4
ペースを落とさず、投稿したいのですが…本日は体調が優れないので、この一話分投稿とさせていただきます。申し訳ありません…
流せるものは、出尽くし落ち着いたヘーベルはとりあえずメディカの家に居候させてもらうことになった。そこで、ヘーベルは自分の探し求めていた人がこの世界での立ち位置を知ることとなる。
「えぇっ!? メディカさんの妹!?」
「そうよ? そんなに驚いて、私とあの子はそんなに似てないかしら?」
「いえ、そんなことは・・・・・・ただ意外だな~って。メディカさんは、女の子っぽいんですけど・・・・・・そのあの人は、どこか凛としていて男っぽく感じたので」
「ふふっ、あの子はね村の女の子から凄くモテるのよ。反対に男の子からは、同姓扱いというか。昔から男の子の輪の中で、暮らしてきたから」
「そうなんですか・・・・・・」
へーベルの世界での彼女は、次期王女を担うために男らしさを求められて育てられてきた。そのため、元の世界での彼女も男らしく凜とした人だった。だが、この世界での彼女は凛とした様を求められてきて今の彼女になったのではない。
彼女の選択によって、彼女は今の彼女となった。へーベルは、生まれや育ち。境遇が違っても、彼女は変わらず自分が知っている彼女になっていることにどこか安堵感を覚えた。それは、彼女がどんな選択や運命を背負うとも自分が心から好きになった彼女になると分かったからだ。
王女としての彼女に心酔していたからではない。
へーベルは、彼女自身に恋をできたのだと確証を得られたから。
「お姉さま、へーベルさん元気になりました?」
「ええ、もう元気よ。ほら、アリス挨拶して」
「はい、お姉さま」
二階から一階に降りる木の階段。それをギィギィと踏み鳴らして、降りてきたのはへーベルの想い人だった。彼女は、笑顔を見せて声をへーベルにかける。
「さっきぶりだけど、はじめまして。アリスっていいます」
「アリス・・・・・・。綺麗で聡明な名前なんですね」
「ははっ、そんなこと言われたの初めて。でもなんか不思議、女の子に言われているのに男に口説かれているような気分」
「えっ・・・・・・。あっ、はは・・・・・・。そうですね、なんか男の人が言いそうですもんね」
「不思議な人。とりあえずへーベルさんこれからよろしくね」
彼女が笑顔でそう言うと、へーベルも笑顔になり続いて。
「はい、よろしくです」
そう返した。この時、彼の願いは叶えられた。そばにいたい。その思いだけは叶えられたのだ。
「ふふっ、顔合わせできたしアリス。へーベルちゃんは、貴方の妹になるんですから。仲良くしてね」
「えっ!? あっ、でもそっか。うちで暮らすんだもんね、そっか妹・・・・・・。へーベルちゃん! いえ、へーベル!」
「えっ、はいっ!」
「私のことお姉ちゃんだと思って、いっぱい甘えていいから! 男に怖い思いさせられたら私に言うこと。約束できる?」
「は、はい。分かりました・・・・・・アリスさん」
「違うっ! お姉ちゃん、お姉ちゃんだっ!」
「分かったの・・・・・・お、お姉ちゃん」
何かに感激したが如く、笑顔で抱きつきアリスは頬ずりする。それほど、義理ではあるが妹ができたことに感激しているのであろう。
だが、一方でまさか妹になるなんて思っていなかったへーベルは、少し複雑な感情を抱えていた。
(妹・・・・・・。妹か、王女に恋愛対象として見られるわけがない・・・・・・。俺はこの世界では女だ。なら、与えられた使命を全うしながら、そばで見守っていよう)
姉を見る妹の目は、どこか大人びて見守っているような目だった。
「ふふっ、へーベルちゃんは貴方だけの妹じゃないんだから。へーベルちゃん、私のことも頼っていいからね」
「はいっ、メディカさん」
そこで、おなかの周りが少し熱くなってくる。そこで、自分が女になってしまったことでのまず最初の難関にぶつかることとなる。
「あの・・・・・・メディカさん・・・・・・さっそく頼ってもいいですか?」
「何? どうしたの?」
彼女の耳元で、愛する人には聞きづらいことをたずねる。
「えっ? トイレの作法?」
「メ、メディカさんっ!?」
「トイレの仕方まで忘れちゃったの? お姉さま、任せて私が教えてあげる」
「いや、あのそれは・・・・・・」
「恥ずかしがらないで、同じ女同士だし。姉妹でしょ?」
「そ、そうですけど・・・・・・や、やめてお姉ちゃん・・・・・・きゃあぁぁぁぁ!!」
その後、帰ってきた二人は姉として妹に教えてあげたことに満足顔のアリスと諸々の事情を抱えているためにまだ自分自身に慣れていないヘーベルは赤面していたという。