第23話 久しぶりの街
2018/04/22
大規模(?)な変更を行いました。変更箇所は第3話と第4話です。追記していると、長くなりすぎた上に、サブタイトルと関係がない話になったため、2つの話に分けました。ご迷惑をおかけしてすみません。物語を読むうえでは、大きく影響をしないと思います。つきましては、活動報告の方に記載させていただきます。
「長かったようで、短かったですね」
「確かに」
ヴェーヌが2か月間にあった思い出に浸りながら言う。俺も思い出に浸っていたので、短く答える。
エルフの郷と現在いる場所は、時差があまり無いようだったので、時間を気にすることなくゆっくりと街へ進むことができる。途中、森の中でイノシシのようなものを狩りながら進む。もう少しで森から出ることができそうだったので、自然と歩くペースが速くなる。
「おー! 懐かしの草原!」
「大げさだ」
メルクールが大げさにそんなことを言うので、突っ込みを入れる。まあ、確かに2か月も離れていたからそう思うのは仕方ないだろう。
街に向かって歩き出そうとした時、街の方から1人の男性が来るのが見えた。服装は黒色のマントを着ており、顔はフードに隠れている。そのため近づいたとしても顔は分からないだろう。マントと言えば魔法使いをイメージする。
「冒険者か。ここにも来るんだな」
「いいえ、違います。あれは魔族です」
「魔族だと!?」
ヴェーヌが魔族であると言ってきたので、つい聞き返す。シュティアとメルクール、ウーラの雰囲気が変わるのが分かった。
しかし目の前の人は、どう見ても普通の冒険者の服装だ。森に近いため、魔物でも狩りに来たのだと思ってしまう。
「……魔力が……違う」
「確かに違いますね」
「ええ。同感だわ」
メルクールとシュティアもわかるのか、臨戦態勢に入る。ウーラも臨戦態勢に入っていた。急いで俺も臨戦態勢に入る。使用するのは銃だ。剣をしようと思ったが、ここで出し惜しみをすれば間違いなく死ぬと思ったからだ。ゴーレムであるカナは後ろに隠れる。
魔族と思わしき男はこちらの動きが分かっているにも関わらず、武器を構えずにそのまま歩いて近づいてきた。
「大丈夫だ。私は攻撃をしない」
「嘘つかないでください!」
声が届く距離まで近づくと一方の魔族らしい人が意思を伝えてくる。しかし、メルクールがすぐに反論する。言い方からすれば、本来なら攻撃をしてくるみたいだ。
「魔王様に言われているのだ。『手は出すな。とある奴を探し出せ』と……」
「とある奴だと?」
疑問に思ったので尋ねる。たぶんだが、勇者あたりだろう。魔王の敵は勇者。本に書いており、勇者は魔王を倒すことのできる唯一の存在だそうだ。
「レイというやつだ。用があるらしい」
「え!?」
だが俺の考えは違った。
魔族の答えに、メルクールが驚きの声を上げる。あまりにも想定外な答えが返ってきたらそうなる。驚いたのはみんな同じだ。
しかし俺は見逃さなかった。驚いたのは俺達だけではなかった。なぜか魔族の人も驚いていたのだ。
――といってもほんの少し表情を変えただけなので、実際に驚いたのかは分からない。
「知っているのか?」
「ああ。俺が零だ」
「そうか。手間が省けた。伝言がある」
魔族が聞いてきたので、俺が零であることを伝える。すると魔族は伝言があることを伝える。
「先ほど言ったように魔王からの伝言だ。『魔王城に来るように』以上だ」
「で、俺をどうするのだ? 無理やり俺を連れていくのか?」
「いいや。自分の意思で来ることを望んでおられた。期間は言っていなかったが、どちらかが死ぬ前に来るようにのことだ」
どうやら魔王は俺に用があるらしい。ちょうどいい。俺も魔王を倒してさっさと元の世界に帰りたいからな。
「俺も魔王に用があるからちょうどいい。魔王に伝言を頼む」
「何だ」
