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第34話 情報収集

書き溜めの分が進まない……

 次の日、着替えを終えて朝食を食べていると、面白そうな話が聞こえてきた。

 内容は、昨日の夜にあった、馬に乗った人が街の中を駆け抜けていた理由だ。


「昨日の夜、馬で駆けていた人がいたのを知っているか?」

「ああ。今はまだ広まっていないが、見た人は多いな。なんせ人がたくさんいる通りを駆けていたからな」


 食堂で食べていると、男性2人がする会話が聞こえてきた。昨日のことが分かりそうだったので、自然とそちらに意識が集中してしまう。


 シュティア達4人は仲良く会話をしているため聞こえていないだろう。4人は、どうやら今日も見て回るようだ。服を買ったり、昨日は終わりかけに見つけたために見ることができなかった演劇を見るようだ。


 俺は4人の会話から男性2人の会話を聞こうと意識を集中させる。


「駆けていった理由はどうだ? 知っているか?」

「いや。知らん。まさかお前は知っているのか?」

「もちろんさ。じゃないとお前にこんな会話を振らないぞ」


 どうやら話を振った片一方の男性は、理由を知っているようだ。

 集中しすぎていたために止まっていた手を動かす。あまり止まっていると、シュティア達4人が怪しむはずだ。

 ベーコンの切れ端を靴に運び咀嚼する。ただし意識は2人の男性に向けたまま。


「で、その理由はなんだ?」

「詳しいことは分からないが、どうやら近くの村で盗賊がでて襲われたようだ。そして昨日の夜、村から逃げ出した若者がここに着いて状況を説明。馬で駆けて行った奴はその情報をギルドと領主邸に持っていく門番だったらしい」


 そういうことか。

 俺はうつむいて、細く微笑む。理由が分かったからだ。

 そして、エルフの郷で付けた力を盗賊で試そうと思った。本来ならば武道大会で試すつもりだったからだ。


 しかしよくよく考えると、ためらってしまう。別に盗賊に悪いと思ったからではない。別の理由で断念せざる負えなかった。

 俺は聞くのをいったん止めて、食事を続けることにした。


「あら。どうしたの?」

「ん?」

「全然食べていないと思ってのよ」


 食事を続けようと野菜に手をつけようとしたところで、ウーラに声をかけられた。どうやら話を聞いていたために全然食べておらず、ウーラに心配されたようだ。他の3人は気が付いておらず、楽しそうに会話をしながら食べている。


