もちろん、人を殺すのに慣れているわけがない。前に学校の奴らを殺したことはあるが、それは頭に血が上っていたため。

  頭が冷えた今では、俺の夢に定期的に学校の奴らが出てきて、俺を苦しめている。


 それは今回の戦闘でも変わらなかった。人が簡単に死んでいく場面を見慣れないため、俺はどうしても目を逸らしそうになった。だが目を逸らせば、逆に自分が死ぬことになると心の中でひたすら言い聞かせ、目の前の敵をひたすら殺し続けた。


 結果、多くのレールン王国の兵士を殺した。10人は超える。

 もちろん、助からないアルール王国側の兵士もいたが、俺が参加して助けることができたアルール王国の兵士がいたのも確か。

 レールン王国側の兵士を殺し、アルール王国側の兵士の命を救ったことが正しかったかなど分からない。


 そして今も夢に出てくるのではないかと恐れ、床に転がっているレールン王国の兵士を視界に入れないようにしている。



 話は変わるが、アルール王国側の兵士の命を救い、本来ならすぐにでも国王の安否を確認したいのだが、別の問題が起きた。


「誰だお前! 敵か! 味方か! それとも魔物か!」

「人だ。それに見方だ」


 先ほどまでレールン王国側の兵士に向けていた剣先を今度は俺に向けてきている。

 全員と言うわけではない。半分ほどは戸惑っているのか、剣を下に向けている。それでも残りの半分は疲れているはずにも関わらず、俺と戦おうとしている。


 俺は現在、自分の姿を隠すための格好をしている。格好は髑髏を思わせるような仮面に、フード付きコートだ。

 別に中学2年生がよくなる病気になっているわけではない。ただ単に、自ら関わりにいっていることが今後行動するにあたって、いろいろと関わりそうと言うことで、仕方なく変装している。


 そしてその変装姿があまりにも不気味なのか、アルール王国側の兵士はさっきまでレールン王国側の兵士に向けていた剣先を今度は俺に剣を向けているという状況だ。

 もちろん俺は、敵ではないことを行動で表すために剣をすでに仕舞っている。


「では、味方の証拠を見せろ!」

「国王に会えばわかる」

「それを出来るわけがないだろ!」


 兵士の1人が尋ねてきたので俺は答えたが、まあそうだろうな。

 今は戦時中。俺が敵兵なら、先ほど俺が言ったことと同じことを言って国王に近づく。そうやって近づいたときに国王を攻撃すれば、自分の命は助からないが殺せる可能性は格段に上がるはずだ。


 それを防ぐために兵士たちは、俺が国王に合わないようにしようとしている。ここで疑いなく俺を国王に合わせているとそれはそれで心配になるが、こうも疑い深いと、逆に厄介だ。



 俺がどうしようか考えていると、カナが隣に来た。

 安全だと分かったために来たのだろうか。


「ゼロ。どうしましたか?」

「アルール王国側の兵士と話し合いをしている」

「そこのちっこい奴は子供か? それも女か?」


 兵士が興味を持ってきたが、今は関係のないことなので、俺はスルーする。


「見方だと言っても、信じてくれない」

「では、強行突破ですか?」

「助けに来たのにそんなことできないだろ」


 カナの提案が聞こえたようで、アルール王国側の兵士側から動く気配がした。一瞬視線を向けると、さっきまで剣先を下に向けていた兵士まで、俺に剣先を向けていつでも戦う準備をしていた。

 俺はすかさず目的を伝えたが、疑いは晴れなかったようで、全員が剣先を俺に向けたままだ。

 この状況では、先ほどまでの半分だけが剣を向けている状況の方がまだマシだった。


 カナが突然俯いた。もしかしたら、カナの発言が状況を悪くしたことに気が付いたのかもしれない。

 俺は大丈夫であるとこと伝えるために、頭を優しく撫でる。

 まだ攻撃されていないだけ希望があると考え直すべきだな。



 確かにカナの言う通り強行突破という方法も手段の内の1つにはなる。ただそれを行うと余計な被害を出す上に、助ける対象であるアルール王国側を攻撃することになる。かなり面倒な状況だ。

