とあるほしのものがたりSHIT!!第19話
ストライピーフィッシュはシットに気づくことなく悠々と泳いでいる。
ゴカイの姿で在ればストライピーフィッシュの捕食対象で在ったかもしれないが、
好き好んで棘だらけの生き物を丸呑みしたがる程変わり者でもない。魚だって相手ぐらい選ぶのだ。
ストライピーフィッシュがシットの上を通り過ぎた瞬間、シットはストライピーフィッシュに飛びついた。
全身についた毒針がストライピーフィッシュに突き刺さる。
毒針から注入される毒にストライピーフィッシュは苦しそうに痙攣しだした。
暴れようとしながらもうまく動けないまま水底にゆっくりと落ちて行ったストライピーフィッシュにシットすり寄った。
シットはその口を自分の頭よりも大きく開けるとストライピーフィッシュを呑み込んだ。
ゆっくりとストライピーフィッシュの頭から丸呑みしていく。
身体が痺れたように動けないストライピーフィッシュはゆっくりと、しかし確実に訪れる死の恐怖を感じていた。
ただ、ストライピーフィッシュにとって幸運だったことは、シーブリストルの体の内側にも毒針が存在していたことだ。
取り込まれたときに毒針で目を潰され、包み込まれた全身に毒を注入されもはや助かる望みを0%にされ、
無駄に足掻くことなく死ぬことができた。それが唯一の幸運だったと言えよう。
シットは興奮に震えていた。
今までは自分たちを一方的に喰らう存在であったストライピーフィッシュを狩ったのだ。
自分の毒の切り身を撒き続ける弱者の精いっぱいの方法でもなく、
ストライピーフィッシュに対して強者として打ち勝ったのだ。
やった、やったぞ。進化して僕は凄く強くなったんだ。
いやぁ、僕の種族が弱かったわけじゃなくて進化してなかったから弱かっただけなんだ。
よ~し、ストライピーフィッシュどもめ、今日からお前たちはボクより格下だ。
そうしてシットはストライピーフィッシュを捕食対象の中に組み込むことにした。
苛められっこほど苛めっ子に移りたがる。
現実で苛められている奴ほどネットで強い奴ぶりたがるのと同じだ。
自分は底辺ではないと思いたいのだ。
ネットの体験談でよくある、身体を鍛えて通信講座で勉強した格闘技で不良をボコボコ?
………まぁネットの世界で位夢を見させてあげてもいいだろう。
だってオンラインゲームのキャラクターメイキングで実際の自分の顔に似せるような奴はいない。
そんなことしたらブサイクな奴はネットでも嫌われ居場所がなくなる。
苛められっこは人の痛みが判る?
馬鹿を言っちゃいけない。
彼らは苛められてねじ曲がっただけだ。
痛みを受けることと他者に優しくすることは=じゃない。
誰だって痛みより、優しさの方が欲しいに決まっている。
だが、今回においてはシットは正解だった。
弱いものいじめをされていたものが強くなったら自分より弱いものを苛めることが悪い事?
そんなことはない。自分より弱いものを食って生き延びる。
それは自然界の生き延びるための基本的なルールだからだ。
だから、ストライピーフィッシュたちを喰らうシーブリストルより強い奴がやってきても、
シットは文句を言ってはいけないのだ。
しかし、ランクD+のシーブリストルを超える個体などこの浅瀬にはそうはいない。
シットはストライピーフィッシュを喰らい、ニードルフィッシュを喰らい、
苦戦はするもローカルスターフィッシュも喰らい、急激に成長して、増長していった。
進化こそしていないものの体のサイズは一回り大きくなり、
そのたびに強くなっていた。
だが、いくら浅瀬といえど、弱い個体だけではない。
シーブリストルは浅瀬の強者には成り得ても王者には成りえたわけではなかったのだ。
フォトンストライピーフィッシュ RANK 『C』
そう、Cランクのモンスターが訪れないわけではない。
そうなるとあっさりシーブリストルは食われる側になってしまうのだ。
シットは本能的には完全に弱者の魂を持っており、
自分より強いものに対しての恐怖を敏感に感じ取れるのだ。
フォトンストライピーフィッシュはストライピーフィッシュの上位体。
卵を産みに来たのか何をしに来たのかはシットにはわからなかったが、
取り敢えずシットは砂に潜り身を潜めた。
なんなんだよ、アイツは。
ストライピーフィッシュに似てるし、
その親玉かなんかかよ。
なんだよアイツら。進化したらあんなに強そうになるのかよ。
僕なんてもう2回も進化したんだぞ。なのに全然勝てる気がしない。
……もしかして仲間を殺した僕に復讐しに来たのかな…。
ひっっひぃぃぃぃぃぃ、見つかりませんように見つかりませんように見つかりませんように。
それにしても早くどっかいけよ。
ってこっち見た!?うそうそゴメンナサイ見逃してーって、気のせいか。
おどろかせやがって、このちくしょうめ。……もう用事が住んだら早く帰ってくれよぉ~。
そんなシットの願いが通じたのか、気が付かなかったのか、興味が無かったのかはわからないが、
フォトンストライピーフィッシュは暫くすると去っていった。
フォトンストライピーフィッシュが去ってしばらくの間は時折周囲にビクビクしながら生きていたが、
暫くの間が過ぎると、また偉そうにするようになり、また強そうなのが来るとビクビクするという生活が続いた。
そんな生活が変わったのはとある美少女(の虫)を見付けた時であった。
サイマー?そんなことはシットの頭には無い。
モテない奴ほど行動でこそ妥協しても、
内心は妥協したくなく、ハーレム願望が強いものなのだ。
そうだ。今の僕なら彼女に相応しいんじゃないか?
僕だって強くなったんだから美少女を侍らしてもいいじゃないか。
うん、……でも「キモッ」って言われたらどうしようかな。
言われちゃうのかな…。言われたくないなぁ。
………うん、今回は先送りにしておこう。チャンスはきっとまたあるし、うん。
ストライピーフィッシュ ランクE+
カゴカキダイのモンスター。基本レベルが上がってもそう大きくはならない。
浅瀬にいて干潮時に逃げ遅れることもたまにある。基本雑食でなんでも食う。
あとすごくおいしい。くどさがなく脂も乗っている。
フォトンストライピーフィッシュ RANK C
ストライピーフィッシュの上位個体である。
発光する横縞模様を残像のように残し高速で移動する。
ブラックフォトンストライピーフィッシュ RANK B
ブラックライトを照射し、
相手には気づかせぬまま敵を補足する。
深海などに生息。
デルタフォトンストライピーフィッシュ RANK A
カイザーフォトンストライピーフィッシュ RANK S
KUSAKA的な何か。




