4話 家族
6月11日、次の日に俺は目覚めた。
よく眠れたからか体はなんともないし、いつものハードな修行のおかげで筋肉痛とかもなかった。
俺はすぐに起き上がって、父さんを探した。
そして、家を出てすぐのところにいた。
「起きたようじゃな」
父さんはいつも通り元気そうだった。
だからこそ、俺はすぐに昨日の事が何なのか聞いた。すると、
「あれはおそらく、闘気じゃろう。」
俺はそれを聞いて ? と思った。
そして闘気とは何なのか聞いてみた。
「うむ、闘気とは人間が極限状態になると見えるようになる気合いのようなもんじゃ
じゃが自分を磨けば闘気は自分の思うように操れるようになれる。」
「へえー、でも皆が俺と同じ雷の闘気じゃないんだよね?」
俺はさらに聞いてみた。
「もちろんじゃ、それに雷などの属性が付いた闘気は珍しいものじゃ
普通闘気はただの赤や黄色いオーラのようなものだ。しかしライトのように攻撃にも使える闘気も確かに存在する」
俺はその話を聞いて、少し嬉しかった。
今まで平凡な俺にこんな力があったなんて。
「ふふっ、いずれお主もその力が使いこなせるかもしれんな
よし、ライト。お前にはワシの剣技全てを教えてやる。これからは今まで以上に厳しくするから覚悟せえ」
俺は嫌そうな顔をしたがすぐに頷いた。
約3ヶ月後、俺は父さんの剣技をほとんど習得していた。
闘気を出した時から、俺は絶好調で短時間で一気に強くなったのだ。
今では父さんに段々と良い勝負が出来るようになって来た。
とは言っても、父さんはもう76才でこんなに戦える方が凄い。
修行が終わった後、父さんはいつもすぐに部屋へ入ってしまう。
最初はもう年だからかと思ったがピンピンしている。
それによく考えると明日は俺の誕生日である9月25日だ。
今年で父さんからプレゼントを貰うのは2回目だ。
前回は俺に靴をくれたんだ。しかも手作りの
でなかなか丈夫で動きやすく、今でも履いている。
父さんってなんでも出来るよな。
父さんの事を思っているとつい現実の家族の事を思い出した。
「そういえば俺の本当の父さんもこんな感じだったなぁ」
そう呟くと、つい涙がこぼれてしまった。
久しぶりに泣いた。俺はもともと高校生だったから、泣くことなんて滅多にない。
でも、流石に自分の世界の事を思うと悲しくなる。
あっちの世界は今どうなんだろうか、俺が急にいなくなってみんな心配しているのではないか?そんなことを思ってたたずんでいた時、町の方が何やら騒がしかった。
俺は町の方を見てみると、なんと火事が起きていたのだ。ここからでは何が起きているが分からないが、とにかく急いで父さんにこの事を伝えた。
すると、父さんはすぐに自分の愛刀を持ち、下山の準備をした。
俺も行こうと準備を始めようとしたが、
「ライト。お前はここで待っていなさい。」
その一言が父さんから発せられた。
でも俺はどうしても、父さんについて行きたくてその言葉に拒否した。
すると俺の左の頬に強烈な痛みが走った。
俺は一瞬何が起きたのか分からなかったが、左の頬を触ってやっと理解した。
俺はこの世界で生まれて初めて父さんに叩かれたのだ。
父さんは俺に背を向けて言った。
「ライト、お前が明日7才を迎えるただの少年ではないことは分かっておる。
じゃがな、お前はどんな理由があれワシの息子なんじゃ、家族なんじゃ。だから分かってくれ!」
その言葉を発して、父さんは走り出した。
俺はその背中をただ見ていた。