第39話 変化した関係
夏休み期間中にすると言っていた、誤字脱字などの訂正作業をやらずに、夏休みが終わろうとしている……
「レイさん、聞いてくださいよ!」
突然、メルクールが半泣きで俺に聞いてくれと訴えてくる。
現在は昨日の夜泊まった草原で朝食を食べている。
昨夜はいろいろとあったが、シュティアを除く3人は知らない。
2人だけの秘密と言うのは、やはりいいものだ。
「どうした、メルクール?」
「ここから早く離れましょうよ!」
「まだそれを言うか。今は朝食を食っているんだ。まだ無理だ」
みんなが起きた時から、メルクールはずっとこれを言っている。
しかも何かに怯えているのだ。獣人のために上にある耳は、あたりを警戒するように忙しなく動いている。
昨日の最初の見張りは俺だった。シュティアと2人でやっていたが、途中でシュティアは深い眠りに着いてしまったため、俺が2人分の見張りをする羽目になった。それは仕方がないと思う。原因の1つは俺だから。
俺の次に見張りをしたヴェーヌは気が付いた恐れはあるが、最後の方に見張りを行ったメルクールには、何が起きていたかは分からないはずだ。
それにシュティアが魔法を使っていたはずなので、音は漏れていないと思われる。
「なぜ、ここから早く離れたいんだよ。それを説明してくれないと行動できない」
俺はメルクールに尋ねる。メルクールを除く4人も気になっているようだ。
場合によっては、何かしらの行動を起こすために食事を止めなければならないかもしれない。
「お化けですよ! 昨日の夜、お化けが出たんですよ!」
メルクールは必死になって訴えてくる。
お化けなどいないと一括をしてもよかったのだが、少し気になる話だったので聞く。
「お化けか。どんなお化けだ?」
俺は尋ねる。4人も興味津々で、メルクールの方を見ている。
「姿は見て居ませんが、女の人のお化けです! テントのすぐ近くで唸っていたのですよ! 怨霊ですよ! 恋人に殺された女性の怨霊ですよ!」
メルクールが必死に訴えかけてくる。
女性の声で、唸り声をあげていた。
やばい。心当たりがありすぎる。
俺はシュティアの方を目だけで見る。確認をしたのだが、シュティアはというと、目を泳がせている。
そう。こいつが犯人だ。
原因は俺にもあるので、メルクールにどうにかお化けがいなかったと思わせなければならない。
「気のせいだ。俺が見張りをしているときには何も聞こえなかったぞ」
「……そ、そ、そう! 気のせい! お化け……なんて、いない……よ?」
俺に合わせるようにシュティアがメルクールに訴える。
ちょっと黙っていてくれ、シュティア。お前のせいで、お化けの正体がバレそうだよ。
「眠りが深かったのか、私は聞こえませんでしたよ?」
「私も聞こえなかったわね」
ヴェーヌとウーラは飲み物を入れたコップを、ヴェーヌは両手で、ウーラは片手で持ちつつ、それぞれ聞こえなかったと言う。
ヴェーヌの方は本当に聞こえていなかったようだが、ウーラの方は聞こえていたようだ。
ウーラは聞こえなかったと言いつつも、視線は俺とシュティアの方に向いている。
しかもわずかだが、微笑んでいる。
かなりの確率で、バレているかもしれない。しかも理由まで知っている感じだ。
「ほ、ほら。2人も知らないと言っているぞ?」
「零さん。なぜ疑問形なのですか?」
ウーラにバレていると分かった瞬間、俺の話し方がおかしくなった。それをヴェーヌに指摘された。
シュティアがジト目で見てくる。お前のメルクールに対する訴えが、一番怪しいかったからな?
「そうですか。やはり皆さん聞いていませんでしたか。やっぱり私の勘違いですかね?」
「う、うん! メルクールの……勘、違い!」
メルクールが納得して、シュティアが必死に言う。
だからシュティア、お前は黙っていろ! バレる!
「そういえば、あなた達2人は恋人かしら?」
ウーラが話を変えるためなのか俺とシュティアを見ながら尋ねてきた。
メルクールとヴェーヌも興味津々のようだ。カナも俺とシュティアの方を見る。
「ん? ああ。昨日の夜いろいろ話をしてそうなった」
「ふーん。いろいろね?」
ウーラが微笑みながらそんなことを言う。この時、確信に変わった。
昨日の夜の事、バレているな。
というより、いろいろの部分をなぜ強調した?
