とあるほしのものがたりSHIT!!第15話
告白という行為自体に必要なのは、容姿というよりも勇気と自信であろう。
まぁ容姿が障害となり勇気や自身を削がれることになるかもしれないが。
シットはかつてないほどムズムズするようなもやもやした気持ちだった。
それはそうだ。一生かかってもお目にかかることのないような美少女のところへ、
自分と同ランクの親友が会いに行ったのだ。
自分が手に入れれる可能性があったと思いたい女がよりにもよって自分の知り合い、
しかも勝てない相手どころか自分よりやや下と思っていた友人にだ。
出来れば自分も入りたくはあったが、その巣に入るには体が大きすぎるし、度胸は逆に小さすぎた。
そんなこんなで、別にNTR属性を持たないシットはやきもきとしながら、その巣穴を張り込み続けた。
その穴から美少女が何度か出入りしたのは見たが、遂にフニャムシの姿を見ることはなかった。
結論として、この世界で唯一の理解者をその美少女は殺していたのだ。
シットの中にはどろどろとした感情が生まれてきたが、
前世から自分より遥か格上の者には近づかないという性分が結局シットには何もさせなかった。
シットはとりあえず美少女の事は忘れ、自身が生き残る術を考えることにした。
現在のシットのステータスはこちら↓
種族 ゴゴゴゴカイ
名称 シット
レベル 19
ランク E+
属性 海 蟲 岩 弱点 特になし
HP193 SP60 ATK69 DEF61 INT999│(種 限界値) MAG32 RES41 DEX40 AGI23
称号 観測世界からの来訪者 我が仔を喰らうモノ 己殺し
スキル 異界の記憶 無性生殖 仲間を呼ぶ 柔軟性 針生成 超再生 超消化 分裂
スキルから見て取れること、それは主に『超再生』に『分裂』『多産』『無性生殖』。
要するに圧倒的なしつこさである。
分裂をする際にどちらもが本物として誕生するなら、
大量に分裂すれば『シット』自体は死ぬことはなくなるはずだ。だがシットには協力する発想はなかったので、
群体化する案は思いつかなかった。もしかしたら考え付いたのかもしれないが、
駄目なやつに限って、やたら自分のアイデンティティーを主張しようとする例もあるので、シットもそうだったのかもしれない。
ちなみに、前回のシット同士の殺し合いは、相手がおとなしく負けてくれないうえに、強さも拮抗して被害が大きいので、
封印することにした。
話は戻るがそのしつこさは『生き残る』のには適している。
ただ、それが『勝ち残る』ではないことを不満に思うことは、身の程を弁えない羨望のようなものであった。
無い頭でいろいろ考えた時不意に向こうの世界からの仲間を失ったことがまた浮かんできた。
シットはせめてこの世界での仲間たちを大切にしようと思い、巣に帰ることにした。