「待っていろ。行ってやる。そう伝えてくれ」
「分かった」
魔族はそれだけ言うと森の中へ向かっていった。
魔族が森の中に入った後も警戒していたが、出てこないと判断してなぜ魔王が俺を探しているのかを考えた。だが、魔王は何を考えているか全員で考えたが答えが出なかった。
勇者なら倒すためと簡単な答えが出てくるが、普通の人に何の用があるか想像できない。
気持ちを入れ替えるついでに、少しだが森から離れているので、インベントリから軽装甲機動車を出す。この軽装甲機動車はドローンを貰った時に一緒にもらったものだ。魔力で動くためすごく静かに移動する。
魔力については、空気中から魔力を供給するか、魔石を砕いたものを専用の場所に入れて魔力を供給する。もしくは搭乗者の魔力を流し込んで使うかだ。
隣ではカナを除く4人が驚いていた。軽装甲機動車を見るのは初めてだからだ。
「これが言っていたものですか? すごいですね……」
「他にもあるが、それは今後見せる」
扉を開いて乗り込む。十分に乗り込める広さだった。エルフの郷にいる間に気が付いたことだが、この軽装甲機動車はエアコンなどが完備されている。そのため快適な旅ができる。
後ろの席は3人乗れるようになっていた。もちろん天井の一部を開いて覗けるようになっている。
ちなみにカナのことだが、生き物ではないためインベントリに入れることができる。ただしカナがかなり嫌がるため、よっぽどの事がない限り入れないつもりだ。入れるときも、きちんと言わないと、突然インベントリに入れたら怒る。それもかなり……
「乗りたい奴は乗れ。乗りたくない奴は歩いてこい」
驚いている4人に俺はそう言うと、運転席に乗り込む。するとヴェーヌが助手席に乗り込んできた。すかさず後部座性にシュティアとメルクール、ウーラも乗り込んできた。3人はすこし怖がっていたが、俺についてくると言った以上、覚悟を決めたのだろう。
俺は全員乗ったことを確認すると、エンジンをかける。その瞬間、後ろに乗っていた3人がビクッとしていた。俺は全員がシートベルトをしたのを確認して、アクセルを踏み込む。どうやら俺とヴェーヌがシートベルトをしたのを、見よう見まねで同じようにシートベルトをしたのだろう。
来るときは徒歩だったため、かなりの時間がかかったが、帰りは車なので街にはすぐについた。
車に初めて乗ったシュティア、メルクール、ウーラは早すぎて驚いていた。ヴェーヌは前世で車に乗ったことがあるので、あまり驚いていなかった。ヴェーヌの太ももの上に乗ったカナはなぜかニコニコしていた。
街に近づきすぎると騒動になるので、ほどほどの所で降りて徒歩で向かう。もちろん軽装甲機動はインベントリにしまった。
街に入るため、列に並ぶ。前より人が多いのは気のせいだろうか。とくに冒険者が多いような気がする。
「なんだか、前より並んでいる人が多いですね」
「やはりそうか?」
心の中で悩んでいると、ヴェーヌが言ってくる。どうやらみんなも同じことを思っていたらしく、やっぱりという顔をしていた。やはり冒険者が普段より多いらしい。この街で何かあるか、付近の街で何かあるのだろうか。
カナははぐれないようにヴェーヌが手を繋いでいる。
「訪れた商人達よ! 我等は魔剣を欲している! 我らに魔剣を提供した者には将来、御用商人として引き立てる事を約束しよう!」
門に近づいた時、近くでどこかの貴族っぽい人が何かを言っているのが聞こえてきた。どうやら、魔剣が欲しいらしい。
「魔剣ですか。また高価なものを要求していますね」
ヴェーヌが言った通り、魔剣は高価なうえに、めったに出回らない物。使用するのはSランク冒険者・騎士団団長など腕に自信のある人しかまずもっていない。
ここで魔剣について少し説明する。
魔剣は3種類に分けられる。
