闘技大会予選
さてと、昨日の親父たちに
闘技大会の受付の場所を教えて貰ったし
でもなんかすごいバカにされたけど
「兄ちゃん、そんな細い体で出たら死んじまうぞ!がっはっはっは」
まぁいいか、さてここが闘技場か
ほぉー。見たところ中世のコロッセオって
感じの舞台だな。 石造りですごい綺麗だ。
人だかりが出来てるし、あそこで
受付してる感じか?
「あのーすいません。ここで闘技大会の
受付けできますかねぇ?」
受付には褐色のエルフ耳の女子が
座って 客の対処にあたっていた。
「はい!出来ますよ!えーっとお名前は。」
「庄子です。」
「?…ショジさんですね!」
えー。庄子なんだけどなぁ…。絶対発音違うよそれ。
まぁ可愛いし、許す、OK!
「あ、はい。ショジです。」
「ではこちらのパンフレットをどうぞ!
今回は大会参加者が昨年の2倍以上いまして、急遽、予選を開催しております。
パンフレットの最後の方に記載しておりますので、では頑張って本戦出場目指して下さいね!」
何々… おれは少し離れたところでパンフレットを確認した。
<闘技大会予選>
選考方法
王都フリーデン周辺地域の
掲示板クエストの達成ポイントにより
本戦出場を許可する。
「掲示板クエスト?何だそれ」
ぺらぺら…え、指南書にも載ってねぇじゃん
「ふっふっふ、お困りのようですね!そこのお
方!」
声がする方を振り向くと。
誰もいない。誰も…?
あ、いた。小さいのが。身長120センチ程度の
クルクルとした天パ気味の髪の女の子が
腕組みしながらドヤ顔で話しかけてきてる。
「やっと見つけましたよ!私の羊牧場に
特大の雷を落としたあなた!
あなたを探して半日かけてここまで
歩いてきたんですよ!」
「あ、いや、すみません。モフ男返しますので、」もふもふ もふもふ 暴れるモフ男
「いえ、あなたを咎めようとかそういうのでは
なくて感謝したいなと思って探したのですよ!
あなたが魔象を倒してくれたおかげでまた
羊ちゃん達が安心して暮らせますので!」
あー、あの時の象男…いや弱かったからなぁ
自分で倒せば良かったんじゃ…
まぁ感謝されてるし、いいかそれはそれで
「ところでお困りのようですがどうされましたか? 」
掲示板クエストについてその子に
訪ねてみた。
「はぁ…?掲示板クエストですか。掲示板クエストっていうのは、あそこですあそこにある
色々な種類のクエストの事をいうのですよ」
指を指した方向に大きな黒い掲示板に
白い依頼の紙が雑に貼り付けられていた。
ほう、これが依頼…何々…。
<書類まとめの依頼>
書類をまとめる作業が全く進まん
誰か助けてくれ…。
このままじゃ、納期が…納期がぁあ!!
報酬ポイント50
えぇ…異世界に来てまで
書類まとめとか嫌すぎるんですけど。
いやこれは、やめとこう。
もっとこう、冒険者らしいやつ!
おっこれいいな!
<討伐依頼>
金剛龍が 封切の鉱山 に住み着いて
してしまった。
このままでは鉱山は掘れんし、
いずれ犠牲者もでてしまう。
どうか誰か助けてくれ…
報酬ポイント1000
これいいじゃん。これに決めた!
「何にするか、決めたですか?」
「うん、討伐依頼っていうのやってみようかなって。
それで封切の鉱山の場所って知ってる…?」
「知ってるですよ!わたしの農場の
その先なのです!私がお礼に案内するです!」
「本当に?ありがとう!えっ…と名前は
何ていうの?」
「名前はニャルです!よろしくです!
さて、今日これから戻るとなると
また半日かかっちゃうですから…。
今日はフリーデンでお泊まりするですね」
ん…あーそんなかかるっけ
いや5分で着くよな。もしかして
瞬発強化使えない感じかな?じゃあ…
「よろしくね。ニャル じゃあ背中に乗って?」
えっえっ…わたわた。
恥ずかしがるニャルを背中に乗せると。
『クイックル!』
ヒュンっ!
「えっ…?は…早すぎるのですううううう!!!!ガクンっ」
さて予選抜けれるかなぁ。
よし、着いたぞー!牧場!