「えー! いいな! あたしもレイさんと恋人になりたいです!」
「わ、私も前世ではいろいろあったので……」
メルクールとヴェーヌは気が付いていないようで、関係のないことを言う。だがその関係のないことが完全には関係なかったので聞き逃せなかった。
メルクールは堂々と言っていたが、ヴェーヌはつぶやくように声に出していた。本来なら聞こえなかったと思うが、ステータスが上がったためか、ばっちり聞こえていた。
だが俺は何も触れなかった。
その後、朝食を食べ終えたので、片付けを行う。
といっても、テントをインベントリに仕舞うぐらいだった。
軽装甲機動車を取り出す。村が少し遠いところにあるといっても、徒歩で来れる距離なので、近くに人がいないかの確認はした。
驚いたことに、シュティアが真っ先に乗り込んだ。乗った場所は助手席だ。
「うわー……シュティアさん変わりましたね」
「真っ先に乗り込むなんて。それも助手席……」
「恋人になると、あんなにも変わるものなのね……」
メルクールとヴェーヌ、ウーラは、シュティアの行動を見て驚いていた。少し呆れてもいるように感じたが気にしない。
ヴェーヌに手を繋がれているカナは、シュティアの行動を見てもあまり驚いていない。そもそも何も感じていないのだろうか?
カナに関しては、そこそこ長い間一緒にいるが、何を考えているのか本当に分からない。
俺も乗り込もうとしたが、3人がいつまでも乗りそうになかった。見た感じ、3人とも何かを考えているようだ。
カナはヴェーヌに手を繋がれているので、乗りたくても乗れないと言った方が正しい。
「早く乗れ。いつまで経っても出発出来ないだろ」
「わかり……あれ?」
「どうした?」
俺はため息をつきつつ、乗り込みそうになかったので、3人に声をかける。
すると、返事をしかけたヴェーヌが途中で言葉を止めると、首をひねった。
どこに疑問を持ったかわからない。
「いえ。いつもなら、『さっさと乗らないと、置いていくぞ』なのに、『いつまで経っても出発出来ない』に代わっているなと思いまして」
「そういえばそうね? 何かあったのかしら?」
ヴェーヌが細かいところに気が付いた。俺の心を読んでくるウーラも、さすがに分からなかったようだ。
まあ、シュティア達4の扱いが変わったのは昨日の夜からなので知らなくて当然だ。
「考え事する暇があるなら乗ってくれ。お前らは俺の大事な仲間なんだから、こんなところに置いていけないだろ」
「「「……え?」」」
俺の言葉を聞いて3人が驚く。
多分だが、俺が3人を『仲間』と言ったことに驚いているのだろう。
「零さん。今、私たちのことを仲間と言いましたよね?」
「それって、私たちの聞き間違えですか?」
ヴェーヌとメルクールが尋ねてきたので俺はため息をつく。
言っている俺が、地味に恥ずかしい。さりげなく、仲間だと認めたことを伝えようとしているのだから、察して欲しい。
「聞き間違えじゃない。お前たちは俺の大事な仲間だと言ったんだ」
「それって……」
俺が再び言い直すと、ヴェーヌは口元に手を当てて、頬に一筋の涙を流した。そして絞り出すかのように俺に尋ねてくる。
俺は再びため息をつくと、3人に言った。
「お前たちは全員俺の大事な仲間。それ以上でもそれ以下でもない」
俺はそう言うと、車に乗り込もうとした。
その時――
「おい!」
メルクールとヴェーヌが俺に体当たりをしてきた。正しくは抱き着いてきたと言った方がいいが、勢いが勢いなので、俺は倒れた。
「おい! メルクールにヴェーヌ! 何している!」
「だって! だって! ようやく零さんが仲間だと認めてくれたんですよ! 嬉しくないわけがないじゃないですか!」
メルクールもヴェーヌもうれしさのあまりか泣いている。
ウーラは俺に抱き着いてこなかったが、目じりを指で拭っているので、うれしさのあまり涙を流してはいるようだ。
シュティアは助手席から覗くようにして、倒れた俺を微笑みながら見ている。
恋人なら助けろよ!
