1話 誰かの声 始まりの日
俺はただの高校1年生山崎隼弥、いつも通りの平凡な毎日を送っていたんだ。でも、今日でそんな日々も終わりを告げたんだ。
「はぁ早く授業終わらないかな〜」
英語の授業はやはり眠くてしょうがない。
おまけに5時間目でお昼を食べたばかりだから、余計に眠い。
俺は今まで授業中に寝たことがなかったから寝ないように何とか意識した。
だが、今日の眠気はあまりにも強かった。
まるで催眠術にかけられているように俺は眠ってしまった。
「、、、ライト、、、」
「ハッ!!」
俺はついその声に驚いて起きた。
さっきのは人の名前かな?そして誰の声か考えようとしたが、辺りを見た瞬間そんな事はどうでもよくなった。
なぜなら俺は草や木が生い茂った森の中にいたのだ。
そしてもう一つの大変な事にも驚いた。
「背が縮んでる、、、」
確か俺は1.6m後半はあったはずだ、それなのに今は1mすらないかもしれない身長になっていたのだ。
この身長からするとおそらく4、5才だろう。
俺は頭が混乱してつい大声を出した。
そして一度落ち着いた時、草むらから物音が聞こえた。
ガサガサ、、、
俺はその草むらの方に向いた瞬間、絶句した。
目の前には体が黒く、鋭い目、そして強靭な爪が生えた熊?いや、熊のような怪物がそこにいたのだ。
俺の頭の中はすでに恐怖と絶望ばかりで動けなかった。
そうしている間に怪物は俺に向かって襲いかかって来た。
その時俺の人生はもう終わったのだなと思った。そして目を閉じた瞬間、老人の剣士が目の前に現れたのがかすかに見えたが、俺は意識を失ったんだ。
「う、うーん、、、」
目が覚めると、目の前には木の天井が見えた。
俺は体に異常がないか手足を動かした。どうやらどこも異常がないらしい。
すると、
「目が覚めたか、少年」
俺はその声が聞こえた方に向いた。そしてそこには先ほどの老人が椅子に座っていた。
そこで俺は初めて、安心した。
だが、すぐに俺は慌てて老人に質問をした。
「おじいさん、ここはどこ、いつ、さっきの怪物は何なの?」
「まあまて、そう焦るでない。一つずつ教えてやる、まずはお主の事が先だ。ついでにワシの名前はジオ ルナデイン、ジオでええ
お主の名前はなんじゃ?」
老人の名前を聞いた時、ここは日本ではない事がわかった。しかし、ジオの使っている言葉は日本語で俺は一瞬疑問に思ったがそんな事は言葉が伝わるならどうでもいい。
「えっと、、、」
俺は本名を言おうとしたが、ここの世界ではおかしな名前だと思いとっさにさっき夢で出てきた名前を言った。
「ライトです」
するとジオは何か分かったような顔つきになり、ジオの言葉に戸惑った。
「ライト、苗字がないということは親がいないな?ならばワシが育てよう。まだ4才くらいじゃろ?」
どうやら、俺に頼れる存在がいないことに気づいたようだ。
正直一瞬迷ったが俺はこの世界のことを何も知らない。だからお願いをしたんだ。