「後ろの席に座っている2人が、昨日の馬の件について知っているようで聞いてたから、食べていなかっただけだ」

「盗み聞きは良くないわよ?」

「わかっている」


 そう言って、俺は食事を続ける。もちろん盗み聞きをしながら。

 ウーラと話している間にも、2人の会話は進んでおり、聞き逃したらしいが問題はないだろう。


 男性の言葉を聞いて、俺の意識がそちらに向いた。その時に手が止まりそうになったが、何とか手を動かして食事を勧める。

 ウーラの方を見ると、シュティア達3人の会話には入らず、静かに食事をしている。だがその表情は真剣だ。どうやら盗み聞きをしているようだ。


「ああ。お前も『黒狼』を知っているのだから、その規模は分かるだろう。だが、その盗賊たちが村を襲う際の人数が少なかったらしい」

「少なかった? 村を襲うのなら、それほど人数はいらないだろ。それのどこがおかしい?」

「人数が6人ほどしかいなかったようだ。それはあまりにも少なすぎる。さらには何かを焦っているようだった」


 そこで、俺のおでこを指でつつかれた。顔を上げてみて見ると、隣に座るシュティアが手を引っ込めているところだった。

 手を引っ込めているところを見られたシュティアは、見つかったためか苦笑いを見せる。


「どうした?」

「……レイが、何かを考えていたら……気になった」

「そういうことか」


 メルクールとヴェーヌも俺の方を見ていた。そしてウーラもこちらを見ていた。まるで、自分は最初から盗み聞きをしていませんでしたと言っているように。

 カナは椅子に座って、俺の方を見ていた。無表情ではなく、すこし心配している表情だった。


「大したことではないと言えば、大したことではない」

「なんですか、それ!」

「ともかく、食べ終わったのなら部屋に戻るぞ」


 俺はそう言って立ち上がり部屋に戻る。そのあとを5人が付いてくる。

 シュティアに話しかけられたので、会話は途中で聞き逃した。聞き逃したのは仕方がないのであきらめる。




「で、何を考えていたのですか?」


 部屋に着くなり、ヴェーヌが尋ねてきた。考えていたのではなく盗み聞きをしていたと知っているウーラは微笑んでいる。こいつ楽しんでやがる!


