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エルフの郷へ向かう準備

これでメインヒロインがそろいました。多分……

多分といった理由は、もう1人一緒に行動する人がいるのですが、それがヒロインに入るかわかりません。

零と4人の会話に偏りが出ないようにできるか心配……

【ウィーン】はアルール王国の中で最もレールン王国に近い都市と言われている。国境にあった村のような物は村とは言えないので町の数からは除く。

 最もレールン王国に近いと言うだけあり、国境を渡る前や渡った後の冒険者や商人が集まっている。


 さらに近くに大きな森がある。大きな森というより樹海の方が正しいだろう。国内でこれほど大きい森はここぐらいで、そのうえ森に近い。そのため森に向かう冒険者の拠点となっている。

 そういったいくつかの理由で、王都よりは劣るものの大きな街と成長した。


 ウィーンに寄った理由は主に食料の調達。前に買った分は連れの人数の増加により、瞬く間になくなった。

 人数が増えただけで食料の消費が増えた。


 門をくぐるため列に並ぶ。1番混む時間帯ではないためか列は短い。


 街に入るときにヴェーヌとウーラの身分証明書はあるか聞くと、あると返事が来た。どうやらすでに作っていたようだ。

 まあ、身分証明書があるならそれでいい。


 シュティアとメルクールの身分証明書は俺が持っているため、俺の分とまとめて出す。その後通行料を払い街に入る。

 門をくぐって少しするとヴェーヌが声をかけてきた。


「送ってくれてありがとうございました」

「感謝するわ」

「いや。気にするな」


気にするなとは言ったが、お金を取りたいところだ。特に食費。ある程度はインベントリにいれているとはいえ、結構な痛手だった。


「それじゃあ私達はこれから向かうところがあるので」

「すまん。待ってくれ。尋ねたいことがある」

「なんですか?」


2人が立ち去ろうとした時、俺は1つ重大なことに気が付いた。


「……エルフの郷ってどうやったらいける?」


エルフの郷へ向かうと言うのに少し考えてしまった。いくらウーラがエルフだからと言って、正直に答えていいか戸惑ってしまった。

俺が尋ねるなりヴェーヌとウーラが驚く。やはりまずかったか。


「ここじゃ少し人が多すぎるわ。場所を変えましょ」


目を細めて俺を睨むウーラ。どうやら怒らせたようだ。



場所を宿に移す。宿の位置は門に近い場所だった。

一瞬だが人ではない2人が宿を取れるのかが心配になった。


というのも場所によっては獣人やエルフなどの人以外の種族――亜人の宿泊を拒否する宿がある。ただここの街は亜人を差別しないようで、そういう事態にはならなかった。


 宿の人に聞いたが、そもそもアルール王国は基本的に亜人への差別がほとんどない。そのためアルール王国内はどこに行っても差別は受けないそうだ。もちろん人が全員が差別をしないと言えばそれは嘘になる。中には差別をする人もいる。

ただここの宿は泊まる人は全員客として平等に扱うようで、拒否はしないと。


 これも宿の人から聞いたが、アルール国内ではなぜ差別がないかというと、アルール王国の南にある国が関係しているかららしい。

その国では強ければ歓迎されるからだ。例え亜人でも強ければ騎士団に入れる。もちろん、その様な国になったのには理由があるらしいが。

その様な国の影響を受けて、アルール王国も差別が次第に無くなった。ただ唯一違うのが、騎士団には人族しか入れないそうだ。


閑話休題




ヴェーヌとウーラは宿泊するようで、部屋を取っていた。

その2人部屋に入るとヴェーヌが扉の鍵を閉め、ウーラが何やらぶつぶつ呟くと最後にサイレントルールムと言った。

サイレントルーム。静かな部屋か。ただ何も変わった感じはしない。


「さて。それじゃあ話しましょうか。レイと言ったわよね? あなたは椅子に座って。そっちの2人はベッドにでも座って頂戴。先に言っておくけれど、外に音が漏れないよう魔法をかけたから安心して頂戴」