 顔を見せるという方法も考えたが、あの集団の中に俺を見たことのある兵士がいるとは限らないのでそれはできない。


 手っ取り早い方法は、兵士の言う通り味方である証拠を見せるのが一番いいと思うが、その証拠がないのではっきり言って無理だ。

 完全につんだ。


 別に国王に会わなくても、王都にいるレールン王国側の兵士を倒してまわっており、恩は十分に売れたはずなので、きちんと言わなくても大丈夫なはずだ。

 もちろん、倒してまわっているのはシュティア4人とドローンを操縦しているカナであり、俺はほとんど手を汚していないことになる。


 俺がそんなことを考えていると――


「ゼロがどのくらい強いか、あなた方もわかっていますよね?」


 普段は他の人と会話をしないがカナが突然、アルール王国側の兵士に向かって尋ねる。俺は目を見開いてカナの方を見るが、仮面をかぶっているので俺の表情は誰一人わからない。

 普段は俺達5人以外の人とは話さないカナが、まさか兵士に声をかけるとは思わなかった。それよりも、何をしたいのかが全く理解できない方が大きい。

 その間にも、カナは兵士に向かって感情のこもっていない声を出す。


「あなた方が命を懸けて守ったとしても、ゼロには傷1つさえつけられないでしょう。諦めてそこを開けなさい」


 確かに、レールン王国側の兵士をほぼ倒し終えた時は、一部の兵士が俺の方を見ていた。俺を見ていたということは、俺の強さをある程度は理解しているはずだ。

 実際、自分の実力がどのあたりなのかはまだ分からないが、上の方だと思っても大丈夫だろう。


 カナの言葉に納得したのか、ほとんどの兵士が剣先を床に向けるように下げた。それでも一部の兵士は俺に剣先を向けたままだ。

 カナは全員を諦めさせるためなのか、最後の言葉を兵士に投げた。


「あなた方が無駄死にすることは、国王は望んでいないでしょう。剣を納めなさい」


 その言葉を聞き、生き残っていた兵士達は剣を鞘に納める。完全に諦めた感じだ。

 俺はそれを、ただ黙って眺めるだけだった。



 本来なら、力をこのように振りかざしたくはない。だが、余計な死傷者がでないのなら必要最低限に使おうと、カナの言動を見て感じることとなった。


 ふと隣から視線を感じたのでそちらを向くと、カナは俺を見上げている。仮面をつけているので表情はわからないが、なぜかどや顔をしていそうだなと感じたのはなぜだろうか。

 もし本当にドヤ顔をしているのであれば、ぜひとも見たいものだ。


 俺は気持ちを切り替えると兵士に近づく。俺が動いたためなのか、目に当たるところに開けられているヘルメットの隙間から俺を見ているのが分かった。残念ながら何を考えているのかはさっぱり分からない。


