とあるほしのものがたりSHIT!!第14話
「いやいや、b俺の名前は『ロジャー・九鬼』だって言ってるじゃないか。」
「黙れよ『フナムシ』」
「僕は『フナムシ』じゃない。『船武士』だっ!!…って、あっ……………………………………」
「……………………………………………………」
「………………………………………………………」
「………………………………………………………」
「………………………………………………………………………………………………………えぇーっと君の名前は…」
「………………………………シット」
「…シット、シット。シート、椎斗…違うよね。使徒、C等…最初に戻ろう。シット S、H、I、Tえ~と、
確か意味は、畜生、取るに足らない、嫌なやつ、糞、大便……」
「『大便』っていうなっ!!!!!」
「……………御手洗君?…」
「…あっ……………………………………」
「…………………………………………………」
「……………………………………………………」
「………………………………………………………」
「お互いアレな姿だね。」
「そうだね…。」
「…でも、種族名がフニャムシってないんじゃないかな?ゆるすぎるよね。」
「…ゴゴゴゴカイよりマシだよ。ガキじゃあるまいし。」
「一応1回進化したんだけどね」
「ぼくなんかレア種なんだけど」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「結局真面目には考えてもらえてないんじゃないかなぁ。僕たちの種族名…。」
「いうなよ…」
「つまり、そんな種族に転生したぼくらってさぁ」
「だからいうなって…」
「この世界でも負け組?」
「言うなって言ってんだろ~っ。わかってたさそんなことくらい。」
「でも何とかなるかもしれないじゃないよ?」
「えっ?」
「だって、イモムシとかトカゲとかから成り上がる人外転生モノも読んだことあるし……この世界だったら」
「もっと現実見ろよ」
「でもこの世界思ったよりは自由度高そうだよ?」
「自由度高くても、難易度も高いじゃないか?底辺のフナムシ如きにできる選択肢なんてどれだけだよっ」
「ゴカイとどっこいどっこいってとこかなぁ。」
「くっ。」
「まぁ、未来が無いと決まったわけじゃないんだしさ。もしかしたら擬人化だとかもあるかもしれないよ。」
「…そういえばそのジャンルも好きだったよね。でもさ、多分転生したところで僕らの顔は―――」
「そこらへんはうまく改変してクリエイトできるはずだよ。…できないかなぁ。」
「それ、コリエイト……。多分それムリっぽいんじゃないかな。」
「そっかぁ……」
「うん。……………そういえば今日凄い美少女見た。…『むし』きじゅんだけど。」
「あっ、ぼくもみた。多分何かの幼虫の子だよね。凄い美少女だった。…『むし』きじゅんだけど。」
「きっとアレは勝ち組になる顔だ。」
「うん、あの子擬人化したら絶対ヤバいよ。明日挨拶に行こうかな。」
「いっ、………巣の場所知ってるのかよ」
「……………へへ。」
「……ストーカー」
「………面目ない。」
「…どうせ僕らはもともと面目なんてないじゃないか。」
「……それもそうだね。」
「…………」
「もし、彼女が仲間になったら苛めのない国を作ろう。弱肉強食なんかじゃない世界を作ろう。」
「そんでもって擬人化?」
「うん、そうだね。でもその前に僕は同族たちも説得しないと…」
「同族…か……。お互いコッチでも仲間とはうまくやれてないみたいだね。」
「つまり、御手洗君もこの世界でも『ぼっち』だと。」
「孤独なんかじゃない。孤高なだけなんだ。」
「まぁ、お互い頑張ろう。」
「……うん、あえてよかったよ、船武士。」
「ぼくもだよ御手洗君」
そういって、船武士と御手洗は別れた。
御手洗が船武士と会話したのはこれが最後だった。