閑話 シュティアの誓い
本編ではなく、エルフの郷でのとある出来事です。
書いていると、なぜかシュティアがヤンデレになっているのは気のせいだろうか……
「シュティア。すまんが出てくれないか?」
「……うん」
時刻はお昼近く。
レイが昼食の準備をしていると、呼び鈴が鳴った。レイは手が離せないので、私に出るようにお願いしてくれた。誰でもなく、私を頼ってくれた。とてもうれしかった。
もちろん私は返事をする。そして、そのまま急いで玄関に向かう。呼び鈴に出て要件を聞き、早くレイの所に戻って褒めてもらうために。
「あ! シュティアさん。こんにちは」
「……こんにちは……ヴェーヌ。……入って」
「おじゃまします」
ドアを開けると、ヴィーヌがいた。最近よく来るようになった。もしかしたら、またレイについて行く人が増えるかもしれない。そうなっては、わたしのレイを取る人が増える。
私は扉を開いたままにして、レイの所に戻ることにした。ヴェーヌが、扉を閉めてついて来るのが分かった。
リビングを通ってキッチンに戻ると、レイはインベントリを開けて何かを探していた。何を探しているのか気になったので、隣から覗き込もうとしたが、レイは私より背が高いから椅子を使わないと覗き込めない。
私は椅子を移動させて、レイの横からインベントリの中を覗き込む。中は真っ暗で何があるか分からなかった。
前にもインベントリの中を覗いた時があり、その時も見えなかった。その時になぜ見えないか聞いた。返ってきた答えが、他の人には中が見えないという答えだった。
「シュティア? 誰が来たのだ?」
「零さん、おじゃまします」
「なんだ。ヴェーヌか……」
「なんだとはなんですか!」
食材を探すのに必死になっていたため、私が覗くまで気が付かなかったレイが、誰が尋ねてきたのかを尋ねてきた。しかし答える前に、ヴェーヌがちょうど台所に入って来て、レイに挨拶をする。
ヴェーヌ、タイミングが悪い。
私がレイに気が付かれないように、ヴェーヌを睨むと、なぜ私が悪いの! という驚いた顔をして私を見てきた。
私がレイに、誰が来たか教えようとしているときに、部屋に入ってきたことに対して、怒っているの!
「……レイ、今日のお昼ご飯は、なに?」
「今考えている」
私は、なぜ睨まれたのかが分かっていないヴェーヌを放っておいて、レイに尋ねる。レイはヴェーヌからインベントリの中に目を移して、何を作るか考えているようで、ぶっきらぼうな返事を返してくる。
レイの考えている表情がかっこよく、私は見れないインベントリの中を見るのではなく、見る事ができるレイの横顔を見る。
レイは、最初は気が付いていなかったが、少しすると私が見ているということに、気が付いたためこちらを向く。
「なにしているのだ?」
「……レイの顔を、見ていた」
「……見ていて面白いか?」
「……うん!」
「……」
レイが尋ねてきたので、答える。呆れたのかは分からないが、レイは無言になると、インベントリに目を戻す。私はかまって欲しかったので、頬を右手人差し指でつんつんと突く。ぷにぷにしていて気持ちよかった。
「やめろ! 気が散る!」
「あぅ……」
ぷにぷにと押していると、レイがキレたらしく頭にチョップを入れてくる。私は頭を押さえて、椅子の上で縮こまる。
私の頭が割れそうになるかと思った! レイひどい!
「2人だけでイチャイチャしないで貰えますか?」
「イチャイチャなんてしていないが?」
「していましたよね?」
ヴェーヌが笑顔でお願いをしてきましたが、レイが否定した、ら。ヴェーヌの方を見ると、顔は笑っていました、が目は笑っていなかった
「……レイは、私の物。……イチャイチャして、当たり前」
「「お前の物じゃないだろ(でしょ)!」」
私がヴィーヌに答えると、なぜかレイまでこちらを見て否定してきた。それもすごく驚いで……
「……レイの、意地悪」
「わけわからん!」
私がレイに向かってそう言うと、レイがまたしても驚きながら答える。私はレイの答えに訳が分からない。だって私はレイと相思相愛だから。
「で、ヴェーヌ。なぜここに来たのだ?」
「シュティアさんのせいですっかり忘れていました!」
レイとヴェーヌは私を放っておいて話を進める。レイが尋ねると、ヴェーヌは手をパン! と合わせて答える。しかも私のせいにして忘れたことにしてきた。
もう! 2人とも、なんで私を放って先に話を進めるの!
