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『勇者視点 1』

今回は王都に残った勇者視点の話です。

零が獣人の所にいた時から、エルフの郷に行った時に起きた話だと思ってください。

(俺は勇者だ。だから、みんなのために頑張らなければならない!)


 大迷宮の中で、休憩中の仲間の5人を見ながらつぶやく男子生徒がいた。彼は小林修太(こばやししゅうた)。高校2年生。普通の高校生だ。いや。普通の高校生だった……


 修太は召喚された日本人だ。顔はそれなりにかっこよく、女子が恋バナをすれば、出てくるほどだ。


 職業は勇者。この世界に一人だけの勇者。勇者のため、スキルもチートではないかと思うほど強いものが集まっている。ただ、召喚されて1か月もたっていないのでステータスは低い。

 だが、かなりの数の戦闘をしてきたので慣れてきている。もちろん油断はしていない。油断をしているときが一番危ないからだ。


 初めは低かったレベルだが、今はレベル上げを行ったため順調に高くなってきている。実際にステータスプレートを見てみるとそれが分かる。


 レベルは11になった。それは今ここにいる生徒や先生の中で一番高いことを示している。さらに各種ステータスは1000を超えた。これは勇者のため、よく伸びる言われているが実際はそうなのか分からない。


 スキルについては、全属性適性・全属性耐性・物理耐性・剣術・縮地・先読・高速回復・気配感知・魔力感知・身体強化・言語理解と恵まれている。各スキルのは言葉の通りだ。


 ちなみに、この世界に召喚された時点で、剣はほぼ思い通りに操れた。理由は剣術だ。だが、思い通りに振れると言っても、きちんと型の練習を行わなければならない。


 もちろん勇者だからと言っても、レベルをきちんと上げなければならない。そうしないと、ステータスが上がらないのだ。


(俺は、例え仲のいい友達だったとしても、アイツのようには決してならない!)


 修太は校長先生から言われたことを思い出し、心の中で自分に言い聞かせる。アイツとは零の事だ。



 数日前、校長先生から零は王都を出ていったと聞いた。零は別れ際、みんなの事を足手まといになると言っていたと聞いた時、怒りで頭に血が上りそうになった。


(例え友達だったとしても、お前のいっていることが理解できない!)


 修太は聞いた時、こぶしを握り締め心の中で叫んだ。しかしこの時、修太は1つだけ大事なことすっかり忘れていたことがあったのだ。


 この時、周りにいた生徒や先生も、驚きや怒りを顔に出しているのが数多く見ることができた。そして、修太と同様でひとつ忘れていたことがあったのは、周りの生徒も同じだった。


 この場にいた皆がすっかり忘れていたこと。それは、零が王都から出ていくときの条件として10層のボスを倒していることを……




(俺は、他の奴らのように、途中で出ていかないで最後までここに残って強くなる!)


 他の奴ら――

 そう。ここを早くに出ていったのは零だけではなかったのだ。ただ、原因は零なのは確かだ。


 零が早くにここを出ていった。そのため、弱い奴でも王都を出て行って大丈夫だと思った奴らが、次々と出ていったのだ。


 中には、10層のボスを倒そうとして、誰にも言わないで勝手に大迷宮に入ったきり、二度と戻ってこない奴もいる。その場合、大迷宮内での死亡として扱われる。入ったのが分かる理由は、迷宮内で見たと言う人がいるからだ。なぜその生徒に戻れと、見た人が言わなかったか問い詰めると、まさか断りもなく入っていると思わなかったと答えた。


 これまで王都を出ていった人、大迷宮から戻ってこなかった人は合わせて40名ほどになる。来て間もないのに、かなりの人数がいなくなったことになるのだ。




 今はダンジョンでの訓練中のため、騎士団の人と来ているので死にはしないだろう。だが、騎士団の人がいるからと言って油断はできない。死ぬときは死ぬ。それが大迷宮だ。

 騎士団の人は、今は近くにいない。周りに危険がないか少し見回っているのだ。


(そう言えば、綾香は大丈夫だろうか……)


 そう思い、修太は綾香の方を見る。

 池本綾香(いけもとあやか)は修太の幼馴染。学年1番ではないが、クラスの中では一番にはなるだろう可愛さである。腰まで届きそうな綺麗で黒い髪に、整った顔立ち。学年一番ではないが、男子の目線はきちんと集めているのだ。

 綾香の職業は、魔導士という魔法を使う職業だ。スキルは、回復魔法がメインで、支援構成になっている。回復魔法がメインだが、攻撃魔法も普通に使える。といっても初級程度の魔法であるが。


 回復魔法の中の、範囲回復魔法は回復させたい人を選んで回復させることができるので、かなり強い。そのため、勇者である修太のパーティーに入っている。見た限り、だいぶ疲れが取れてきているようだ。


