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一応、タイトルに最強系と銘打っているので、ヘーベルの最強感をバシバシ出せていけたらと考えています。


感想等を頂けたら…励みになるので頂けたらうれしいです。

あの後、無事に宿を見つけたヘーベル達は、宿に着き、自分達が既に何者かに監視されていることを話す。



「それは、本当なのか?」

「はい、確かに見られているような気がしたんです」

「嬢ちゃんが、可愛いから都の男連中が見てたんじゃないのか?」

「なんだとっ!? 何故、それを言わなかったヴォルフ!! 言っていてくれたら、その場で……!!」



はぁっとブラドは、大きくため息をつく。どうやら、気づいていたのはブラドとヘーベルだけだったらしい。そう思ったが、意外に気づいてる人物もいた。



「俺も感じたぜ?」

「お前は、嘘をつくな。お前が感じるわけがないだろう。ワシでも気づかなかったのに」

「そりゃ、じいさんより俺の方が優れているってこったろ?」

「なんだとっ! 言うようになったな」



そして、二人は喧嘩する。喧嘩するほど、仲が良いとは言うが、これでは話が進まない。そう思って止めるように、声をヘーベルは掛けようとした時、アリスが机を叩いてその場を静める。



「二人とも黙って、ヘーベルの話を聞けっ!」

「は、はい………」

「はは……。あの、では話を続けますね?」



四人は、頷く。ふっと深呼吸をして、みんなを見つめる。



「とりあえず、分かったのは二人。一人は、神父姿の男。もう一人は、ギリースーツの女。確認できたのはその二人です」

「確認できた? 見たのか?」

「はい、実は私。目がいいんです。遠くにいたんですけど、視認しました」

「なるほどな……。困ったな、気づかれるとは」

「ふむ、どうやら我々が国に入ったことをあの門番……漏らしたようじゃの」



敵に侵入者として目をつけられた以上、あの手この手で襲ってくるのは見えている。だが、手を出すには情報が少ない。どうしたものかと五人が悩んでいるとドアをノックする音が部屋に響く。

ドアへとヴォルフが歩いていき、ドアスコープから外を覗く。するとそこには、メイド服を着た女性が食事を運んできたようだった。



「誰ですか?」

「ん? どうやら、食事を運んできてくれたらしい」

「開けるの待ってもらっ」



ヘーベルがいう前に、ヴォルフはドアを開ける。するとメイド服の女性は、普段通りに笑顔を見せてくる。



「お食事をお持ちしました」



サービスワゴンに食事を乗せて、メイド服の女が入ってくる。どこにも違和感や異常はなかった。ヘーベルも取り越し苦労で終わったと思った時、ブラドが言った。



「ふむ、匂うの~。女給よ、その料理。口にしてみよ」

「えっ……申し訳ございません、お客様。魚料理ですので、もしかしたら少し生臭いかもしれませんが……」

「いいから、食べろ。食べられぬというのなら、火炙りにするぞ」



手から火の玉を生み出し、メイドを威嚇する。するとメイドは笑みを浮かべて、ヘーベルに蹴りを放つ。

それを全くの容赦もなく、足を掴み、顔を一発殴って意識を奪った後に窓ガラスへと投げつける。メイドは、窓ガラスを割って下へと落ちていった。



「みなさん、どうやらあっちは待ってくれないようです」



四人が立ち上がると、数人の現代風の装備をした男達が入ってくる。その手には、アサルトライフルが握られている。

ヘーベルは、テーブルを上から叩きつけて起き上がらせ、壁をつくり防弾する。何発の弾丸を防ぎ、テーブルを蹴りだし、入り口の壁と板挟みにした。二人は潰され、二人は、部屋から逃げた。