「考え事ではなく、盗み聞きをしていただけだ」

「うわー。最低ですね」


  丸テーブルに着きながら本当のことを言うと、メルクールに引かれた。

 本当は言い返したいが、何も言わないでおく。そして訳を話す。

 4人もそれぞれ椅子に座る。


 カナはウーラに抱えられて、膝の上に座っている。そして頭を撫でて貰っている。相変わらず無表情だが……


「昨日、馬が通りを駆けて行った理由を話していたから気になって聞いていただけだ」

「理由は分かったのですか?」

「ああ。どうやら、とある村が盗賊の集団に襲われて助けを求めに来たらしい。そしてそれを冒険者ギルドと領主邸に伝えるため、馬で駆けていったようだ」

「なるほど。そういうわけだったのですね」


 ヴェーヌが興味を持っていたので、俺は訳を伝える。ヴェーはそれを聞いて納得したようだ。

 残念ながらそれ以上のことは聞いていなかったのでわからない。


「で、その話を聞いて倒しに行こうと思ったのかしら?」

「ウーラは人の心を読めるのか?」

「さて、どうかしら? うふふ」


 ウーラが俺の思っていたことを見事に当ててくる。俺は返事をするかわりに尋ね返すが、笑ってかわされた。

 俺はため息をついて、どう思ったかを伝えることにした。


「ウーラの言う通り、倒しに行こうと思った。自分の実力を知るために」

「じゃあ行っては? 私たちは止めませんよ?」

「いや、行くつもりはない」


 ヴェーヌが尋ねてきたので行かないという意思をきちんと伝える。

 4人は理由を分かっていないようなので説明することにした。


「自分の実力を知るためにも行きたいが、それじゃあ俺を使って実力を試した学校の奴らと理由が同じになる」


 諦める理由となったのは、俺が実力を知るために盗賊を倒しに行くのは、俺をいじめてきた奴らと同じ理由になるからだ。それだけは嫌だった。

 理由を聞いて、シュティア達4人は俺の方を見ながら苦笑いしている。納得はできたようだ。


 シュティアが何かに気が付いたような表情をする。俺はシュティアの方を見て、視線で言うように促す。


「……人助けなら」

「どういうことだ?」


 言いたいことが分からずシュティアに尋ね返す。シュティアはうつむいて何かを考え始める。

 俺はシュティアの方を見て、言葉を待つ。シュティアは言葉に出して説明するのが苦手なようなので仕方がない。


「……村の人を、助けるために……倒す」

「そういうことか。村の人を助けに行くという名目で、盗賊を倒しに行ってはどうかということだな?」


 シュティアの言いたいことが分かったので、俺は言葉を増やして尋ね返す。

 どうやらあっていたようで、シュティアはうなずいた。


「それなら倒しに行く事ができますね」


 メルクールがそんなことを言う。

 まるで俺が倒しに行けなかったので、理由をつけて倒しに行けるようにしたような言い方だ。

 ()()()()()()のではなく、()()()()()()だけだが……


「では行きましょうか」

「よかったわね。レイ君」

「ああ。そうだな」


 みんなにここまで言われると、行くしかなくなってしまう。

 行かないなんて言える雰囲気じゃなくなったので、仕方なく行くことを伝えた。


「じゃあ、準備をしましょうか」

「え?」

「え?」


 ヴェーヌの発言に返すと、そのまま返された。他の3人もこちらを不思議そうに見ている。

 俺は訳を話す。


「1人で行くつもりだったのだが」

「なぜですか?」

「そりゃ、4人は今日も街に出ていくのだろ?」

「さすがに昨日あたりから祭りの雰囲気は収まっていましたから、今日からは街は普段の感じに変わっていますよ?」


 どうやら昨日が最終日のような感じだったらしく、今日からは普段の雰囲気に戻るのだろう。

 俺は窓から通りを見てみる。


 昨日まであった屋台は撤収して、普段の感じなのであろう大通りと、そこを通る観光客と冒険者であふれかえっていた。

 昨日までは見なかった冒険者がたくさんいるのは、お祭りの時ぐらい楽しもうと思って、昨日までは装備を外して街を歩いていたからであろう。


 確認すると席に戻る。カナを含む5人の視線が注がれる。答えを聞きたいのだろう。


「1人の方が楽だから、1人で行きたいのだが」


 想定外の答えらしく、4人は驚いていた。

 カナは無表情だが。


「……レイ」

「なんだ?」


 シュティアが名前を読んできたので返事をすると、シュティアの方を見る。

 見た瞬間のシュティアの目には、何か考えを閃いたかのように輝いていたのは気のせいだろうか。


「……獣人のところでの、取引……忘れた?」

「取引って――」


 シュティアとの約束が思いださなかったので、一瞬考えるがすぐに思い出した。


 獣人のところでオークを倒しているときに、俺は攻撃を食らって一度死にかけた。

 シュティアに助けられたが、その時に自分を信用するよう努力するよう言われた。それが俺をたすける条件だった。そのときの取引のことを言っているのだろう。


「別に信用していないということじゃない。走っていった方が早そうだと思ったからだ」

「走った方が早そうって……」


 どうやら走っていこうと思っていることが衝撃的だったらしく、ヴェーヌが4人の考えを代弁する。4人の顔がひきつっていた。


 今の俺なら走った方が早いのだ。縮地に身体強化のコンボを使えばすぐにつくだろう。距離によってジープと同じぐらいかかるかもしれないが……


「……それでも、ダメ」


 ひきつっていた顔が戻ったシュティアが発言をする。引く気はないようで、声に力が込められている。

 他の3人も表情を見る限り引く気はなさそうだ。


「……わかった。連れていく」


 仕方なく折れる。連れて行くということを聞いた4人は、どこか満足した表情だった。




 さすがに、盗賊に襲われたという村の場所までは分からないので、場所を調べることにした。

 昨日の夜、駆けて行った馬はギルドと領主邸に行ったと、盗み聞きしていた時に聞こえたのでギルドに行く。さすがに領主邸にはいけない。


「で、どこに向かっているのですか?」


 ギルドに向かって行ってと、ヴェーヌが尋ねてきた。冒険者ギルドと領主邸に馬が向かったのは言ったために知っているが、向かう先は言っていなかったので分からなくて当然だ。

 カナはウーラに手をつながれている。


「向かう先は冒険者ギルドだ。さっき言った通り、昨日の馬に乗った人がそこに向かって行ったらしいから、ギルドには情報があるだろう。そこで情報を得ようと思ったから向かっている」

「あー。なるほど」


 メルクールが納得したようにうなずく。他の3人も雰囲気からして納得したようだ。




 そうこうしている間に、ギルドについた。

 朝のラッシュは過ぎているためか、冒険者は数えるほどしかおらず、受付の人も暇そうにしていた。


「座って待っていてくれ。聞いてくる」


 4人は俺の言葉を聞くとうなずき、近くにあった椅子に座る。

 俺は暇そうにしている受付の方に向かい、1人の女性に聞くことにした。

 ここのギルドも他のところと同じように、受付は女性がしている。男性の姿は見えないが、裏の方で何かしているのだろう。


「ようこそ、冒険者ギルド【コロノ支部】へ。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「村が盗賊に襲われたと聞いたのですが、それについて教えてください」