「今日のお昼ですが、私が作ろうかなと思いまして!」
「なぜだ?」
「偏った食事をしていそうなので」
普段からレイは、偏った食事はするなと私たちにいいますが、私には偏った食事がどのようなものかわからない。
ヴェーヌは偏った食事を知っているみたい。今度聞いておこう。
「お前、料理作れるのか?」
「これでも、料理は得意な方なのですよ!」
ヴェーヌが昼食を作ると言って、レイは驚いていた。もちろん私も驚いた。まさかヴェーヌが作れるとは思わなかった。
ヴェーヌは蜥蜴族。蜥蜴族は森に住んでいるので、焼くぐらいしか調理法は無いはず。なのに得意なのはびっくり。
しかも威張るときに、私と同じくらいある胸を張っていた。
いつかもいでやる。
もちろん少しだが、私も料理を作れる。ここに来た最初の方に作って、レイに食べてもらった。それ以来、レイはなぜか作らせてくれない。なぜ?
「じゃあ、今日は作ってみるか?」
「いいのですか!?」
「試しだからな? まずかったら今後作らせない」
レイが提案すると、ヴェーヌが嬉しそうに尋ねる。その後レイが試しであると言った後の言葉を、私を横目で見ながら言ってきた。
なんで私を見ながらなの? なんで?
「じゃあ、何の材料があるか見せて下さい!」
「量が多いから全部は出せない。だが、よく使う物ぐらいは出してやる」
ヴェーヌが見せてというと、レイが大きなテーブルの前まで移動して椅子に座る。ヴェーヌがその前に座る。
私は、ここに居ても暇だと思ったので、自分の部屋に戻る。しかし部屋に戻ってもすることがない。
「戻りましたよー!」
部屋に戻る途中、玄関から元気な声が聞こえてきた。メルクールが返ってきたみたい。私は玄関に向かう。いい話し相手が帰ってきた。
「……お帰り、メルクール」
「ただいまです! シュティアさん!」
私が出迎えると、メルクールは笑顔で挨拶する。そこで気が付いたことがあるようで、台所の方を見る。
「……どうしたの?」
「ヴェーヌさんか来ているのですか?」
「……なぜ、わかったの?」
私はメルクールに尋ねと、メルクールは誰か来ていると尋ねてくる。私はびっくりして、目を見開いた。
まさかヴェーヌが来ていると、わかるとは思っていなかった。
「……なぜ、わかったの?」
「ヴェーヌさんの匂いがしたので。といってもほんの少しだけですが……」
私が尋ねると、ヴェーヌはどこか恥ずかしそうに答えてくれた。私は納得したけれど、すぐに心配になったことがあったので、体のにおいを嗅ぐ。もしかしたら、臭うかもしれないので……
「シュティアさんは大丈夫ですよ」
「……よかった」
私が体のにおいを嗅いでいると、苦笑いしながらメルクールは言う。どうやら大丈夫みたい。これならレイに嫌われないで済む!
「でも、変わったニオイはしていますよ?」
「……へ?」
メルクールが突然変なことを言いだす。私はドキリとして、変な声が出てしまった。メルクールが吹き出しそうになっていた。私がにらむと、メルクールは真顔にもどる。
わたしはこの時、いつかメルクールに仕返しをすることを心に誓った。
「違いますよ! においと言っても、人の匂いや動物の匂いなどの種族のにおいの事です。シュティアさんはレイさんとは違った、変わった匂いがしているのですよ」
「……どういう、こと?」
メルクールに言われたことが分からず尋ね返すと、メルクールは顎に手を添えて、少し考える。
「おーい! シュティア! メルクール! 昼食ができたぞ!」
「はーい! 今行きまーす!」
メルクールが考えていると、レイが廊下の向こう側から、顔をのぞかせて声を掛けてきた。メルクールは返事をすると、奥に向かっていった。私もそれに続く。
結局最後まで聞けなかった。なので、いつか聞きたいと思った。だが、その考えもすぐになくなった。廊下にはほんの少しだけれど、いい匂いが漂ってきていたからーー
「お邪魔しています、メルクールさん」
「こんにちは、ヴェーヌさん!」
メルクールが台所にはいると、ヴェーヌが挨拶をする。メルクールも挨拶を返す。台所には、廊下で嗅いだいい匂いが漂っていた。どうやら昼食ができたみたい。
テーブルを見ると、できた昼食が置かれていた。色とりどりの昼食でとてもおいしそう。
グラスに入った、異様な色の飲み物を除いて……
「……ヴェーヌ……これ、なに?」
「それは野菜ジュースですよ!」
深い緑色をした飲み物をしたものを指さしながら尋ねる。ヴェーヌは笑顔で答える。
レイは苦笑いしている。
深い緑色をした飲み物――野菜ジュースは見た目からして、もはや飲み物とは言えないものだった……
「飲まないとは、言わせませんよ?」
どうやら、私の顔に「飲むの?」という字が浮かんでいたようで、笑顔で言われる。目は笑っていなかった。
「……最後で、いい?」
「飲むのならいつでもいいですよ? 食前でも食後でも」
私が尋ねると、ヴェーヌが答える。私は少しホッとした。こんなものを飲んだら、不味さで倒れてしまいそうだから。
「「「「「いただきます!」」」」」
全員が席につくと、手を合わせて挨拶をする。これはレイの居た``にほん``という国の挨拶で、食べる前に言うらしい。私もはやくレイの居た``にほん``という国にいきたい!