「嬢ちゃん……すげぇな……」

「私に驚いている時間があったら、その窓ガラスから逃げてください!」

「ヘ、ヘーベルはどうするの?」

「私? 私は……殲滅します」

「嫁よ、手を貸すぞ」

「なら俺は、外の敵を潰す」



ハバキは、二対の日本刀をゆっくりと抜き、目を閉じて深呼吸する。相手は、銃器を構えており、少しでも離されたら弾丸で殺される。

外にいる敵は、暗闇に見えている中で六人。

自分の中で、イメージを広げていく。刀を振るう際、先の先という技法と後の先という技法がある。

ハバキは、どちらに特化した戦いが出来るのではなく、どちらもバランスを取って使えていた。



「やれやれ、ならハバキよ。ワシが突破口を開いてやろう」

「はっ?」



ヴォルフは、ベッドを持ち、力ずくで投げつける。一人がベットに潰され、直ぐ様。敵の銃撃が襲ってくるかと思いきや、ベッドのすぐ後に降り立ったハバキが一刀の下に斬殺していく。

だが、敵も馬鹿ではない。

ハバキに照準を合わせ、銃弾を打ち込む。ハバキは二刀を投擲し、二人を撃破する。飛んでくる弾丸に対して、ハバキは片足を地面につけ、左手で地面を高速に這い、弾丸を避ける。



「さて、ハバキさんは退路を作ってくれてますし、ブラド。いきますよ」

「ふむ、任せろ」

「ヘ、ヘーベル。わ、私は?」

「ハバキさんの手伝いを。頼りにしてます、お姉ちゃん」



にこりとアリスに笑顔を見せると、サービスワゴンにあったナイフを二本取る。そして、隣の部屋の壁へとゆっくりと手を付き、呼吸を整えて体内の気を練り上げる。体が、ほんのりと温かくなり、汗が出てくる。

そんな姿は、どこか色っぽさを感じさせるが。



「ふっ!!」



パンッと手を押し込み、壁が円形にくり貫かれる。隣の部屋を覗くと誰もいない。ヘーベルは、ほっとして中に入り、ブラドに指示する。



「ブラドは、左側を。私は、右側をやりますから」

「ふむ、任せろ」



ブラドは、ぺろりと舌なめずりをする。愉快そうに笑みを浮かべて、両手に火の玉を生み出す。

同時にヘーベルとブラドは、蹴りだし。ヘーベルは、ドアを。ブラドは、テーブルを壁ごと蹴りだした。



「クソッ!! 化け物共がぁぁぁ!!」

「嫌だぁぁあ!! 殺されてたまるかぁぁぉぁ!」



ヘーベルに銃弾が撃ち込まれ、それを避けるように体をのけ反らそ、床に体をつける。先程、取っておいたナイフを投げつけ、体を腹筋の力で起きあがらせる。

ナイフは横回転をして、飛んでいきそれを起き上がったヘーベルは追いかけるように駆け、足を曲げてスライディングする。まだ向かっている途中のナイフを取ると、敵の足を切りつける。



「んがぁ!?」

「ぐっ、いてぇ!!」



装備の縫い目を隙間を縫って、首を裂く。血が勢いよく壁に吹き出し、血が一気に無くなった二人は、その場に自分の血を滝のように出したまま床に倒れた。



「嫁よ、やはりお主は……」

「くそぉぉぉ、何なんだよ、お前らはぁぁ!」

「ふむ? 聞かされておらぬのか? まぁ、でも喧嘩を売る相手を間違えたの。生きてなど帰れね、貴様らが行く先は暗い暗~い黄泉の中じゃ」



弾丸をものともせず、突き進む。正確に言うと、彼女は弾丸を全て掴みとり、近寄ってくる姿は、恐怖でしかなかった。にっこりと笑顔を見せた彼女に、すっかり男は怯えてしまい、足が震えている。



「来世は、強いものには巻かれることじゃ。上手く世の中を生きろ、ではの」

「ぐぶぶぅぅ」



弾丸を握りこんだ手を、男の口元に差し込み、突き抜ける。彼自身の口にはあってはならない穴が一つ増えることとなった。



「さて、こっちは終わったぞ?」

「こっちもです、終わりました」



二人の姿は、敵の血で赤く染まり、その美貌も相まって恐ろしい存在に見えてしまう。

だが実際、恐ろしい存在であることは確かだ。ブラドは、龍として人と同種として殺害してる訳ではない。人は、煙ったい虫を躊躇いもなく殺すが、それと同じ感覚だ。


だが、ヘーベルは違う。同種の人を殺すということは、簡単なことではない。人を殺す理由があったとしても大抵の人は、理性が働き殺意を食い止め、行動に移すなどはしない。特別な状況の時を除けばの話ではあるが。