「こ、国王陛下に会わせればいいのか?」

「そうしてくれるとありがたい。もちろん国王陛下に手は出さない」


 兵士の1人が恐る恐る尋ねてきたので答える。言っても無駄だと思うが、何もしないことも伝えておく。

 兵士は俺が扉の前にいけるように左右に退いた。隣にいるカナと共に扉の前へ進む。

 兵士の前を通るとき斬られるのではないかと考えたが、そのような動きはなく、扉の前まで進むことができた。


 扉の前には兵士が立っており、俺が付くと同時に扉を開いて入った。俺とカナはそのあとに付いていく。


「どうした!? 敵は倒せたかのか!?」

「倒せたのは倒せましたが……」


 俺が入るのとほぼ同時に、男性の声が聞こえてきた。つい最近聞いたことがある。国王の声だ。

 国王の言葉に、俺の前にいる兵士が答えるが、途中で声が小さくなり聞こえなくなった。


「おい! お前の後ろにいる奴は誰だ!」


 国王を守るように前にいた兵士――恰好からして団長らしい人が剣を抜きながら尋ねてくる。

 らしいと思った理由は、顔までも鎧で覆っているので、顔が分からないからだ。

 それに合わすかのように、国王の周りにいた兵士たちも剣を抜いて構える。


「お前! 国王を裏切他のか!」

「ち、違います! 断じて違います!」


 ちょっとまずい状況になってきたので俺が自己紹介しようとするが、副団長の言葉に阻まれる。その言葉に兵士が慌てて答える。手遅れになりそうだ。


「その兵士は裏切ってはいません。俺をここに入れるように頼みました」

「姿はまるで化け物ではないか! 貴様は魔族か!」


 今度は俺に飛び火した。まあ、ものすごく怪しい恰好をしているから仕方はない。

 俺に飛びしている間に、兵士が壁際に逃げた。まあいいが……


「魔族ではありません。今はこちらの事情によりこのような姿をしていますが、中身は人です」

「その言葉を信じれると――」

「国王様。お久しぶりです。王女様は相変わらず、手に入れた便利なもので脱走をしているのでしょうか?」


 団長との会話が長引きそうだったので、俺は約束を破るギリギリを攻めて、俺が誰なのかを伝える。名前を言えば早いのだが、ここには関係のない兵士たちもいる。できれば知られたくないので、直接は名乗らない。


「お主、なぜ王女の脱走を知って……もしや! お主はレ――」

「すみませんが国王様。訳がありこの姿をしています。もし呼ぶのであれば、この姿の時に使っている、ゼロという名を呼んでもらえないでしょうか?」

「ゼロと呼べばいいのだな? 分かった」


 どうやら俺が誰なのかが分かったようだ。名前を呼ばれそうになったので、慌てて呼び名を言っておく。

 団長も理解できたようで、剣を下ろした。ただ周りにいる兵士は、状況が理解できていないようで、団長の方を見て指示を仰いでいる。

 団長が頷くと、どうしていいか迷っていた兵士たちも剣を鞘に戻し始める。



 俺はここで、ようやく大広間にいる人全員を見ることが出来た。入り口から向かって正面の壁側にある玉座に国王が座っており、国王を守るように兵士が扉と玉座の中央付近にいる。驚いたことに王妃らしき人と次期国王、それに幼い王妃が国王の近くにいた。もちろん3人とも椅子に座っている。


「ゼロ。なぜお前がここにいる? 王都を出たのではないのか?」

「はい。確かに王都を出たのですが、タラッタにてレールン王国が攻めて来たという話を聞きました」

「それで駆けつけてくれたと」

「はい」


 兵士たちが剣を鞘に戻している間、団長が俺に質問をしてくる。俺はそれに答えるが、声がくぐもっており、少し話しにくい。


「そういえば、扉が開いていると言うことは、扉の外にいた敵兵は全滅したということか?」

「確かに全滅しました」

「だがかなりの強さだったはずだぞ?」

「扉の前にいた兵士と挟み撃ちを行い全滅させました。残念ながら、俺が来た時にはすでに戦闘が始まっており、助けられないものもいましたが」


 今度は副団長が尋ねてきたので俺は答える。

 俺が国王と団長、それに副団長と話している間、カナは俺の横で無言のまま立っている。この間も、ドローンの操作を行っているのだろう。

 そんなことを思いながらカナを見ていると、突然カナが俺の方を見上げてきた。


「ゼロ。街からレールン王国側の兵士が撤退を開始しました」

「なに!? レールン王国の兵士が撤退を開始しただと!?」


 カナの言葉に国王が驚く。それと同時に、1人の兵士が広間に入ってきた。俺の横に並ぶように来ると、片膝を地面について報告をする。


「伝令です。現在、レールン王国側の兵士が撤退を開始しました」

「そうか。敵が撤退した理由は分かるか?」

「はい。街に現れた謎の黒い服を身にまとった集団と、空を飛び火を噴く魔物に恐れをなしたと思われます」

「ご苦労」


 兵士はレールン王国側の兵士が撤退したことを伝える。

 どうやら、シュティア達も無事なようだ。


「ゼロ。お主の仲間はどうした?」

「現在、街にて戦闘を行っているはずです。俺と同じ黒い服を身にまとっているので、兵士の方が言った集団が、俺の仲間だと思っていいでしょう。空を飛んでいる物も同様です」