「わかりました。どのようなことを説明すればよろしいでしょうか?」


 見事な営業スマイルを浮かべた受付の女性に尋ねる。

 予想ではお金を取ると思っていたのだが、普通に答えてくれた。

 質問した内容は4つだ。


 1つ目はどこに出たのか。場所が分からないと向かえない。

 2つ目は盗賊の規模について。盗み聞きしてやつが言うのは間違っているが、6人という規模が信用できないからだ。

 3つ目は盗賊の強さ。こちらがけがをしないために聞いた。例え聞かないで攻撃をしに行ったとしても、けがはしないだろうが。

 4つ目は盗賊が出た理由。大体の理由は物を盗むためのはずだが、男性が言っていた、何やら焦っていたということが気になった。


 俺が尋ねると、受付の人は何故か怪しんだが丁寧に説明してくれた。


 盗賊が出たのは近くの村。

 といっても、ここの街から馬を飛ばしても半日はかかるような場所にある小さな村だ。もちろん騎手は装備を一切つけていない状態でかる日数なので、討伐のために装備をそろえた人が向かうとかなりの時間がかかる。

 そして、ここの街から前の街までの道を少し戻らなければいけないようだ。


 村を襲った盗賊の規模は、話していた通りの6人。村からここの街に助けを呼びに来た人の説明と、ギルドにある手配書から考えて、6人中3人は賞金がかかている。もちろん賞金金額が高い低いはある。

 だがそそれでも半分は賞金首なので、油断はできないだろう。


 そして肝心の襲った理由は、薬を得るため。

 盗賊は、どうやら最近大規模な攻撃を仕掛けたらしい。成功すればかなりの金を得ることができて、失敗すれば全滅。そんな攻撃だった。


 結果は失敗。本来成功したであろう作戦だったようだが、盗賊が攻撃していたら、何者かに場所がわからないほど離れたところから攻撃された。そのため作戦は失敗し、大半の盗賊が死んだ。