一つ目が魔物の部位から作るもの。これは魔物の特定の場所にある部位を使用した武器。部位を取ったとしても、良い物から傷んでいるものまでさまざま。そのため出来が違う。前にメルクールに買ったものは普通の部位をつかった武器で、特殊な部位ではなかったため魔剣ではない。
二つ目が魔法回路を武器に埋め込むもの。これはそのままの通り、魔法回路を武器に埋め込む方法。だが、少しでも間違うと失敗作品になるため相当な技術が必要。そのため、まず出回っていない。
三つ目が特殊金属を使ったもの。特殊な金属のミスリル、アダマンタイトを使ったものがこれに当たる。しかし、これらの金属は加工が難しくドワーフでもめったに扱わない。
しかも、上で挙げた物はすべて高価。このことから考えると、今現在「欲しい!」と言っている貴族の奴がどれほど言おうが、差し出すものはいないだろう。
もちろん、メルクールの剣とヴェーヌの槍はインベントリに入れている。2人の武器は魔剣ではないが、それなりに良い物なので絡まれる可能性があったためだ。
何も持っていなかったら持っていなかったで怪しまれるため、2人には代わりの鉄の剣をあげている。鉱石干渉で作ったものだ。もちろん強化の加工を行っている。
良い武器を持っていなかったため、そのため絡まれることもなく街に入る。
貴族が近くに来た時、突然びくびくし始めてまるで関わろうとしないようにするように横を通り過ぎた。
「……レイ。何かした?」
「ナニモシテイナイヨ?」
横にいたシュティアがジト目で見ながら尋ねてきたので答えたが、完全に怪しまれている。
もちろんした。絡まれると面倒だったので、貴族に威圧を軽く掛けたのだ。指定した人にしか威圧がかからないようにしたので、周りに人は何も気が付いていない。
この世界の貴族は全員ではないが傲慢な奴がおり、こちらが少しでも失礼な事でもしたらすぐ死刑にされることがある。大体は上位貴族の坊ちゃんが傲慢な場合がある。まあ、今の力なら駆け付けた兵士10人ぐらい、簡単に返り討ちにできると思うが面倒ごとは避けたい。
門を通り街に入る。カナの分も払った。予想していなかったが、さらにカナの分の身分証明書も発行してもらったので、時間がかかった。
あまりにも人に似ているため仕方ないか……
街はやはりいつもより賑わっていたが、出店は出ていなかった。情報収集のためギルドに向かう。ついでにまた増えてしまった魔石を売る。大量に売ったので、だいぶ金に余裕が出てきた。ざっと金貨100枚ほどだろうか。
魔石を売るときにあまりにもたくさん出しすぎたため、受付の女性はギョッとしていたが……
尋ねてみると、3日後に隣の街で武道大会が開かれるそうだ。そのため、近くの街であるここ、【ウィーン】に一度集まるらしい。
ここから隣街までは2日で行けるので、腕試しで出場してみようかなと考える。体術や剣術などを教えてくれた獣人たちは強すぎて、強くなった実感が一切しない。
魔石を売った後は、服を買いに行く。さすがに2か月も訓練をしていたので、服に破れているところがでてきた。
俺が服を買いに行っている間に、シュティア達4人はカナを連れて子ども服を見ていた。俺の服はあっという間に決まったが、カナは着せ替え人形になっており、なかなか決まりそうになかった。
結局2時間ほど考えた末に、白のワンピースやリボンなどいろいろな服や髪を束ねる物を数点購入した。
カナの服はヴェーヌが管理することになった。と言っても、常に持ち歩くわけではない。
エルフの郷で軽装甲機動車などを受け取った際に、床に散らばっているいろいろなものを一緒に回収した。その時、一緒に箱のような物を回収したのだが、箱の中には指輪が入っていた。見た感じ普通の指輪だったのだが、調べているとそれがマジックバッグのような物であることに気が付いた。ような物、と表現した理由はカバンではないため。