「……だそうだ。他の兵士に伝えてやれ」

「はっ!」


 突然、国王が尋ねてきたので俺は答える。それを聞いた兵士が立ち去って行った。

 それを見て、国王が深いため息をついた。


「どうやら危機は脱したようだな」


 国王の言う通り、一番の危機は脱したと思われる。

 問題はこれからだ。国王がどのように動くかが気になる。


 俺はそれが気になり国王を見る。カナも気になっているのか、俺と並んで国王を見ている。

 それに気が付いたのか、国王が俺を見てきた。


「言い忘れておった。ゼロ。今回の助力感謝する」

「ありがたきお言葉」


 求めていた言葉ではないが、頭を下げておく。どのように返していいか分からなかったので、ポンと頭に出てきた言葉を言っておいた。よく本で見る言葉だ。間違っていないかが気になる。


 それより、今はどのように動くかを聞きたい。


「国王陛下。今後の方針は、報復でいいのでしょうか?」


 俺がどのように切り出そうか考えていると、団長が尋ねる。この場にいる全員が国王に視線を向けた。

 国王は少し考えたのち答えを出した。


「ああ。我々は攻められた。だから攻め返すぞ。もちろんレールン王国の王都に侵攻する。さすがに今すぐは無理だ。各地から増援が着き次第進行する」

「「「「「はっ!」」」」」


 国王の言葉を聞き、その場にいた兵士が全員頭を下げた。返事をする際、この場の空気が震えるのが分かった。


 国王の警備をするために残った兵士以外の兵士が広間から出ていく。俺はどうしていいのか分からず棒立ちだ。


「ゼロ」

「はい」


 突然、国王が俺を読んだ。俺は視線を国王に向けると、返事をする。


「お主には命を助けられた。褒美を与えようと思っているのだが、何せ今は戦時中だ。この戦いが終わってから褒美を与えたいのだが、どうだろうか?」

「俺は何もいりません」

「そういわずに」


 日本人の癖が出たのだろうか。つい何もいらないと言ってしまった。幸い、国王は引かなかったので、俺は欲しいものを伝えることにした。

 もちろん――


「では、奴隷をください」

「奴隷……だと?」

「はい」

「それはレールン王国の女王ということか?」


 俺の言った言葉が衝撃的だったようで、国王が驚きのあまり目を見開く。

 国王だけではない。その場にいた全員――幼い王女以外が驚いている。

 尋ね方からして、絶対何か勘違いしていそうなので、俺は説明を入れる。


「実は、レールン王国側は獣人やエルフを奴隷にし、戦力として戦わせているという情報を得ました。俺の仲間にも獣人とエルフがいます。そいつらのためにも、レールン王国側の奴隷となっている獣人やエルフを貰いたいと思っています」

「つまり、褒美はレールン王国側の獣人やエルフの奴隷と言うことか?」

「そういうことです」

「……わかった」


 国王が尋ねてきたので俺は返事をする。国王は少し黙ると、了承したことを伝えてきた。

 俺はほっとしたが、そのあとに言った国王の言葉に納得する。


「私はそのつもりはないが、もしレールン王国に負けたらどうするつもりだ?」

「もちろん、アルール王国が負けないよう、こちらにつかせてもらいます」

「だが、所詮6人増えただけだぞ。あまり戦力にならないではないか」


 国王の言う通りだ。確かに6人増えたぐらいでは戦況はほとんど覆せない。ただし、それはそこらにいる普通の人の場合だ。


 俺達6人はエルフの郷で訓練をした。もちろんそれでも、人生と比べれば2か月という短い期間のため、現役の兵士たちと同じぐらい。

 唯一違うのはレベルだけ。


 だがそのレベルの差というのは、この世界では大きい。同じ技量の場合、レベルが高い方――ステータスが高い方が明らかに長時間戦えるため有利だ。


 そして俺達6人は、エルフの郷にあるダンジョンにて、レベリングをした。

 特に俺は狙撃銃を使用してドラゴンを狩っていたため、戦闘の効率はものすごくよかった。


 種類にもよるが、もちろんドラゴンはものすごく硬い。とあるアニメで言っていたが、空飛ぶ戦車そのものだ。それほど鱗は硬い。

 幸い、この世界にはミスリルという硬い金属があるので、それを使えばドラゴンの鱗ぐらい簡単に貫通した。といっても、せいぜい下級のドラゴン。中級のドラゴンは当たり所がよければ倒せる。上級ドラゴンなんて、硬すぎて倒せない。


