真紅の幻影
更新遅れましたすいまそん。
遅れたわりに短いですが見ていただければ嬉しいです!
「おい、聞いたか?ついに100人こえたらしいぞ」
「あぁ、あの名前のない暗殺者のことか」
「可哀想なやつだよな。名前がないなんて」
「なんか、王族のやつらに親殺されて壊れたらしいよー?」
聞こえてくる。全部。俺の耳に入ってくる。
人々が俺の噂をしてる。いつからここまで人生は狂ったのだろう。
「名前………か。いつかは自分で決めるときがくるのか」
暗殺………既に104人を今までに殺してきた。
今でも人を殺すときは心が痛む。俺は暗殺者はむいてないのかもしれない。
「だとしても………殺らないといけない」
辛くても、真実を知ることができるなら殺る。
それが俺にできることだった。
………1週間後………
ドスッ………ブシュッ………
「…………」
また、殺した。これで110人目。
俺は本当に生まれるべきじゃなかったんじゃないかな。
そう思う。
「そんなことはないのよ?名前のない暗殺者」
「…………誰だ」
どこからか声が聞こえた。少女だろうか、高めの声が聞こえる。
「そんなに敵意を剥き出しにしないで。私は敵じゃないわ」
「………じゃあなんなんだ?」
「貴方と同じ………王に親を殺された………『凶側の人間』よ」
「……『凶側の人間』だと?」
「ええ。貴方と同じ。今は何でも屋をやってる」
「…………」
本当か?もし本当ならば、他にもたくさんいることになる。
その、『凶側の人間』が。
「………名前は?」
「名前?そうね、自己紹介しましょ。私は灯奈真紅。よろしくね」
何がよろしくなのか、わからない。
「灯奈………お前は親を殺されたことをどう思ってる?」
「………私はいやよ。復讐を誓ってるわ」
「なら、親を殺されたのはいつだ?」
「10年前……かしら。私が4歳の時だった。あなたは?」
「俺は………14年前。同じく4歳の時だ」
思えば、4歳の自分が一人でよくここまで成長できたと思う。
「………話はこれで終わりか?」
「………そろそろ本題にうつりましょう」
本題、まだ何かあるということだ。正直、手短に終わらせてほしかった。
「あなたに……協力してほしいのよ」
「………何をだ」
数秒の沈黙。
「私は『凶側の人間』達で組織を作ったの。あなたにもその組織に入ってほしいの」
「別にいいが………俺には名前がないんだぞ?」
「名前がないなら作ればいいじゃない」
「……………」
「決まりね。明日、朝の8時にここに来て。それじゃ」
不思議な少女、としか俺の頭には残っていない。
見た目、雰囲気、そしてあの何でも見透かしそうな真紅の瞳。
明日の朝8時と言ったか。大人しくその時間に向かうべきだと思う。
「…………凶、か」
とにかく、色々なことが起こりすぎて疲れた。帰って休むとしよう。
………帰るといっても、テントだが。