 命からがら逃げて残ったとしても重軽症のため薬が必要になった。

 最悪なことに薬は底をついていたので、村を襲って薬を得ようとしたらしい。


 もちろんこれらの情報は、ここの街に助けを呼びに来た人がもたらしたものという説明も受けた。



「説明は以上ですが、1つだけ答えていただけませんか?」

「はい。どうぞ」


 説明を終えた受付の人が、質問してくる。俺は質問に答える意思があることを示す。


「まさかと思いますが、倒しに行こうとは思っていませんよね?」

「思っていませんが、なぜですか?」


 嘘をついた。倒しに行こうと思っている。

 質問をしてきた理由が気になったので、尋ねる。


「先ほども言いましたが、賞金がかかっている者は、先ほどいった3人のほかにも複数います。そんな危険な盗賊の集団を倒しに行こうと思っていないか心配になったのですよ」

「大丈夫です。盗賊のいる方向は向かう先と反対方向なので、行こうにも逆方向に行かなければなりません。そんな面倒はごめんですよ」

「そうですか。ならいいのですが。近頃の若い冒険者は無茶ばかりするので……」


 再び嘘をついたが、受付の女性は信じて安心した表情になる。

 俺は受付を離れてシュティア達のいる場所に戻った。


「盗賊のことについて、何を聞いてきたのですか?」

「盗賊が出た詳しい場所と規模。そして強さと村を襲った目的を聞いてきた」

「それでなんて言っていました?」


 ヴェーヌが興味津々で訪ねてきた。

 そこで俺は聞いた話をそのまま伝える。

 説明中は5人とも口を挟まなかった。そのためすんなりと説明を終える。


「説明にあった、『盗賊は、何者かに場所がわからないほど離れたところから攻撃さた』っていうのは零さんのことでしょうか?」

「……私も、そう思う」

「私も同じ意見ね」


 俺が聞いたことを話し終えると、ヴェーヌが予想を言う。その予想にシュティアとウーラも賛成であることを示した。メルクールとカナは無言でうなずいた。


「もしそれが本当なら、()()()()()()()()()()()()()()ということだな。そして失敗した上に、けがをしたので薬を盗みに行ったと」

「王族の馬車を襲うって、とんでもないことをやりましたね……」


 俺の言ったことを聞いて、ヴェーヌが苦笑いする。他の4人も苦笑いしていた。

 王族の馬車を襲うとなると、死刑は確定だ。それでも盗賊は王族の馬車を襲った。それは勇敢なことと言っていいのか、バカなことと言っていいのか少し迷う。

 ……バカなことだな。


「村が襲われた理由は、あなたも少し関係しているのね?」

「本当はいやだが、そういうことになるな」

「じゃあ、問題を起こしたあながケリをつけるべきよね?」

「なあ、ウーラ。お前は、俺が盗賊を倒すように誘導しているのか?」

「さあ? どうかしら?」


 ウーラの言ったことを、俺は認めた。ウーラはなぜか微笑みながら聞いてくる。

 まるで俺を誘導しているように……


 ウーラは誘導しているように言うが、言っている通りだ。

 本当は王族を襲った盗賊が悪いのだが、逃がしてしまった俺にも少しだが問題があるだろう。


 俺は小さなため息をついて、5人を見る。

 カナを除く4人はどこか期待した表情をしている。カナはじっとこちらを見ている。


「……行かないからな」

「「「「……え?」」」」


 予想とは違う答えだったらしく、4人はきょとんとしていた。

 カナは珍しく、少しだが驚いた表情をしていた。


 俺は席を立つと、ギルドの出入り口へ向かって行く。そのあとを思考が戻った4人とヴェーヌに手を繋がれたウーラが付いてくる。


 出ていくまでに数人の冒険者とすれ違ったが、少しだが驚いた表情をしていた。どうやら俺達の会話を盗み聞きしていたようだ。

 驚いているということは、俺が盗賊を倒しに行くというとでも思っていたのだろう。




「……待って」

「どうした?」


 ギルドを出て歩いていると、後ろからシュティアが声をかけてきた。俺は立ち止まると、振り返って尋ねる。

 カナはヴェーヌに手を繋がれていた。


「……盗賊、倒しに行かないの?」

「行くが、なぜだ?」

「……ウーラが、聞いたとき……行かないって、言ったから」

「そういうことか」


 シュティアが疑問に思った理由が理解できた。ウーラが聞いてきたときに行かないと答えたので、俺が盗賊を倒しに行かないと勘違いしたようだ。


 話の流れからして、行かないと思っても仕方がない。

 最初は、自分の力を確かめると言っていた。しかし学校から来たやつらと同じようになりたくないと言ってやめるといった。しかし情報を集める。だが突然、行かないと言い出した。混乱して当たり前だろう。