 そのほかの仲間を見回す。剣士の大野悟志(おおのさとし)。拳闘士の桐野孝仁(きりのたかひろ)。弓士の白崎楓華(しろざきふうか)。槍士の原井優香(はらいゆうか)。全員同じクラスの仲間だ。ただ、誰も恋人はいない。

 もしかしたら、近々できそうだが……



「そろそろ訓練の続きを始めるぞ」


 休憩していると、騎士団の男性が、戻ってきて声を掛けてくる。もう2人いるはずだが、まだ見回っているのだろう。


「よし! みんなもう少しだ! もうひと頑張りだ!」


 修太はそう言って声を掛け、仲間を励ます。


 今は、一番奥にボス部屋がある10層に到着する手前の9層にいるのだ。零は簡単に10層まで踏破していたが、それは銃があったためだ。

 本来なら、相手に気を付けながら行動をする。戦闘の時は、攻撃を受けないよう気を付けつつ相手に攻撃を当てるのが常識。仲間がいるのなら、回復と攻撃を分けて行う。魔法使いがいれば、回復は魔法使いに任せるのが当たり前だ。


 一方、零はどんなに敵が来ても、遠距離から一方的に攻撃し殲滅していた。それほど銃は強かったのだ。もちろん自作した銃だ。火縄銃なら一発一発装填しないといけないうえに、装填に時間がかかりすぎる。


(みんな、精神的に疲れてきているな……)


 身体的な疲れは、先ほどの休憩で取ることができた。しかし、精神的な疲れは取れないない。

 ここは大迷宮。いつ死んでもおかしくないのだ。そんなところでリラックスなんてできるはずもない。


 その後、少し戦闘を行い、今日の分は終わることにした。騎士団の人達が勇者パーティーの精神が限界に来たと判断したからだ。

 戻るときも、もちろん徒歩だ。10層のボス部屋の先に転移装置があるが、今の状態ではボス戦に挑めば必ず死者が出てしまう。そう判断したのだ。もちろん、騎士団の人たちで倒せば早いが、戦闘に手は出すなと団長から言われているので、それはできない。


 ここまで来た時間と同じ時間をかけて、地上まで戻ることになった。外に出ると辺りは薄暗くなり始めていた。


 王宮に戻り、風呂に入る。体が汗で汚れているからだ。その後、みんなで夕食をとる。


 夕食をとっていると、校長先生が前に出て来た。生徒は皆、前に注目する。


「そのまま夕食を食べていてよろしい。だが、耳はこちらに向けていて欲しい。」


 最近、何かあれば校長先生が前に出てきて話をする。ここ最近は、学校の奴がいなくなったという暗い話ばかりだ。


「残念ながら今日もまた、3人の生徒がいなくなりました」


 その言葉で生徒たちは、またかよとささやき合う。


「子生徒2人に女子生徒1です。3人はギルドに向かったようで、そこでパーティーを募集しました。すると、すぐに数人の冒険者が集まったらしく、そのまま門をくぐったそうです。そして、そのまま帰ってこなかったと門番は言っていました」


 校長先生は言葉を止め、生徒を見る。全員を見終わったらしく、前を向いて口を開いた。


「ここに残っている人たちは、くれぐれも出ていかないで欲しいと、先生たちは思っています。なので皆さんはその気持ちを踏みにじられないでください」


 校長先生はそう言い、席に戻っていった。その途端あちこちが騒がしくなる。去った3人について話しているのだろう。


「ねえ? 修太はここを出ていくつもりなの?」

「え? ああ。そのうちな……」


 向かいに座って夕食を食べていた綾香が突然聞いてきた。修太は肉を食べようとしていた手を止めて答える。


「そう……」


 綾香は一言だけで返答すると、再び夕食を食べ始めた。




 それから数日後、ついに10層ボスを攻略する準備が整ったため、挑むことになった。現在は10層ボス部屋前の安全地帯。ついた時には、夜遅かったので安全地帯で一泊してから、次の日に装備の確認と倒す手順を確認する。一番簡単な倒す方法は首を落とすこと。特殊なものを除くと、魔物でも首を落とされるとさすがに死んでしまうのだ。

 だが、それは無理だ。首の位置があまりにも高すぎる。そのためボスの体を剣で切って、少しずつダメージを与え倒すしかない。


「気を付けろよ」

「分かりました。行ってきます」


 騎士団の人に気を付けるよう言われ、修太は返事をする。周りの仲間を見ると、緊張はしているが、良い表情をしていた。疲れは一切ない。どうやら昨日はきちんと休めたようだった。


