召喚者との遭遇
獣人の集落にいる間に死にかけたことがあったが、7日間過ごした後、俺は森に入った場所に立っていた。
シュティアと、置いてきたはずのメルクールと共に……
「おい。なぜおまえがここにいる」
「え? 罰ですよ、罰」
「罰? どういうことだ?」
俺はメルクールに尋ねる。メルクールは面倒くさそうに質問に答えるが、疑問が増えたのでさらに尋ねる。
「初めて会った時の事覚えていますよね」
「ああ。確かお前に襲われたな」
「本来は森の外で人に攻撃しちゃダメなんです。理由は言いません。でもそれがあたしたちの村のルールです。その罰として、付いて行けってことですよ」
メルクールが不満顔というより、俺を睨むかのように答える。
どうやらその罰が気に入らないようだ。
その理由は、俺を恨んでいるからなのか、人そのものを恨んでいるからなのか、はたまた面倒だと思っているからなのかは分からない。
「つまり嫌なんだろ? じゃあ村に戻れ。俺としてもお前がいれば邪魔で仕方ない」
「ちょっと待ってください。それどういうことですか? あたしが弱いって言いたいんですか?」
「実際お前弱いだろ。それに使えない」
メルクールは見ている限り近距離で戦う。俺は銃を使うため遠距離、シュティアは魔法を使うと言うことで同じく遠距離。
遠距離だけ、近距離だけというのはバランスが悪い。魔法を始めとする遠距離からの攻撃は、詠唱や準備が必要。その間に近づかれないようにするのが前衛の仕事となる。
だが俺の場合近づかれる前に攻撃できるし、シュティアの場合は即魔法を使える。そのため俺1人もしくはシュティアと一緒でも問題ない。
「はぁ~? あたしそんなに弱くない!」
今にも噛みついてきそうな雰囲気のメルクール。
ちょっと面倒くさくなってきた。
「実際、俺に一度負けてるだろ」
「あれはどう見たって勝敗に数えられないですよ! そっちが不正していたじゃないですか!」
「戦いに不正も何もないだろ」
このまま続けていても終わりそうに思えない。
ちらっと見ると、シュティアが若干呆れた表情をしている。
「ともかくだ。俺に負けて戻ってきましたって言って、村の人に言え。お母さんのところに戻れ」
「そんなこと言って戻れませんよ! それに、あたしの――いえ何でもありません。ともかく、例え村に戻ったとしても、別の罰があります。ならこのまま付いて行きます!」
「勝手にしろ」
「どこに行くんですか」
俺は話を切り上げて町の方向へと向かい始めようとする。
するとメルクールが尋ねてくる。振り返って見れば、まだ若干睨んだ表情で俺の方を見るメルクールと目が合った。シュティアはちょうど歩き出そうとするところ。
「町だ。良い忘れていたが、離れたくなったら勝手にどこへでも行け。それが付いてくる条件だ」
「そうですか」
納得したメルクールを置いていくように歩き出す。その後ろをシュティアと新しく増えた『勝手についてくる』メルクールが追いかけてくる。
歩いて行く方向はレールン王国の中で、最もアルール王国に近い【エリーノ】という街。
本当はこの街を通りすぎてもいいのだが、魔石を売ってお金に換えておきたい。ついてくるのがシュティアだけならよかった。
しかしメルクールという荷物が増えてしまったので、余分なお金を持っておく必要が出来た。
森から出るのにかなりかかった。太陽の位置から察するに今は昼近くのはず。思ったより獣人の村は森の奥の方だったようだ。
かなり歩いたので休憩していると、後ろから馬車が数台やってきた。どうやら行商人の集団らしい。歩くのが付かれたので乗ることにした。
目の前に来た時に馬車に乗れるか尋ねる。荷車だったと言うことで、荷台にあるわずかな隙間に乗ることになった。少しばかしのお金を払い荷台へと乗り込む。