どうやら先ほどの魔法は防音をするための魔法のようだ。

言い方が少し強いウーラの指示に従い、俺は椅子に座った。シュティアとメルクール、ヴェーヌとウーラはそれぞれベッドに座る。


「単刀直入に聞くわ。エルフの郷に行って何をするつもり?」

「最初から説明したら長くなるから簡単に言うが、獣人の長老からエルフの郷にある兵器と呼ばれるものを貰うよう言われた」

「……証拠は?」

「これだ」


インベントリから動物の皮を取り出す。裏はツルツルだが文字が書かれている。ウーラはそれを受け取ると目を通す。

書かれている内容は俺のスキルのことと、預けても大丈夫だと獣人の長老たちが判断したことについて。


「判子は確かに長老達が持っているもの。嘘じゃないみたいね」

「それは本物ですよ。あたしも長老達から聞きました」

「獣人であるあなたがそう言うのならそうなのね。分かったわ」


メルクールの発言もあってか、ウーラの雰囲気が柔らかいものになる。信じてもらえたようだ。


「ちょっと待ってください。日本人って書いていますが……」

「ああ。俺は日本人だ。転移させられてきた」

「え……でも、髪の毛も目も」

「魔法だ」


質問に答えると、パクパクと口を開閉するヴェーヌ。何か言いたそうだが結局止めたようだ。

ウーラがそれを確認すると話始めた。


「それじゃあいっしょに行きましょう。私もエルフの郷に行くのよ」

「そうか。まあ考えればそうなるな」

「ただ行き方が少し特殊よ。どのみち森に入らないといけないのだけれど。その方法も私がいないと無理」

「ああ。頼む」

「この後は別行動でもいいわ。ただ合流しやすいようにこの宿に泊ってくれないかしら? 価格は高くないわ。どうしても別の宿がいいと言うのなら止めないけれど」


そう言ってシュティアとメルクールの方へ視線を向ける。

絶対的外れなことを考えている。


「ウーラ。残念ながらそれはない。だからこの宿で大丈夫だ」

「あら。防音が施されている宿なら知っているから教えても良かったのだけれど」


やはり的外れなことを考えていた。


「話はもう終わりか? 宿泊する手続きと買い物をしに行きたいのだが」

「ええ。大丈夫よ」


 話が終わったので、俺とシュティアとメルクールは部屋を後にする。先に宿泊の手続きをするか。


俺が泊まる1人部屋と、シュティアとメルクールが泊まる2人部屋をそれぞれ頼む。どちらも空いていたのですぐに決める。


鍵を受け取ろうとした時、ヴェーヌとウーラが下りてきたところだった。

メルクールが話しかける。


「どこいくのですか?」

「昼食を取りに行こうと思って。食べていないでしょ? 良ければ一緒にどうかしら?」

「ぜひ一緒に!」


メルクールが返事をするとウーラが俺とシュティアの方を見てきた。シュティアが俺の方を見てくる。任せると言った感じか。

せっかくだし一緒にどこかで食べるか。


「ああ。頼む」

「それじゃあ行きましょ。前に来た時に食べた店があるのだけれど、そこでいいかしら?」

「任せる」


俺はそういうとウーラについて宿を出る。


 宿の近くにあった飲食店に入る。内装はレストランっぽい物。夕食を食べに来る時に来るような内装だ。

 空腹だったと言うことで昼食は牛肉を焼いたものに黒いソースをかけたものと、パン、野菜のスープだった。その分やや料金が高かったが。

 ウーラも普通に肉料理を食べていた。どうやらエルフもお肉は食べるそうだ。


 昼食をとった後は街に出る。店の量はやはり中心に近い所の方が多いのだろう。買い物の為に街の中心に向かう。

 俺が買ったものは、服や食材をはじめとした物。これからエルフの所に行くが、どのくらい滞在するか分からない。獣人の所でエルフの郷で強くなる訓練を行うと言われていたので向かうのだ。



 最初はヴェーヌとウーラは別行動すると言っていたが、結局ついてくる。一緒に回った方が楽しいと言う理由だそうだ。


「……なに、買うの?」

「食材を買うつもりだ。時間があるとき、自分で何か作ってみようかなと思って」

「……レイの、手料理」

「そこまで期待はするな」


 シュティアと並んで話しながら歩く。シュティアが嬉しそうに微笑むが、期待はするなと先に言っておく。後で文句言われても困る。

 親の仕事の関係である程度は料理ができるが、それほどうまくはない。怜の方が昼食や夕食を作るのが上手だった。俺はスイーツ系を作るのが上手だった。バレンタイン前は手伝ってと怜が頼んでくるほどだった。そこまでスイーツを作るのは上手くないと思う。

 多分……



 俺とシュティアが話をする一方、残りの3人はしゃべりながら後ろをついてくる。ただ話に夢中になって、時々はぐれて迷子になりそうだった。


 あちこち見て回り、服や食材を買う。お金はかなり余裕があるので、問題なく買えた。途中にヴェーヌとウーラもいろいろ買っていた。結局あたりが暗くなったときに宿についた。