2人をなだめることに時間がかかったが、無事に出発できた。
――が、そうそうに問題が発生した。行き先を決めていなかった。
俺は軽装甲機動車を止めると、ギアをパーキングにし、ハンドブレーキをかけるとエンジンを切った。
そして後ろを向く。
突然、軽装甲機動車を止めエンジンを切ったためか、4人とも俺の方を見ている。カナは中央に座ったヴェーヌの膝の上にいる。
「すまん。肝心なことを聞き忘れていた。このままいけば、次は海の近くにある街に行くことになるが、それでいいか?」
「海の近くの街ですか。いいですね。泳げますかね?」
真っ先に答えたのはヴェーヌだった。ヴェーヌは嬉しそうに答える。泳げるか聞くということは、ヴェーヌは泳げると言うことなのだろう。
ただ、泳いだことがあるのは、日本でなのかこちらでも泳いだことがあるのかが気になる。
「……海の方で、いい」
「あたしも海の近くの街でいいです!」
「泳ぐのね? いいと思うわ」
どうやら、残りの3人も異論はないようで、海の近くにある街に向かうことになり嬉しそうにしている。
「……レイは、行きたくないの?」
「いや。行きたい」
俺は4人の意見を聞いたので、エンジンをかけて走り始めようとすると、シュティアが俺の方を見ながら心配そうに尋ねてきた。尋ねてきた理由は分からないが、俺は一言だけ言うと、軽装甲機動車を走らせ始めた。
移動中、運転をしていない4人は海に行くと何をしたいか話していた。俺はそれを聞きながら軽装甲機動車をひたすら走らす。
聞こえてきた内容としては、海が近いと言うことから、海で泳いだり釣りをすると言う意見が出たが、 ヴェーヌの発言により、スイカ割やビーチボールを行うことになった。
走らし始めて2時間ほどたった。一度休憩を挟む。さすがに、ずっと運転しているのは疲れる。
一度休憩するために、駐車処置をしてから外にでる。いくらここが日本でないと言っても、突然車が動き出すのは勘弁だ。
シュティアとメルクール、ヴェーヌはずっと座っているだけだったので、硬くなった体をほぐすために、少し体を動かしている。ヴェーヌはラジオ体操を行い、それを見よう見まねでシュティアが行っている。メルクールは走っている。
ウーラは、マジックバッグの中から布を取り出すと、地面に敷いて座っている。お嬢様のようにものすごく品のある座り方だ。その横にカナが座っている。後ろ姿が、まるで姉妹のようだ。
軽装甲機動車はインベントリに仕舞わないで、外に放置しておく。出し入れが面倒だからだ。
俺は屋根に乗ると、手を左右に伸ばして仰向けに寝転んだ。日が差しているので、屋根は丁度いい具合に暖かい。
まぶしいので目は閉じる。
銃座には4方向からの攻撃を守るための板が付けられていることが多いが、この軽装甲機動車にはつけられていないため、普通に寝転ぶことができる。
ただ、屋根の一部を開けることができるように、一部が丸く出っ張っているため、仰向けに寝転ぶと少々背中が痛い。
ふと隣に誰かが来て寝転ぶのが分かった。確認はいいと思って、目は閉じたまま。
伸ばしている右の腕に、何かが乗ったことが分かった。感じからして何かの布だろうか。肌触りがいい。
俺は顔を右に向け、目を開く。すると体ごと俺の方に向いたシュティアが俺をじっと見つめていた。頭は俺の腕に乗せているので、腕枕をしていると言うことなのだろう。
「どうした? 体動かしていたんじゃないのか?」
「……レイの隣にいる方が、いい」
「そうか」
俺はそう言うと、再び目を閉じた。
そよ風が肌を撫でる。草原に生えている草の匂いがする。遠くまで行ってしまったのか、メルクールとヴェーヌの声はわずかに聞こえる程度だった。
「そういえば、会って始めの時はなぜあんなに積極的だったんだ?」
俺はふと出てきた疑問を尋ねる。
シュティアは最初のころ、俺への行動を積極的にしていたが、獣人のところから出るときにはやらなくなっていた。エルフの郷でも少し積極的だったが、俺が軽く扱うためか、楽しんでやっている方が大きかったように感じた。
「……ん? 捨てられない、ように……するため」
「捨てられないようにってことは、俺についていけるようにということか?」
「……うん」