ただ、獣人を載せるのは少し嫌だったらしく、顔をゆがめていた。どうやらレールンでは亜人を差別するようで、とくに獣人は差別されているようだ。
ちなみに、これから向かうアルール王国では亜人を差別しないそうだ。といっても全ての街で差別されないわけではない。また差別がない街でも、宿の店主が差別をしたりする。
ゆっくりとした旅で、何事もなく街につく。時間にして2時間ほど乗っていただろう。ただまだ夕方ではないのでインベントリ内にある魔石でも売って中を整理しようと思っている。
馬車は街に入るための列に並ぶ。そこで俺達は荷車から降りた。
門の前でお金を払った後、街に入る。国境付近だけあってにぎわっている。
門をくぐるとき、メルクールの身分証明書を発行してもらった。これが無いと今後困ることになるかもしれないから。
もちろんメルクールがお金を持っているはずもなく、俺が払うことになった。
明日には国境を越えようと思ったため何人かの行商人に聞いたが、2・3日は国境を渡る馬車が出ないそうなので、来るときに決めていた目的と観光をすることにした。
その前に、ギルドに向かう。インベントリ内の魔石を売るため。
夕方のためギルドはすごく混んでいる。酒に酔っているためか、いたるところで言い争いが起きていた。もちろんそんな物には目もくれず、受付に向かう。
ただ少しばかり視線を集めてしまうのは、俺が見慣れないためかシュティア達がいるからなのかは分からない。
「どこかに座って待っていろ」
俺はそういうと受付の列へと並んだ。列はそこそこ長い。
それでも受付の人が手慣れているためか、次々と人を捌いて行く。そして俺の番になった。
「ようこそ、ギルドへ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「魔石を売りに来た」
「ギルドカードはありますか?」
「いや、ない」
「登録されますか? 魔石などを販売した際の受け取り金額が少し増額されるなどの特典がございますが」
「登録はしない」
「わかりました。では買い取りの方をさせていただきますので、魔石を机の上に置いてください」
促されたので、俺は魔石をインベントリから取り出していく。
だがさすがにインベントリから取り出す場面を見せるのはどうかと思い、ポケットから出しているように見せかける。ただそれでも次から次へ魔石を出したため受付の人が顔を引きつらせている。
ポケットから出すのはまずかったな。
全て出そうか迷ったが、それはそれで鑑定が大変そうだったのでインベントリに入っている魔石すべてを売却ということではなく、十数日分ほどのお金が貰えそうな量の魔石を売ることにした。
「それでは鑑定を始めさせていただきますね」
俺が出し終えたと判断したのか受付の人は鑑定を始めた。
その間、俺はギルド内を見渡す。夕方もあって冒険者たちがひっきりなしにギルドの建物に入ってくる。
ギルドのお約束である中間程度の強さの冒険者に絡まれる感じはない。シュティア達たちも絡まれる様子は見えない。
すれから1分後、受付の人の鑑定は終わった。売った分の魔石は質が良かったのか、予想より多めのお金が手に入った。
それを受け取ると、シュティア達の方へ向かう。今は絡まれなかったとしてもこの10秒後に絡まれるという可能性はなくはない。
「なあ、聞いたか?」
「何の話だ?」
「この街に異世界の奴らが来たって話だ」
シュティアとメルクールを座らせている机の近くの机で、男性の冒険者2人が学校の奴らの事を話していたのが耳に入ってきた。
気になる内容だったので近づいて聞かせてもらうか。今どのような動きをしているかを知れば、今後動きやすい。
「何か飲むなりして少し待ってろ」
話を聞いている間、シュティア達には飲み物を飲んで貰っていることにした。
男性冒険者たちが座っている席へ俺はさりげなく近づく。
