異世界転生のジャンル?を初めて書かせていただきました。まだまだ序盤ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。良かったら。感想等ありましたら凄く励みになりますので書いていただけた幸いです。
まるでリンゴのように赤い液体が地面を濡らしていく。地面には、数多くの敗者が倒れ。一人その場で襲いかかる兵隊達をなぎ倒していく男がいた。
彼の名はマトバという。
マトバは、銃器などで身を固めた兵士達に拳一つで戦いぬいている。彼の技量を表すように倒れていった兵士達は既に百を越えており、同時に彼の人外ぶりを表していた。
兵士達はそれでも戦う。
この国の王女を殺すために。
革命を成功させるために。
「王女様、早く逃げてください!」
「でもこのままだと貴方が死んじゃう……!」
王女を逃がしながら戦う彼は、体中に傷跡を負いながらも必死で王女を逃がす。
「へっ。俺は、死ににくいんですよ。だから、あの大木で待っていてください。必ず迎えにいきます」
「くっ……分かりました……。必ず来てください」
王女は、歯をくいしばって後ろを振り向かずに必死で逃げる。その後ろ姿を見ることもなく、前からは数多くの革命の兵士が突っ込んでくる。
「わりぃな……。ここは通さねぇぜ」
「死に損ないが!!」
ブンッと槍がマトバの体に向かって放たれるが、それを掴み力で槍の主を引き寄せ、殴り倒す。
すると次は、銃を構えたものが前へと出てくる。直ぐ様、木々の中に身を隠し銃弾をなんとかかわす。
「くそっ! いい加減に諦めろっ!」
石を他の木々に当て、音に反応して銃弾を放った隙を狙い身を屈めたまま近寄り、手刀を喉に打ち込み倒していく。近接戦闘において彼の右に出るものはいなく、すぐにその部隊は全滅した。
「はぁはぁ……。王女様……今、行きます……」
フラフラと千鳥足になりながらも大木を目指して歩き出す。
パァン
彼の腹部に小さなーーだが、確実に彼の命を奪う銃弾が打ち込まれる。腹からは、血が吹き出し。口からもその赤い血を出していく。
「ははぁ! 油断けばっ!」
「はぁはぁ……」
近くに落ちていた槍を投擲し、打った兵士はまるで背を正した模型のように槍によって地面に頭から繋ぎ止められた。
「王女様……」
視界が歪んでいく。
まるで世界が、その本当の姿を現すように視界にはネジ曲がって見えていた。
だが、確実に一歩ずつ大木へと近づいていき、そして遂にたどり着く。
「マトバ………マトバ!!」
彼女の姿を確認できて安心した彼は、足元から地面に倒れていく。
「マトバ………死ぬな……死ぬな!」
「俺もやっぱり死ぬんですね……ははっ……」
王女の泣いてる姿を既に彼は、容易に確認できていない。彼には全てまるで霧のようにぼんやりとしか見えていない。
「まだだ、もうすぐ近隣の国が助けに来てくれる!だから………だから死なないで………」
「すみません……王女様……俺を置いて……逃げて」
「嫌だっ! そんなお前と離れたら私は……!」
「大丈夫です……王女様は一人でもやっていけます……」
「だけどっ!」
「頼むから……行ってくれ……。好きな人を守らせて………くれよ」
ふっと笑うとマトバは、涙を浮かべる。
「分かった……私……」
だが、彼の願いむなしく一発の銃声が聞こえ王女は胸を打たれてしまう。そして、彼の胸へと頭を倒す。
「王女……」
「はは……ごめんね……マトバ……せめて一緒の場所に……行けたらいいね」
最後に彼女は、軽い口づけを交わしてこの世であった思い出に浸る時間も与えられることなく、何発も弾丸を打ち込まれ息を引き取った。
彼は、力が段々と抜けていくその体から悲しみの叫びをすることもかまわないほど弱っていき、最後に愛する人を奪った奴を確認する。
先程までぼやけていた目がはっきりとその姿を捉える。
金髪の整った髪に筋の通った高い鼻。
藍色の目をした彼とそんなに歳の変わらない少年だった。その顔は、楽しそうにーー愉快そうにニヤッと笑っていた。
その姿、形を目で視認すると力はふわりと抜け目の前が完璧に雪のように白くなった。
こうして彼、マトバはその生涯を終えたのだった。