「じゃあいくぞ! 10層ボス!」

「「「「「おう!」」」」」


 修太がそう言うと、5人から返事が来た。その返事を聞き、扉を開く。扉は重たかったが、6人で協力して開く。


「グオォォォォォォォォ!!!」


 部屋の中にいたのは、オークキングだ。鎧・ヘルメットを付けており、オークの慎重程はありそうな大きなこん棒を装備していた。


「大丈夫だ! 今の俺たちなら倒せる! 行くぞ!」


 修太は、叫び声で怯んだ仲間を励ます。このボスに挑むと団長に報告した時に、アドバイスとして情報を貰ったので、オークキングの行動は大体わかる。

 すぐに予定通りの陣形になる。前衛に男子3人。中衛に槍士と弓士の女子2人。後衛に大賢者の女子1人の配置だ。


「頼むぞ!」


 修太は中衛と後衛の仲間にそういうと、オークキングに走っていく。それに続いて、残りの男子も走っていく。


 こうして修太達勇者組のボス戦が始まったのだった……




 その後、オークキングの攻撃がもろに当たって大けがを負ったり、綾香の魔力が切れそうになったりと、予定ではなかったことが起きてしまい、かなりギリギリの戦いになったが、倒すことができた。

 その知らせは、6人が城に戻ると瞬く間に広がった。冒険者たちからすれば10層のボス討伐は小さなことだが、学校からきた仲間たちにとっては違う。何せ、初めてのボス討伐だからだ。


 実際は初めてではない。零が最初に10層ボスを討伐していたが、そのことは、ほとんどの生徒は知らない。知っていたとしても、すでに忘れている。

 ほとんどの生徒が知らなかった理由は、零が10層のボスを討伐して、戻ってきたのは夜遅く。そして次の日には、朝食をとる前に出て行ってしまったので、結果を聞く機会がなかったためだ。さらに校長先生と零の担任も、零がオークキングを倒しているということを忘れていることも原因の一つだった。




 とある夕食の時間、校長先生が再び前に出て来た。その顔は、ショックを隠しきれていない顔だった。その顔は今までより深刻な顔だったため、生徒が騒ぎ出す。先生が前までくると、静かになる。


「まず始めに、2年第1班におめでとうと言わせてもらいます」


 2年第1班。それは勇者組のパーティーメンバーを指す。

 3年の班なら3年第〇班。1年なら1年第〇班となる。先生の班は、先生第〇班となる。そして学年により、第〇班の数は変わる。大体の場合、強い班になるほど数字が小さくなる。

 このことから考えると、2年第1班は2年の中で一番強いことになる。


「皆さんは知っていると思いますが、今日、2年第1班は10層のボスを無事に倒すことに成功しました。これは大きな進歩と言ってもいいでしょう。他の班の皆さんも、10層ボスを倒すことができるように頑張りましょう」


 校長先生がそう言うと、拍手が起きる。校長先生も拍手で勇者組を称える。しかしその表情はいま1つすぐれない。


 拍手がやむと、校長先生が深刻な表情になる。今まで見せたことのないような表情で、今から話す内容が、ものすごく深刻であることを物語っている。


 場が静かになる。どこかで生唾を飲み込む音が聞こえてきたほど静かだ。


「先ほど、ここを出て行った3人の死亡が確認されました」


 その言葉でざわつく。校長先生の顔がどこか悔しそうになっていた。さらなる情報を得ようと静かになる。校長先生が再び口を開いた。


「3人を殺害したのは……2年の京崎零君です」


 その発言で一気にざわつきだす。同じ学校の生徒が、同じ学校の生徒を殺したのだ。ざわつかないわけがない。徐々に静かになり、校長先生が再び口を開く。


「京崎君は銃で3人の頭を撃ったと、一緒に行動していた冒険者が報告してきました」


 その発言で再びざわつきだす。今回は銃に反応したのだろう。


 さらに校長先生は聞いた話を続けていく。遠距離から撃ってきたこと。短時間で何発も撃ってきたこと。


 このことを聞いて、ある生徒は驚き、ある生徒は後悔した。この世界に来てからそれなりに時間は経っている。そのため、この世界については分かってきた。そして、どれほど自分達のいた世界の銃が貴重か分かっている。

 聞いた限り、零は自分で銃を作ったのだろう。そうでないと、短時間で銃を撃つことなんて出来ない。


 仲間外れにしないで、仲間に入れるのだった。もっと仲良くするべきだった。と言う声が聞こえてくるが、気付くのが遅すぎたのだ。遅すぎなのは、全員が分かっていることだった。しかし後悔しないではいられない。


「京崎君は我々のことを恨んでいるようなので、力がない人はくれぐれも京崎君にはかかわらないで下さい。力のある人は、京崎君をこちらに戻すことや、銃を取り上げることを考えてください。これは女王の願いでもあります」


 そういうと、校長先生は先生が集まる場所に戻っていった。


(かならず、京崎を捕まえてやる。そして、正気に戻してやる)


 修太は、零が人を殺したため捕まえてやると心に誓うのだった――

最近、書き溜めの分を書き直してから投稿しているため、書き溜めの分の話を新たに作る作業が進まないです。

まあ、書き直ししなければならないように書いた自分が悪いのですが……

現時点では投稿するのに支障は出ないのでご安心ください。

今後は出るかもしれませんが……

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