 閑話休題



 ともかく、下級ドラゴンをまるでゴブリン狩り感覚で狩っていたので、レベルはこの世界でもトップクラスになったはず。よっぽどのことがない限り戦いの場で負けはしないと思う。


「まあ、確かに6人増えたぐらいでは変わらないかもしれませんね」


 さすがにそんなことは国王に言えないので、俺は苦笑いでごまかす。

 ここで気が付いたのだが、俺が変装しているときの口調が定まっていない。今度考えておかなければならないな。



 ふと気になって王女を見る。前に会った時の感じならば、俺の足に抱き着いてくるような気がしたが、いつまで経っても来ない。

 見てみると、幼い王女は王妃の膝の上に座っていた。ただ俺と目を合わせようとしない。視界に入れまいと、王妃と向き合うように座り、王妃の体に顔を押し付けている。怖がられているのだろうか。そもそも前に来た時の恰好とは違うので、他人と思われている可能性もある。


 俺が視線を戻すと、国王と次期国王、それに団長と副団長が何やら話していた。

 どうしていいか分からないでいると、カナが声をかけてきた。


「ワン達4人は現在、城門の中に入りました。こちらに向かってきているようです」

「わかった。ありがとう」


 どうやらシュティア達の仕事は終わったらしく、こちらに向かってきているようだ。こちらの仕事も終わっているので、ちょうどよかった。


「ゼロ。どうやらお主と同じ服装の4人がこちらに向かってきておるようだが、仲間か?」

「ええ」


 突然国王が尋ねてきたので、俺は答えておく。それを聞き、国王の近くで俺を見ていた1人の兵士が、大広間から走って出て行った。


 兵士が角を曲がって見えなくなるまで俺はそれを見ていた。見えなくなったと同時に視線を国王の方に向けると、再び何やら話していた。気にはなるが部外者が割り込むのは良くないと思い、俺はその場で立ったまま待機。



 ほどなくしてシュティア達4人が到着した。


「ゼロさん! こちらは片付きましたよ!」


 スリィ――ヴェーヌがこちらに手を振りながら近づいてくる。見た感じ、全員どこも怪我をしていないようだ。

  ただ、俺の予想とは違って驚いたのだが、前衛で戦っていたであろうメルクールとヴェーヌの服には返り血が一切ついていなかった。


「れ――ゼロさんの方はどうでしたか?」

「俺の方は問題はなかった。あと、さん付けは違和感がある」


 俺の隣に来るなり、ヴェーヌが尋ねてきたので俺は問題は何もなかったことを伝えておく。ついでに、さん付けを止めるように指摘しておく。付いていると違和感が凄い。


「……ゼロ。聞いて」

「どうした?」

「……トゥが、一時的に言うことを聞かなくなった」

「い、言わないでくださいって言ったじゃないですか! どうして言うのですか!?」


 シュティアが少し気になることを伝えてくる。

 俺に自分の行ったことを告げられたためか、メルクールがシュティアに食って掛かる。しかしシュティアは聞こえないふりをすることにしたようで、そっぽを向いた。

 メルクールが言うことを聞かなくなった。少し気になる話だ。


「トゥ。今晩にでも話を聞く。どのように説明をするか、きちんと考えておけ」

「……わかりました……」


 メルクールは俺の言葉を死刑判決のように重く受け止めたのか、かなり落ち込んだ。本当は何か声をかけた方がいいと思うが、それは俺の仕事ではなさそうなので、声は描けない。


 俺は国王のいる方を向く。すでに話し合いは終わったのか、こちらを見て待っていた。


「お待たせして申し訳ございません」

「いや、大丈夫だ。気にするな。それよりこっちに来てくれ」


 一応謝罪はしておく。国王が心の広い方でよかった。

 来るように言われたので、俺は国王の近くに移動する。その際にもう1度、幼い王女を見るが、未だに目を合わせようとしない。嫌われた感があり、なんだか悲しい。


「いろいろと話し合ったのだが、1つ言い忘れていたことに気が付いた。そこで、ゼロに1つ頼みたいことがある」

「何でしょうか?」

「単刀直入に言う。こちら側――アルール王国側に付いてくれ」

もしかしたら、この話の国王との会話の内容は少し変えるかもしれません。少々違和感を感じていますので。

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