だが理性をヘーベルは、失っている。数多の命を奪うなか人を殺せる者になってしまった。何の躊躇いもなく、殺してしまう。それは、ある種の異常性だと言えよう。



「んっ?」



ヘーベルは、何かに気づき腕を頭を防ぐように上げる。腕にあった手甲がキィィンと金属音を上げ、何かを弾き返した。

射程距離ギリギリから放たれた弾丸は、見事にその標的を捉えることはできなかった。



「うっそ!? 何なの、本当にあの人。こんなギリギリから撃って察知するなんて。チートよチート!!」



ボルトアクション方式ではなく、オートマチック方式の銃であるため既に次弾は装填されている。スクーシナは、ヘーベルを諦め他の人物に狙いを定める。標準の先には、ハバキ達と共に戦っていたアリスが写りこんでいた。



「バイバイ、お姉さん」



引き金を引く瞬間、ヘーベルがアリスの前に盾のように立ちはだかる。スクーシナは、軽く舌打ちをして、何発も弾丸を撃ち込む。暗い闇の中に、硝煙の香りと銃声が何発も響き渡る。だが、その全てをヘーベルはあの手甲で弾いていた。



「そんな馬鹿な……。あり得ない……」



スクーシナは、冷たいアスファルトにぺたんと尻餅をつく。スクーシナが諦めて、逃走しようとするとあの男。シュトゥルムが既に待機していた。



「どこに行くんですか?」

「帰る……もうやだ」

「おや、諦めてしまわれたのですか?」

「うん、あんなチートの怪物無理だよ~。無理、無理~!」

「なら私が止めます、その間に貴方が他の者を」

「シュトゥルム、倒せるの? あんな怪物」

「さぁ~、やってみないとわかりません」



ドンッと音と共に、シュトゥルムの立っていた場所が沈みこみ、姿を消す。それを確認するとスクーシナは、ため息混じりに弾倉に弾丸を入れて再装填した。

シュトゥルムは、ヘーベル達の頭上高くへと瞬間的に移動し、空を蹴って地面へとまるで爆弾のように降り立った。

敵の何人かは、その風圧を受けて飛ばされる。



「どうも、初めまして五人の皆さま」



爆風の中、現れたのは二本足でしっかり直立しているシュトゥルム。シュトゥルムは、左の胸に手を置き、深々と頭を下げた。



「ふむ、どうやら嵐を巻き起こす男の登場のようじゃの」

「これは、黒龍様。まさか、そのような姿を見せて頂けるとは恐悦至極です」

「ふむ、私が龍だと気づいておったか。だが、残念。今は、ブラドと名乗っておるのじゃ。かっこよかろ?」

「そうですね、ですがそのようなお美しい姿の貴方様には、いささか可愛さが足りないように感じます」



話をしているブラド以外の人物は、皆、構えており気を緩めないでいる。シュトゥルムからは、殺気等を感じない人でも分かるほど、強く異様な殺気を放っていた。



「ブラド、この人は?」

「シュトゥルム、この国を裏から支える暗殺部隊『シャドウ』のメンバーじゃ」

「どうぞお見知りおきを」



ふっとシュトゥルムは、笑顔を見せる。ヘーベルは、あの時視線が合ったあの人物だと確信し、軽く頭を下げて笑顔を見せる。



「それで、なんじゃ? ダンスの誘いにでもきたか?」

「いえ、今回のダンスの相手は、そこのお嬢さんにお願いしたいのです」

「私……ですか?」

「はい、昼頃の貴方からの熱烈アピール。私、感動しました。ぜひ、踊らせてください」

「……喜んで」



シュトゥルムの顔が歓喜に歪み、ドンッと音が再び暗闇に響く。その音は、開戦の合図。

二人の距離は、一気に詰められ拳を繰り出す。それを冷静にヘーベルは、受け流し応戦する。

四人が、助太刀しようとするが、狙撃担当であるスクーシナによって二人へ助けに行けなくなる。



「これで、邪魔は入りませんっ! 銃弾という小さく粗末な音楽ですが、しっかりエスコートしますので!」

「私、あまり激しいダンス得意じゃないんです。お手柔らかにお願いしますね」



二人の死闘ダンスが始まっていく。

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