シュティアの言いたいことがわかった。俺と関係を持つことで、捨てられる可能性を最小限に抑えようとした。そのためあ、あのように積極的になっていたようだ。
予想だが、獣人のところで起きた出来事により、俺に積極的にならなくても捨てられる可能性は減ったと考えたのだろう。
俺はここで1つ思いだした。
「そういえばシュティア。獣人のところで俺がお前に助けられたが、お前は俺に借りがあったよな? それなのに、お前は俺に取引を持ち出していたよな? そのことに関しては?」
そう。俺は王都を出て、ほぼすぐにシュティアを助けた。それは一種の借りだ。
獣人のところで俺は命を落としかけた。そのときは焦っていたこともあったのか、シュティアへの借りをすっかり忘れていた。そのため、シュティアとの取引をして助けてもらった。今思えば、借りをちらつかせれば、取引をせずに済んだのではないかと今更だが気が付いた。
そして俺に尋ねられたシュティアは、俺に背中を向けるように反対を向いた。
俺は再び尋ねる。
「シュティア? わかっていたんだな?」
「……何の、こと?」
俺に背中を向けたまま、シュティアは答えた。
こいつ、絶対に分かっていてやりやがった。
「なにイチャついているんですか」
突然、メルクールが下からジト目をしながら見上げてきた。
ヴェーヌは疲れたらしく、ウーラの隣に座って休憩していた。
「そろそろ出発するか?」
「話逸らさないでください」
メルクールはそう言いつつ、ウーラとヴェーヌの方に出発することを伝えに行った。
俺はシュティアの頭の下から自分の腕を引っ張りだす。その時にシュティアが屋根に頭ををぶつけていたようで、頭を押さえて悶えていた。
「零さん。お願いがあるのですが……」
「どうした?」
屋根から下りて、運転席に乗ろうとした時、ヴェーヌが胸の前で手を合わせて申し訳なさそうな表情をして、お願いをしてきた。
「車の運転をしてみたいのですが、教えてもらってもいいでしょうか?」
「ああ。別にいいぞ。運転席に乗ってくれ」
俺の言葉を聞いたヴェーヌは一瞬嬉しそうな表情になったが、運転席に乗るように言うと、顔が引きつった。
「どうした?」
「前世では車の運転をしたことがないのですが……」
「習うより慣れろ。と言うことでやってみろ」
俺はそう言うと、困り顔のヴェーヌを置いて、先に助手席に乗り込んだ。さすがに助手席で教えないと無理だと判断したためだ。
シュティアは後ろの席に乗り込んだ。
「じゃあ、説明するから聞けよ」
俺はそう言って、走らせるまでの流れを説明する。もちろん俺は独学で学んだ。と言っても、操作の仕方ぐらいは取扱説明書に書いてあったので、それを見ながらした。走らすのは、ダンジョン内にだだっ広い草原があったので、そこで試しに走らせた。
転生まえのヴェーヌが、免許を持っていたら楽だったのだが、ヴェーヌが死んだときは高校2年生で、免許は取っていなかったために教える必要があった。
「よし。やってみろ」
「無茶言わないでください!」
俺は簡単に、エンジンを掛けるところからアクセルを踏めば進むことができるまでの流れを説明する。もちろん、取扱説明書を見せながら。だがヴェーヌが怒ってきた。
何が気に食わないで怒っているかが分からない。
「何が気に食わなかった?」
「別に気に食わなかったと言うわけではありませんが……」
「じゃあどうした?」
「教習所なら初っ端から車には乗らないと思いますよ?」
ヴェーヌが意見を言ってきた。確かに教習所なら最初に車の操縦の仕方をビデオで見ると聞いたことはあるが、ここは異世界。そんなものはない。
「習うより慣れろ。実際にやってみろ」
「使うタイミングが違うと思いますが……まあいいです」
しぶしぶ納得したヴェーヌが、俺が説明したとおりに行い、ブレーキからアクセルに踏みかえれば進むところまで行った。
「後ろに座っている4人はきちんとシートベルト締めておけ。何が起きるかわからないぞ」
俺は後ろを振り返り、4人に注意しておく。聞いたことがあるが、初心者は急発進急ブレーキをよくやるそうだ。それによりケガをしないようにシートベルトをつけさせておく。
4人がシートベルトをしたことを確認した後、ヴェーヌにうなずいて発進するよう伝える。