 夕食は宿に戻るときに見つけたよさそうな店で食べる。昼食の時とは違って、麺を使った料理だった。例えるならミートスパゲティーのような物だったのでかなり満足した。


 宿へ戻るとそれぞれの部屋に分かれる。お湯を貰い、体を拭くとさっさと寝る。部屋を分けていたため、ぐっすり眠れた。


 真夜中にシュティアとメルクールが突撃してくるまでは……






「で、なぜ昨夜来たんだ?」


 宿の食堂で俺は朝食を食べながら、シュティアとメルクールの2人に尋ねた。昨夜、2人が俺の寝る部屋に真夜中に突撃してきたので、元の部屋に叩き込んだがまた来るのではと思い、結局熟睡できなかった。


「悪いのはシュティアさんですよ!」

「……メルクール。人のせいは……だめ」

「最初に行くと言い出したの、シュティアさんじゃないですか! あたしは止めようとしていただけです!」


 2人が言い争いしている姿を、近くにいた他の客が温かい目で見守っている。

メルクールの言い分はあっているだろう。こいつは俺が――人が嫌いだ。そんなやつが俺の部屋に来るなんて思えない。


「メルクール。人のせいにするのはだめだ」

「だぁから、あたしじゃないですって! というより分かって言っていますよね!?」

「うるさい。朝食は静かに食べろ」

「だぁから。も~~! もぉぉぉおおお!」


 俺が注意をするとメルクールが頬っぺたを膨らます。

 その様子をヴェーヌとウーラは微笑みながら見ている。


 そんなこんなで朝食は賑やかにとった。連れがうるさかったことに対して、俺は心の中で周りの人に謝っていた。



 その後、森に行くため不要となる馬は売却した。これから向かうのは森の中ので、馬は邪魔になるため置いていこうと思った。しかしどのくらい滞在するか分からないのに、置いていくと後々面倒になりそうだったので4頭とも売り払った。4頭の理由は、ヴェーヌも所有する馬を売り払ったからだ。


 やはり、男3人から盗――貰った3頭はいい質の馬らしく、高額な値段で買い取ってもらえた。買い取った商人もほくほく顔だった。




 準備が完全にできたので街から出て森に向かう。距離的に5キロメートルほどだろう。草原にはいろいろな花が自生しており、それを見て楽しみながら森に向かう。そうしていると、感覚的にあっという間に森の入口についた。


 ここの森は獣人の住んでいた森と同じものだ。それは、その森がかなりの大きさをしていることを指す。聞いたところによると、大きさは小国1つ分ぐらいと言われているそうだ。森はうっそうとしており、何がいるか分からない。



 森の手前で少し休憩をした後、森の中へ入っていく。休憩中にウーラが近くに移転する魔法陣が置かれていると言うので、そこに向かうことにした。途中、シカのような生き物や鳥がいたので、銃で狩ってインベントリに入れておく。いつか調理して食べようと思う。


 かなり進んだところで、ウーラを先頭に洞窟に入っていく。入口は魔法により隠されていたため、ぱっと見ただけでは気が付かない。

 洞窟の中は何もなかった。どこにでもある洞窟だった。


 暗い中、無言でひたすら中を進むと、大きな部屋が現れた。ここも何もなく、間違ったのだろうと思ってしまう。

 そんな時、ウーラが部屋の真ん中に進む。ちょうど中心部分だ。

 ウーラはかがむと片手を地面について何かを確認するように目を閉じた。すると不思議なことに、魔法陣が地面から浮き出てきたのだ。


「さあ。この魔法陣に入って」


 ウーラが促してきたので、魔法陣に入る。全員が入ったことを確認すると、ウーラは再び目を瞑った。すると光の柱が下から出てきて周りを覆う。この世界に召喚された時とは光の柱が逆だ。


 光の柱が収まると洞窟だった。

 しかし先ほどの洞窟とは違う。明らかに人工的なものだった。それは洞窟の壁を見れば一目瞭然だった。洞窟の壁は絵を描いており、きれいに装飾され整えられていた。

 書かれている絵は大きな木だ。世界樹という木だろう。


 洞窟内はかなり広く、まるで壁際に並ぶように等間隔で柱が並んでいた。柱の方面には文字が書かれており、どうやらどこに繋がっているかを示しているのだろう。

 さらに今立っているところの後ろに柱があることから、柱は魔法陣の位置を表しているみたいだ。



 周りの絵を見ていると、洞窟の入口が騒がしくなってきたのに気が付いた。外に人がいるのだろう。もし本当にエルフの里ならば、外にいるのはエルフだろう。


「誰だ!」


 誰かが入口から入ってくるのが分かった。入ってきたのは、男性を先頭に男性3人女性3人だ。全員装備をしているが、皮装備だった。

 そして、その6人は――


()()()か……」


 そう。物語に出てくるような美形ばかりの()()()だった。

2018/03/31

ウーラの性格を変えるために、発言を少し変えました。といっても発言は大して変わっていません。

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