あれ、ニャルが失神してる。おーい起きろ。
ペチペチペチ
「はっ!?何があったですか…?ま…まぁ
とりあえず。我が家で1夜明かしてから
明日の朝 鉱山まで案内するです!」
小さな牧場の端っこにある 民家にて
「ここに、ニャル一人で住んでるの?」
「そうですよ!一人でここに住んでもう
1年以上経つですよ…。でも羊ちゃんのお陰で
寂しくないのですよ!」
引きつった笑顔で話す彼女を見て
俺はこれ以上 質問をすることはなく、
そのまま、深い眠りについた…。
そして朝、
「さて、向かうとするか!封切の鉱山まで
案内頼むよ!ニャル」
「はいです!案内任せるです!」
牧場の北の方へ歩いて
15分程 谷に掛かる吊り橋のその先に
暗いトンネルのようなものが見える
「ニャルあそこが目的地?」
「はいです!あそこが鉱山の入口です!」
暗いトンネルだ。照明らしきものはないな。
さて…ぺらぺら。おっあったあった。
えーっと。頭の上に火の玉をイメージして…
『炎熱魔法!サラマンドル!』
煌々と光る火の玉が 頭の上を浮遊し始めた。
暗かったはずのトンネルが
ずっと奥の方まで 明るくなった。
「すごいです。こんな明るくなる炎熱魔法は
初めてです。ゆうたさん、そういえば
何を倒すために鉱山に来たですか?
いつもいる、スライム達がいないですけど…」
鉱山にある階段を登りきったらそこは
多分この山の頂上だろう。広い開けた場所が
そこには…
「ん?たぶんこいつだよ。ニャル」
そこにいたのは…体、頭部、羽がダイヤモンドで
生成されている。ドラゴン大体 全長は15mほどだろうか…
かなり大きいな
「な・・な・・これって金剛龍ですよ!?あわわわわ。だからスライム
達も逃げていたのですか!こんなの無理ですよ!逃げるですよ!」
ガァアアアア!!!!大地を震わす程の咆哮と共に
金剛龍の口から高熱のブレスを吐いてきた!
(ああ・・・死んだです)そうニャルが思った瞬間。
『プロテクト!』
ブレスは目の前に展開されたシールドによって
二股に分かれ散開した。
「へ・・・?生きてる?」
唖然とした表情のニャルを背に
さて、ダイヤはたしか硬いけど衝撃には弱いんだっけ。
ぺらぺら・・・おっ
<通常攻撃について>
魔力よりの方は 拳に又は武器に魔力を集中させること
によって、衝撃波つまり魔弾を放つことができます!
ふむふむ、なるほど。
ならば、右手に魔力を…その瞬間 俺の体の周りに
魔力の大きな流れが生まれ、右手に集中した。
(なんて膨大な魔力…ショジさんはいったい何者なのですか…)
「よし、くらえ!右ストレート!」
拳を突き出すと、その膨大な魔力の塊が放たれ
金剛龍の体にめり込み吹き飛ばした!
その瞬間。
依頼の紙に赤い達成マークが刻まれた。
「い…依頼達成したみたいです」
「本当に?よし!やった!」
ゴゴゴゴゴゴゴ!地響きと共に金剛龍が起き上がった
『まさか…この我がまたしても敗れるとはな…』
「生きてるですか!ゆうたさん止めを!」焦るニャル
「いや、戦う気ないみたいだし。戦わなくてもいいでしょ?」
『クハハハッハ!!まさかヒトごときに情けをかけられるとはな!
いつか、また会おうぞ!おもしろき人間よ!我が名は金剛龍ディアマント!』
その言葉を放つと、キラキラと透明な輝きを放ったまま
ドラゴンは飛び去っていった。
『気に入った。褒美をあげるとしよう』
キラキラ、白銀のローブが空から降ってきた。
<レアドロップ!>
ディアマントのローブ
金剛龍に認められた者だけに
送ると言われるローブ。
とても綺麗で一国の国宝にもせまる程の価値を持つ
あらゆる状態異常に対応できると言われる
俺はそれを羽織り。
「とりあえず フリーデンまで戻ろう?ニャル。」
「はいです!」
俺はニャルと共に下山をして
王都フリーデンに戻ることにした。
~鉱山上空~
『しかし、おもしろき人間よ。それに…あの本、指南書を持っていたな。
あの本を持つものの力は異常だ。理から外れかけている。』
その瞬間、ディアマントの記憶の中に指南書をもった
冷たい眼をした青年の姿が映った。
「ふふふ、硬いだけのトカゲじゃないか…
殺す価値もないよ。君」
さらに記憶の中にはボロボロになった
ディアマントの姿も映った。
『…あの、冷たい眼をした男は危険だ…おもしろき人間よ。
貴様でもあの男だけにはかかわらぬ事を願うぞ』
そうしてディアマントは彼方の方向に飛んで行った・・・。