ヴェーヌは頷き返し、アクセルを踏む。
だが踏みすぎたようで、急発進する。いくら移動中は静かとはいえ、急発進すればエンジンが一気に動く。そのためエンジンが唸り声をあげた。
さらに、急発進したため体がシートに押さえつけられる。
後ろの席から3人の悲鳴が上がった。
アクセルを踏んだヴェーヌでさえ驚いていた。
「止めろ!」
俺が叫ぶと、ヴェーヌが慌ててブレーキを踏む。もちろん急ブレーキだった。今度は体が前に移動する。
またしても後ろから3人の悲鳴が上がる。
完全に止まると、ヴェーヌは困惑した顔をして、俺を見てきた。
「む、難しいです」
「当たり前だ……」
そう言って俺はため息をついた。
いくら何でも、俺1人だけでの運転は疲れるので、ヴェーヌにさせようと思っていた。
もちろん、初めて運転したばかりで、危なっかしいのは分かっているが、どうしてもこの先が心配になってくる。
その後、ヴェーヌには何度か発進と停止の練習をさせた。数回すると慣れたのか、だいぶマシになった。
だいぶマシになった所で、ヴェーヌの運転で本格的な移動を行う。
向かうのは、シュティア達4人が希望した、海に近い街【タラッタ】
海に近い街と言うだけあって、新鮮な魚を食べることができそうなので楽しみだ。
この世界の主な交通手段は馬車。レールン王国の王都では飛行船を見たが、それは貴族が使う分だろう。
そのため海から離れた内陸部の街には魚が出回らない。出回ったとしても、干物として出回る。
閑話休題
【タラッタ】に向かう間は何事もなかったが、ヴェーヌが初めて車――軽装甲機動車を運転すると言うこともあって、あまりスピードはでなかった。
また、初めての運転と言うこともあり、俺が運転しているときよりも多く休憩を行って、集中が切れないように配慮した。
そのため街に着くことができず、1回野営することになった。
シュティアとメルクールが、「レイが運転すれば今日のうちに街に着いており、暖かいベッドで眠れていた」などと少し文句を言っていたが、本来の野営と比べると豪華な夕食だったのですぐに文句は言わなくなった。
ウーラとカナは文句ひとつ言わなかった。
ただ、寝る際にウーラがお化けが出ないかしらと言って、メルクールをものすごく怯えさせた。
結局、見張りを行う人以外でメルクールを挟んで寝る形をとった。
次の日もヴェーヌの運転で移動。
朝食を食べ終わって片づけると、すぐと言っていいほどの速さで出発したので、昼を少し回ったぐらいには街が見えてきた。そこで一度昼食をとって再び街に近づく。
海からはまだ距離はあるが、窓を開けると海風により潮の匂いが、わずかにだが運ばれてきている。
「ヴェーヌ。そろそろ止めてくれ。街にあまり近づきすぎるのは良くない」
「わかりました」
俺の指示を聞いたヴェーヌは、軽装甲機動車を止める。慎重に行ったためか、急ブレーキにはならなかった。
ヴェーヌに駐車処置を取らせ、降りる。
車から降りると、車内で窓を開けていた時より若干、海の匂いがするようになった。
「何か匂いますが、これが海の匂いですか?」
「ああ」
匂いに敏感である獣人のメルクールは、匂いを嗅ぐように息を吸った。その瞬間、鼻を両手で抑えた。人によって海の匂いを好まない人もいるので、メルクールはそれに含まれるのだろうか?
シュティアも興味があるようで、匂いを嗅いでいるが分からないようだ。
ヴェーヌとウーラは懐かしそうに目を細めている。2人とも海に来たことがあるのか、少し気になった。
軽装甲機動車をインベントリに仕舞うと、街の方に歩き出す。
時間帯が昼だからなのか、門を出入りしている人は少なかった。
そのため、いつも通りに冒険者であることを示すプレートを渡し、カナの分は身分証明書を見せて城壁内に入った。
前書きでも書いていましたが、月曜日から誤字脱字などの訂正作業を行おうと思っています。もっと早くにやっていれば……
訂正作業は、誤字脱字の訂正をメインに行うつもりです。ゴールデンウィークにした、大規模な訂正は行わないつもりです。
ただ、物語にはあまり関わらないような、小さな訂正は行うつもりです。詳しいことは、来週の投稿時にでも説明します。どのくらい変わるか分からないので……