俺もこの世界で言う『異世界の奴ら』だが、今はシュティアの力で髪の色を変えているのでこの世界の住人として振る舞うことが出来る。
ただ顔は変えられないので、怪しまれるときがあるかもしれない。そのあたりは気を付けなければならないな。
「面白そうな話だな。聞かせてくれ」
「話してもいいが、わかっているな?」
「ああ。もちろんだ。好きなものを頼め」
俺は席に座ると、情報代としてお酒をおごってやる。すると男性は嬉しそうに店員に注文すると、話し始めた。話すのは1人だけのようだが、もう1人にも酒を奢っておく。
「で、異世界の奴らがここの町に来た話だよな? この街に来たのは2日前ぐらいだったと思う」
「思う?」
「ああ。他の奴から聞いた話だからくっきりとは覚えていない」
「続けて」
ほかの奴から聞いたらしく信憑性は考え物だが、話を続けてもらうため先を促す。
例え他の奴から聞いた話でも、情報になるのならいい。
「10人という大所帯で来て、『俺たちは勇者一行だ! 道を開けろ!』なんて言いながら偉そうに馬車に乗っていたらしい」
「おいおい。勇者様が偉そうに通っていたのかよ……。まあ実際えらいが」
主に話をしている男性が前のめりになりながら話す。一緒にいたもう1人の冒険者が言葉を入れるが、話を聞くため放っておく。
「どんな奴がいた?」
「勇者らしい奴に騎士らしい男性が2人。女性が7人だったな」
「さすが勇者! パーティーメンバーの女性比率がおかしいぜ!」
男性がまた言葉を入れてきた。早く先を聞きたいため、言葉をいちいち入れてくる男性を睨む。すると男性は手を軽くあげ誤ってくる。
それでいい。
俺は今話してくれている奴に視線を戻す。
「で、どうやら魔王を倒すために各地を回っているそうだ」
「アルール王国では優遇はされないのだろ? なぜこちらに向かってきた?」
「それが分からない」
そういうと男性は降参のポーズを取りながら背もたれにもたれかかる。
しかし、ここで不自然なことに気が付いた。こちらに来てまだそれほど立っていないのに、なぜ王都から出てきたかだ。本来ならまだ訓練中のはずだ。
ちなみに俺は例外。
「そうか。分かった。ありがとう」
一通り知っていることは話してくれたらしく、礼を言って立ち上がろうとした時に、入口が騒がしくなる。見てみると、入口から鎧を着た男性3人が入ってくるのが見えた。
「おい見ろよ。勇者様御一行だ」
「あれが勇者か?」
どうやらあれが勇者らしい。3人は道を開けろと大声を出しながら移動する。確かに情報通りだ。
ギルド受付の人も何かを言いたいようだが、相手が勇者の為何も言えないのだろう。
3人の髪の色と目からして学校の奴らだ。やはり黒髪は目立つ。
鎧は白色の上に紋章が書かれていたので、王宮で支給された物であることが一目瞭然。
3人が少し見回す。ここにいる人は全員、一切動かない。
3人は何か相談した後、俺の方へ向かってくる。学校の奴らは信用できないため、いつでもインベントリから銃をだして攻撃できるように身構える。
しかし目的は俺ではなかった。
「おい! そこの女2人! こっちにこい! 俺たちと遊ぼうぜ!」
どうやら狙いはシュティアとメルクールらしい。シュティアとメルクールは3人を一度見るが、興味をすぐになくして雑談をする。
それが癪に障ったらしく、3人のうち1人がシュティアの腕をつかんだ。嫌な予感しかしない。
「……離して」
「いいから来い!」
シュティアは嫌がって立ち上がろうとしないが、男子生徒は力づくで立たせようとする。魔法でどうにかすればいいものをシュティアが俺を見てくる。助けてと言っている目だ。
さてどうするか。
助けていいとは思うが、シュティア達2人は勝手に俺についてきているだけ。自分の身は自分で守れ。
そう思うと助けなくていいのではないかと考えてしまう。
じっと見てくるシュティアに俺はじっと見返す。
何も行動はしない。