そう言えば、私はまだ〝にほん〝という国の事を1つも聞いていない。時間があれば聞きたいけれど、レイはいつも訓練に必死だから疲れている。だから聞こうにも聞けない。
ヴェーヌの作った食べ物は意外においしかった! 意外にもレイと同じように上手だった! ただ、なぜかレイの作った食事と同じような味付けだったのが気になった。
いつも食べていると、味付けが同じようになるのは仕方がないのかな?
いろいろと話しながら食べていたので、あっという間にヴェーヌが作った昼食は無くなった。
問題のものを残して……
「……これ……飲まなきゃ、だめ?」
「当たり前です! これが無ければ、バランスが悪いです!」
問題の野菜ジュースを目の前にして尋ねると、少し怒りながらヴェーヌが言ってきた。レイとメルクールは野菜ジュースとにらめっこしている。レイにも勝てそうにない敵がいることが分かった。
今日はウーラが来ていない。会議があると言っていた。
とても残念。
突然、レイがグラスをつかんで一気に野菜ジュースを飲んだ。飲み干すと、下を向いて何かに耐えていた。肩がプルプルしている。
相当まずかったみたい……
「大丈夫だ。飲める」
「……本当ですか?」
「ああ。本当だ。飲める」
少しするとレイは顔を上げて、私とメルクールに言ってくる。あまりにも怪しかったので、メルクールが本当か聞くと、レイは大丈夫という。
本当に大丈夫なの? 私、明日太陽見れるかな?
「わかりました。飲みます!」
メルクールがそう言うと、グラスをつかんで一気に飲む。途中、何度も止まるが、口をグラスから1回も離さないで、ついに飲み干した。
そして――
「にっが!!」
顔をしかめながら、すごく低い声が出た。普段出るような高い声からはそうぞうも出来ないような声だ。
わたしは野菜ジュースを見て、メルクールを見る。その後ヴェーヌを見る。ヴェーヌはニコニコしながらこちらを見ていた。
「……飲まないと、だめ?」
「飲まないと、だ、め、で、す、よ!」
私が再び尋ねると、半分怒った顔になりながら、ヴェーヌが言ってくる。レイの方を見ると、目を逸らされた。飲んでもらおうと思っていたのに……
仕方がないので私は飲むことにした。グラスを手に取って口の近くまで持ってくる。ヴェーヌはずっとこちらを見たままだった。怖さで手がプルプルする。
私は一気にグラスを傾けて飲む。そして――
「……に、苦い」
なんとか飲み切った。あまりにも苦かった。レイと出会ってから味わったことがなかった味。
どうやら私の顔がすごい事になっているようで、ヴェーヌが笑いをこらえている。人の不幸を喜ぶのはどうかと思う。
視線を移動させると、レイと目が合った。よく見るとレイも笑いをこらえていた。
私そんなに面白い顔をしているの?
「……そう言えば……どうやって、作ったの?」
「零さんがミキサーというものを作っていたので、それを貸してもらったのですよ」
私がヴェーヌに尋ねると、普通に答えてくれた。その時に〝みきさー〝というものを使ったと言っていた。しかし私はそれが何なのか分からなかったので、レイの方を見る。
レイはため息を付くと、インベントリから何かを取り出した。
取り出した物は2つの筒からなる物だった。下の小さな筒にはハンドルが付いていた。そしてその上にある筒は上が開くようで、覗いてみたら刃が十字のように付けられていた。
「そのハンドルを回すと、中に入れたものが切り刻まれる仕組みです」
どうやら私が不思議そうに見ていたらしく、ヴェーヌが説明してくれた。
私が試しにハンドルを回すと、くるくると刃が回った。これで中に入れたもの――野菜を切り刻んでジュースにしたみたい。
私がいくらか触って満足したために手を離すと、レイは〝みきさー〝をインベントリに仕舞った。
その後、昼食の後片づけを行う。もちろんヴェーヌも片づけの前に飲んでいた。作った本人も顔をしかめていた。
私は今日起きた出来事を通して1つ誓う。
もう二度と、ヴェーヌに料理はさせないと……
途中で、零がシュティアに料理を作らせないと言って(書いて)いましたが、シュティアは料理が下手です。魔法は無詠唱で凄いのに……
ヴェーヌの作った野菜ジュースは、ゴーヤであったりピーマンであったりと、ともかくいろいろな緑黄色野菜をミキサーに突っ込んで出来た野菜ジュースだと思ってください。
ジャ○アンシチューかよ……
パソコンが無事に届いたので作業ができると思ったら、word入っていないじゃないですか!明日買いに行かないと……