しかしその指輪を使用すると、近くに亜空間が開きその中にいろいろなものを入れることが出来るようになる。もちろん無限ではなく、中の大きさがタンスほどなので、服などを入れるのが精一杯。
そんな指輪をエルフの郷を出る前に4人にそれぞれ1つずつ渡した。その際に全員頬を赤らめた。なぜ赤らめたのかを聞くと、全員婚約指輪だと思ったからだそうだ。
説明していなかった俺が悪いが、俺の今までの行動を知っていたらそんなことを思わないはずだが……
もちろんマジックバッグのような物であり、自分で荷物を管理する為に渡したと言うと、4人からすごく怒られた。
なぜだ……
日が暮れてきた街の中を歩き回って、宿を適当にとる。明日にはここを出発しないと間に合わないため一泊だけだ。
宿の受付の人が言うには、明日の昼頃には大規模な集団が隣町に向けて出発するそうだ。どうやら、大会に出場する人の最後の集団が向かうらしい。そこの集団と一緒に行こう。
夕食は宿にある食堂で取った。一泊だけしかしないので外食にしようと思ったが、シチューとパンにした。飲み物はお酒か水どちらか選べたので水にした。明日に影響しないようにだ。シュティアたち4人がお酒を飲もうとしていたが、水にさせた。
部屋に戻るとシュティアが生活魔法を使い、全員綺麗にする。その後、各部屋に分かれた。もちろん俺は一人。……になりたかったが、カナが一緒の部屋がいいと言ってきたので仕方なく一緒に寝ることにした。幼女趣味ではないから手は出さない。その前にロボットに興味はない。
次の日、朝食をとって装備を整える。今は剣を腰に下げている。銃はインベントリにしまっている。何かあればすぐに取り出せるので問題ない。
シュティア達4人とカナの準備も整ったため、馬車に向かう。
かなりの人数が来ていた。見た感じ、全員装備をしている。革製の装備から鉄製の装備まで幅広かった。中にはミスリルの装備を一部だが付けている人もいた。
男女の割合は大半が男性で、女性もちらほらと混じっていた。どうやら武道大会に出場する人の集まりだ。何人かの男性がカナにちょっかいを掛けてきたので軽く威圧する。ほんの軽くだったので、何もなかった。
時間になったので、馬車が出発する。大半は馬車の中でのんびりしている。冒険者が今回たくさん移動するだけあって、商人も一緒に移動する。そのため一部の冒険者は、移動のついでに片道の護衛の依頼を受けたらしく、外で見張りをしている。
全部で60人ぐらい一緒に移動するのではないかと思うほど大所帯だった。その上、ほとんどの乗客が戦い慣れている人のため、さすがに盗賊は襲って来ないだろう。
予想通り1日目は盗賊は襲ってこなかった。通った場所が草原だったことが原因だろう。かといって、草原でも盗賊が出るときは出るらしい。
夕飯は、インベントリに入れていた肉を焼いた。食べていると、近くの人がじろじろ見てきたため分けた。すると、次から次へと人が寄ってきたので、追加で焼いて振舞うことになった。
この世界では、旅の途中で食べるものは、干し肉やパンなどの保存のきくものが多いらしい。そのため、新鮮な食べ物にありつけるのは街ぐらいらしい。
結局、インベントリに入れていた肉は半分近くは持って行かれた。食いすぎだろ。冒険者……
寝るときは男性が外、女性は馬車の中で寝た。寝る前に、シュティアが女性に囲まれており、固まっていたが放って置くことにした。
結局2日目も事件は起きなかったので、早く移動できた。そのため次の日の昼過ぎには街についた。しかし各地から人が来ていたため、門の前に人が列になって並んでいた。太陽の位置からして、夕方頃には入ることが出来るだろう。
学校が忙しくて、書く作業が進まない。
書き溜めはあるのでまだ大丈夫ですが、いつ尽きるやら……
ペースにつきましては、3.4日に1回にするつもりです。




