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英雄と呼ばれる少年  作者: ワラビ
3/10

3話 諦めない!

あれからさらに時が経ち、今日は1499年6月10日俺は6才になっていた。ちなみに俺の誕生日は9月25日である。


俺は父さんの剣技を教わってから約2年、最近では父さんの流派の初歩的な一の型と二の型を習得したんだ。

父さんの流派は名前はないが正直とても実践的で強い。

俺も6才とは思えないほど強くなり、ついこの前あの熊の魔獣を倒したのだ。


「ライト、修行が終わったらラガシアに買い物へ行って来てくれ」


「あっ!さっき終わったよ」


俺はそう返事をすると、父さんから買う物のメモを貰ってすぐ下山した。


ラガシアにつくと、もう午後3時ごろだった。

毎日修行はだいだい2時ごろに終わるから、町に来るとするといつもこの時間になってしまう。

日が暮れると山道は危険なためすぐに買い物をして、教会にお祈りをするのが普通だ。


そして雑貨屋に入り、物を買おうとした時、

俺は驚いた。

売り物がなに一つないのだ!

俺に気づいた雑貨屋さんがとっさに出てきた。


「ごめんねライト君、町で色々あって今日はもう何もないんだよ、、、」


俺は疑問に思った。いつもなら夜中まで売り切れはありえないのに今日はこの時間でもうなくなってしまっているからだ。


「何かあったんですか?」


と俺は雑貨屋さんに聞くと、雑貨屋さんは少し深刻な顔をして教えてくれた。


「じつはな、ソールとの戦争が長引いているから、横からの奇襲のためにここに軍人さんが来て全部物を買ってちまったんだよ」


その話を聞いて、俺も深刻な顔になった。

だが、雑貨屋さんが「なーに、大丈夫さ」と言っていたので俺は安心して、教会に向かったんだ。


教会にお祈りを捧げてから、俺はラガシアを出て、山を登る時には4時になっていた。

この季節は6時でもまだ明るいためいつも通り山道を歩いていた。


「はあ〜野菜が買えなかったから、父さんガッカリするかな」


まあ、戦争が長引いているならしょうがないと思うし、こっちからソールに奇襲をかけるのならこの辺りは大丈夫だろと考えていると森の奥から何かが近づいてきているのがわかった。


「もしかして魔獣か?」


今は冬ではないため確かに魔獣はいるが、この辺りにいるのは基本的に大人しい奴らばかりだ。

いるとしてあの熊の魔獣くらいしかいないが、そんなのが毎回出てきてもらわれては困る。


しかし、俺の読みはまったく逆で現れたのは熊の魔獣だった。


「嘘だろ!?」


あいにく俺は今剣を持っていなため、戦えない。逃げようにも、この体では足が遅過ぎて無理だ。

だが、簡単に諦めるわけにはいかない。

俺は近くに落ちていた木の棒を拾い構えた。


魔獣は大きな咆哮をあげ、突進してきた。

俺はそれを避け、木の棒を背中へ叩き落とした、しかし魔獣はビクともせずに反撃をして来る。


「クッ!」


俺はそんな事の繰り返しで体力がどんどん奪われた。

そして魔獣との戦闘が30分くらい続き、俺は動けなくなった。


魔獣は勝ったと言わんばかりにニヤッと口が笑った。

そして攻撃の体制をとり、飛びかかって来た時、魔獣の奥に走ってくる父さんが見えた。しかし、この距離では間に合わない。


俺は今度こそ死ぬのだ。そう思った。

ただ前回とは少し違う。あの時は恐怖や絶望しか感じなかったが、今回は自分の情けなさや悔しさを感じた。


「クソ!なんでこんなに俺は弱いんだ。剣がなくなった瞬間一度勝ったことがある奴に勝てなくなるなんて、クソ!クソ!クソ!

情けない。俺はなんて情けない奴なんだ!」


俺は結局一人では何もできないのか?

そう思い俺は涙を流そうとした。しかし、涙は流れなかった。


簡単に死ぬわけにはいかないのだ。

こんな父さんが見てる前で死んでしまったら、父さんは絶対に悲しむ。


俺は父さんにそんな顔をして欲しくない。

だから諦めない。


「俺は絶対に諦めない!!」


そう言った瞬間、体から蒼白い電撃がほとばしり、その電撃が木の棒を伝い、俺はギリギリで水平切りをして魔獣に当たり、魔獣は一撃で倒れた。

そして力を使い果たした俺はそのまま眠ってしまったんだ。

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