それでようやく俺は関与しないという意思表示が伝わったのか、シュティアはわずかに顔をゆがめた後、手を握る日本人へ顔を向ける。
「……離して」
「だから――」
そう言いかけた日本人だが、まるで車に追突されたかのように後ろへと弾き飛ばされた。そんな姿をシュティアはじっと見ている。
「おい。今の見たか? 吹き飛んだぞ!」
「ばかかお前! そこじゃない! あの子何かしたか?」
「嘘だろ……まさか一瞬で攻撃したのか? 高ランクの冒険者かよ?」
「そんなわけないだろ。装備を見ろ! どう見たって前衛じゃない!」
「高ランクの魔法使いじゃないか?」
「短縮詠唱の魔法使いか?」
一気に周りが騒がしくなった。
シュティアの職業を何か想像しているようだが、良い線まで行っている。
外野がいろいろと話している中、残った日本人2人はどうするか迷っている。
もしかすると魔法で飛ばされたと分かっていない。謎の力によって飛ばされたと思っていそうだ。
「くっ! ここは一度引くぞ!」
「り、了解!」
2人は顔を見合わせてすぐ撤退の判断をする。倒れた男の両脇を持つと、引きずるように連れてギルドから出ていった。
なかなか面白いものを見させてもらった。
俺は席を立ってざわつくギルドから出ていく。慌てるようにして後ろからシュティア達2人もついてきた。
受付の女性が何か言っているようだが、俺ではなくシュティアに言っているようなので、俺には関係ない。
ギルドから出ると、かなりのスピードを出して馬が遠くに移動していくのが見えた。方向は中心部だろう。きっとそこに3人の宿かあるのだろうが、もちろん追いかけはしない。
「これからどうするのですか?」
俺が助けなかったことが理由なのだろう。シュティアが無言でいる。
そんな空気が嫌になったのかメルクールが尋ねてきた。
「本当は武器を見に行きたいが、もう遅いから宿に向かう」
「わかりました」
「……」
いろいろあったが魔石を売ることが出来たので宿に向かう。ここの街は奴隷の獣人も多いため、宿の中に獣人を泊めても大丈夫な宿が多い。そのためよさそうな宿を探す時間が省けた。
ちなみにだがシュティアはずっと無言のまま。時々俺の方を見てくるが、睨んでいると言う方が近い。
「ようこそ『木陰』へ。宿泊ですか? 食事ですか?」
宿の受付へと向かう。少女が1人座っていたのでチェックインをする。
「宿泊で頼む。ついでに夕飯も」
「わかりました。3人部屋ですか?」
「いや、1人と2人に分けたい」
「……え?」
言葉を漏らしたのは、受付の少女ではなかった。シュティアだった。
見れば困惑した表情をしている。
「俺は1人で寝る。お前たちは2人で寝ろ」
「……でも」
「2人で寝ろ」
困惑するシュティアを放って置いて正面を向くと、同じく困惑した少女と目が合った。気が付いた少女は視線を泳がせる。
何か言おうとしているようだ。
「さ、3人部屋……ありますよ?」
「いや、いい。1人部屋と2人を1つずつだ。ついでにあるならお湯を3人分」
「わかりました。では金額は――」
そういい、少女は計算を始めた。
1泊分を払い、部屋に向かう。料金は銀貨3枚。食事は一食銅貨7枚。体を拭くお湯が銅貨2枚だった。
やはり国境付近のためなのか料金が少し高い。それでもかなりのお金があるため、あまり問題にならない。
「さて、これからの事を説明する」
夕食を食べ終えると2人が泊まる予定の部屋に戻った。ベッドの端に座り俺は口を開く。盗み聞きする人はいないと思うが、一応部屋で話すことにした。
シュティアとメルクールは俺の座っている反対側のベッドに座りこちらを見ている。
「かなり前に話した通り、俺は異世界から来た。そして俺は元の世界――こちらでいう異世界に戻るつもりだ。王都にいる間に聞いたり調べたりしたが、戻る方法は魔王を倒すことが1番簡単らしい」
