外伝第1話 イスバーン団長の報告書
今回は短いですが、レールン王国騎士団団長のイスバーンがレールン王国女王にあてた報告書です。
零が王都を出て行った日に渡したものだと思ってください。
それより、これを外伝にしていいのだろうか……
女王陛下。
部下から聞いた、ダンジョン内でのミヤザキ・レイの事について報告させていただきます。
昨日、ミヤザキ・レイが学校の校長と交わした約束を果たすために、ダンジョンの第10層ボスを倒しに向かいました。
以前から本人の行動に違和感があったので、護衛と言う名目で監視員を4名付けました。監視を付けたのは、新たな技術の所持をしている疑惑があったためです。
まず初めに、なぜこのようなことを行ったかを言いますと、ミヤザキ・レイを鍛えている鍛冶師から、銃に興味を示したと言う報告を受けました。そのとき、本人が何か考えている仕草をしていたので、不思議に思ったそうです。
さらには倉庫の管理人から、ミヤザキ・レイに火薬を大量に渡したと報告を受けました。倉庫の管理人は廃棄予定の物が減ったと喜んでいましたが、私はミヤザキ・レイが火薬を大量に入手したことに違和感を感じたのです。
その2点から、過去に召喚した者と同じように、本人が新たな銃の技術を持っていると予想を付けました。
結果を先に申しますと、新たな銃の技術を持っていない可能性があります。可能性だけであって持っている可能もあります。
持っている可能性は半々というところです。
まず初めに、持っていない可能性についてです。
理由としては、一緒にダンジョンに入った部下の情報から導きだしました。部下と移動中、ミヤザキ・レイは何度か銃を発砲しました。
しかし部下が言うには、ミヤザキ・レイが使用したのは既存の銃の可能性の方が高いらしいです。というのも、ミヤザキ・レイが発砲した銃の発砲音と発砲間隔が既存の銃と似ているからです。
新たな銃の発砲音はどうか分かりませんが、発砲間隔は早いと予想を付けていました。しかし先ほども書いた通り、発砲間隔が既存の銃のように長いため、新たな銃の可能性がありません。
また、一緒に来た日本人に話を聞いた所、一般市民は銃を作ることが出来ないどころか、作り方も知らないと言っていました。
銃の作りかたを知っている、もしくは作ることので来るものは限られた人という情報を得ました。
また、以前に召喚して銃の作り方を聞きだした日本人は簡単な物しか知らないと言っていました。そのことから、知っていても既存の銃のような物しか知らないと想像できます。
以上の事から、ミヤザキ・レイが所有する既存の銃より優れた銃の可能性は低いと言うことを導きました。
では次に、新たな銃であるという可能性についてです。
これはミヤザキ・レイの「たんにん」という者から得た情報です。情報は若い騎士団の者が得ました。
その情報とは、日本には「ねっと」と呼ばれる、遠くの情報をその場で得ることの出来る物があると言うことです。
これを使えば世界各地にいる人と連絡を取れるほか、いろいろな情報を瞬時に得ることができるそうです。
この「ねっと」というものを使えば、銃の情報を得ることが出来るのではないかと思います。
また、ミヤザキ・レイは友人などからいじめを受けており、一度命を落としかけました。そのため自分の力を使って友人を助けることを拒んでいます。
そこから考えますと剣はもちろんのこと、強力な武器になる銃を提供することはないでしょう。
例え提供しなかったとしても、持っている情報がどこからか漏れる可能性があります。それを恐れて作成したことを完全に隠している可能性があると、既存の銃と同じよう見せる可能性があります。
もしそれが実際に行われていたとしたら、ダンジョンにて私の部下をだましていたことになります。
以上をつきまして、ミヤザキ・レイが新たな技術を持ち込んだ可能性についての報告をお終わらせていただきます。
私は報告を行うだけなので、ミヤザキ・レイをどうするかの指示は後日お願いします。
この報告書を読んだ王女が騎士団に命令を行い、騎士団の3人が零を追いかけたと思ってください。