「先ほど、行かないと言った理由は、誰かが聞いている可能性があったからだ。だから行かないと言っただけだ。案の定、聞いていたやつがいた」


 俺がそういうと、4人は納得した表情になった。

 俺はさらに続ける。


「今回は、捕まえに行くという方が正しいな。理由は、俺がきちんと倒しきれていなかったから村が襲われた。だから原因の1つである俺が解決しようと思ったからだ。」

「といいつつ、本当は実力を確かめたいということですね?」

「メルクール。お前、村まで走っていけ」

「ひどくないですか!?」


 俺が建て前を話すと、メルクールが本当の目的。わざわざ俺が言わなかったことを言いったので、メルクールには村まで走ってもらおう。

 何も問題はない。馬で走ったら半日かかる距離を自力で走ってもらうだけだ。何も言わなかった3人とカナは軽装甲機動車に乗せよう。




 一度宿に戻って、出発することを伝える。また泊まりに来るようにと言われたので、機会があれば来よう。いつになるかわからないが。


 宿から出ると、この町に入ってきた門とは反対側――盗賊に襲われた村に向かうことができる門とは反対側の門に向かって歩き出す。


「あれ? 村って向こうですよね? なぜこちらに行くのですか?」


 ヴェーヌが尋ねてきたので振り返る。ヴェーヌは不思議そうに俺を見ながら、村に行くことができる門の方向を指さしていた。

 カナを含む、他の4人も不思議そうに見ていた。


「それは後で説明する」


 それだけを言って、歩き続ける。5人はそれ以上何も言わずにひたすらついてきた。

 もちろん後で、軽装甲機動に乗って移動するときに、5人に説明するつもりだ。


 昼近くだったので、昼食は途中にあった屋台に寄って、焼き鳥のようなものを大量に買って、歩きながら食べた。

 向かう先は、街の外につながる門。


 街を出ていく集団のラッシュは過ぎたらしく、ほとんど待たないで検査を受けることができた。

 門で身分証明書の代わりとなる冒険者ランクの板と、カナの分の身分証明書を見せて門を出る。問題なく出ることができた。


 門から出てからまっすぐ歩く。

 門にいる兵士から軽装甲機動車が、軽装甲機動車と確認できない距離まで来たので、軽装甲機動車を出すために止まる。


「盗賊は倒しに行かないのですか?」

「これから向かう」

「じゃあ、なぜこちらに来たのですか? 村は反対側ですよね?」


 メルクールが尋ねてきたので、軽装甲機動車を出しつつ、俺は倒しに行くことを伝える。

 残りの4人も不思議そうに俺を見ていた。

 俺はため息をついて、説明する。


「ギルドで、俺が盗賊のことを聞いただろ。その場面を数人に見られた。もし向こうの門から出て行ってみろ。俺が盗賊を倒したのがバレる。盗賊は賞金がかかるほど強い。もし倒したとなれば、いろいろと面倒だ」

「なら、盗賊を倒しに行かなくてもいいのでは?」


 メルクールの言ったことにちょっとイラッと来た。

 最初は盗賊を倒しに行けと言っていた方に入っていたにも関わらず、突然行かなくてもいいのではと言ってきたから。


 俺は満面の笑みでメルクールの方に、体ごと向く。メルクールは、俺が何を始めるのか分かっておらず、きょとんとする。どうやら他の4人もわかっていないようだ。


「メルクール。獣人ってすごいよな。身体能力高いから」

「な、な、なんですか。な、なんですか!」


 俺が褒めると、メルクールがあわあわしながら答える。メルクールを除く4人も突然のことで驚いていた。

 俺は続ける。


「そんなに警戒するなよ。お世辞じゃないぞ? 力強いし、足早いから尊敬するよ」

「ほ、褒めても何も出ませんよ!」

「俺も獣人に生まれたかったよ」

「ちょ、ちょっと待ってください! 待ってください!」


 他の4人は、俺とメルクールのやり取りを眺めている。シュティアとヴェーヌが羨ましそうにメルクールの方を見ているのが、視界の端っこで分かった。

 ウーラは、俺の考えが分からないようで、あごに手を当てると首をかしげている。

 カナはメルクールのあわあわしているところ見ている。


「だから……」

「……だから?」

「目的の村まで走って来い」

「……え? え~~! ひどくないですか!? それひどくないですか!? いくら獣人でも無理がありますよ!」


 メルクールが訴えてくるが、俺はスルーする。メルクールを除く4人はそそくさと軽装甲機動車に乗り込む。メルクールの二の舞にはなりたくないのだろう。


「方向は向こうだ」

「いや、待ってください! 謝りますから! 触れたらだめだったのに、触れたことを謝りますから! だから載せてー!」


 見渡す限り、6人だけしかいない広い草原に、メルクールの声が響き渡った。

明日は『海の日』ですが、近くに海がないので泳げに行けない……


先に言いますと、海の日だからと言って特別な話(?)は投稿しません。そもそも書けていないので……

もう少し話が進んだら、特別な話(?)を混ぜていこうかと思います。

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