「魔王を倒すことが一番簡単って……」
「ちなみに別の方法は上級の転移魔法を使う。この場合は大半が失敗する」
「それって、死ぬってことですか?」
「ああ」
メルクールが青い顔をしながら聞いてきたので答える。もちろん転移魔法は使わない。転移魔法は座標が分からないと使うのは危険だ。この世界のどこかに転移するなら座標がしっかりわかるので大丈夫だが、元の世界の座票が分からないのに転移するのは自殺行為になる。
「で、魔王はどこかにある魔王城にいるらしい。当たり前だが」
「……行くの?」
「ああ。だが今の戦力じゃ無理だから戦力強化を図る」
「前衛が1人。後衛が1人。どこでも対応できる人が1人。明らかに無理じゃないですか!」
前衛はメルクールで後衛がシュティア、どこでも対応できる人は俺。
そのようにメルクールは考えているようだ。だがもちろん俺はそんな風に考えていない。
「お前の考えている編成でいくとなると前衛はもう1人いるが――」
「……買うの?」
「は?」
「……奴隷、買うの?」
俺の言葉を遮るようにシュティアが尋ねてきた。一瞬何の事か分からなかったが、この世界には奴隷制度があることを思い出した。
奴隷は犯罪者や、お金がないため仕方なく身を売る人がなる。また戦争に負けた国の人がなることもある。
そして戦力を増やす1番手っ取り早い方法は奴隷を購入することだが、いい奴隷になればなるほど高額になる。
エルフの女性などは美しいうえにめったに出回らないためかなり高くなり、最低でも白金貨10枚になる。とてもじゃないが買えない。買えるのは貴族、もしくは冒険者のトップクラスでないと買えないと言われている。しかも出回る場所は裏の奴隷商だ。
そもそもエルフは自ら奴隷にはならない。出回っていた場合は人攫いが捕まえてきたと思っていいらしい。
「確かに奴隷は手っ取り早いが……」
「……が?」
「奴隷を買ってまで仲間を増やしたくない」
「な、なんでですか!」
俺の答えに、メルクールが声を上げる。驚いて当然だ。戦力を増やそうとするなら仲間を増やすことを考えるが、仲間はいらない。周りが聞くと当然だが矛盾しているように聞こえる。
「そういえば、2人には話していなかったな」
「え? 何をですか?」
シュティアとメルクールが不思議そうに見てくる。
話したくはないが、俺の考えを理解してもらうためには俺の現状を理解してもらわないといけない。
俺は覚悟を決めるため、ため息をついてから話し始める。なぜ本来レールン王国の王都にいるはずの異世界人の俺が王都を出てきたか。なぜ仲間が増えるのを嫌うか。
話している途中で、同じ学校の奴らの事を思い出し怒りがこみあげてきた。今の俺の顔は怒りで歪んでいるだろう。
話が進むにつれ2人とも驚いていた。俺がまさか一緒に日本から来た友達や先生に裏切られ、仲間外れのような態度になり、毒を盛られたこともあるとは思ってもいなかったのだろう。
「そうだったのですね……知りませんでした」
「……うん。知らな、かった」
一通り話した後、2人とも暗い表情をする。さすがに想像はできなかったのだろう。俺はそんな2人の様子につい苦笑いする。
「言っていなかったのだから、知らなくて当然。そもそも、思いもしなかっただろ?」
「仲間に裏切られるのは、とてもつらいです」
メルクールがつぶやく。メルクールは経験していないだろう。
だが気遣ってくれたのはわかった。
「ああ。だから俺は仲間はいらない。実際2人ともついてきて欲しくない。あんな思いはもう嫌だ。それに俺は1人でも魔王を倒せるようになる。じゃあ俺は部屋に戻る」
本来なら、こんなこと言われたら怒るが、言った理由が分かる2人は黙ったままだ。
俺は部屋へと戻った。
部屋へ戻るなり睡魔が襲ってきた。疲れなのか別の理由からなのかは分からない。
俺はそのままベッドへもぐりこみ、眠りに着いた。