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とあるぼっちのものがたり

第一話という名の設定説明回

御手洗(みたらい) 憧大(しょうた)は苛められっこだった。

御手洗憧大は卑屈だった。   御手洗憧大はそのくせ理想は高かった。

御手洗憧大はわき役だった。   御手洗憧大は引き立て役だった。

御手洗憧大は自己承認欲求の塊だった。 御手洗憧大は他人に認められるほどの素質は無かった。

御手洗憧大は恋多き少年だった。  御手洗憧大は告白する勇気は持っていなかった。

御手洗憧大は愚痴多き少年だった。  御手洗憧大は面と向かって反論する勇気も持っていなかった。

御手洗憧大は個性的な風貌だった。   御手洗憧大は残念な風貌だった。

御手洗憧大はオタクだった。       御手洗憧大は対人関係が壊滅的であった。

御手洗憧大は下の上だった。        御手洗憧大は自分では中の上ぐらいだと思っていた。

御手洗憧大は自分より下の人間は馬鹿にした。 御手洗憧大はブービー賞だった。

そして御手洗憧大は、 ぼっち だった!!


とあるほしのものがたりSHIT!!

第1話~とあるぼっちのものがたり~


糞っ、なんだよなんだよ。僕が一体何をしたっていうんだよ。

彼は憤慨していた。彼の背中には『うんこまん』と描かれた紙が貼ってあった。

彼の氏名、『御手洗』と『大』からつけられたあだ名で、クラスの男子は大体そう呼んでいる。

無論、教師の前ではやらないが。

周囲を見るとみんながにやにやと嗤っている。くそっくそっちくしょうちくしょうちくしょう。

みんな僕を嗤いやがってっ。



―――――――そこには、若干の自意識過剰も入っていた。周囲の者も既に御手洗憧大に対して興味はなかったのだが。

しかし少なくとも実際に彼を嘲笑っているものがいることは事実だ。



犯人は解かってる。  衒賎(げんせん)絢塗(あやと)。アイツだ。

衒賎絢塗は苛めっ子だった。自分をカッコよく見せるため、自分が偉い人間と思いたいため、自分の優位さを誇示したいがために御手洗憧大を苛めた。

衒賎絢塗はかなりイケメンだった。衒賎絢塗は自分が女の子にモテると思っていた。衒賎絢塗は事実モテてはいたが本命の女の子たちには振り向いてもらえなかった。

衒賎絢塗の家は貧乏だった。衒賎絢塗の母親は誰かわからなかった。衒賎絢塗の父親は屑だった。衒賎絢塗の父親は紐だった。衒賎絢塗の父親は女を食い潰した。

衒賎絢塗の父親は息子や女にすぐ暴力を振るった。衒賎絢塗の父親は気に入った女を見つけると手に入れようとした。衒賎絢塗もその血を継いでいた。

衒賎絢塗の叔父は一代で大金持ちになった男だった。衒賎絢塗の叔父は衒賎絢塗の父親たち親戚を切り捨てた。

衒賎絢塗の父親は兄に無心した。衒賎絢塗の父親は断られた。衒賎絢塗の叔父の妻は大層美人だった。衒賎絢塗の父親は義姉に迫った。衒賎絢塗の父親は断られた。

衒賎絢塗の父親は弟の家に強盗に入った。衒賎絢塗の父親は甥に見つかった。衒賎絢塗の父親は甥を殺そうとした。衒賎絢塗の父親はそれを庇った義姉に阻まれた。

衒賎絢塗の父親は義姉を殺した。衒賎絢塗の父親は犯罪者だった。衒賎絢塗は犯罪者の息子だった。


彼らの学校にはなぜかやたら美男美女が多かった。少女漫画や、ちょっとトラブルの多そうなスケベ学園マンガかというくらいだった。

その中でも群を抜いての美少年がいた。神に愛されたような少年の『彼』のせいで、衒賎絢塗はNo,1になれなかった。

『彼』のせいでとびきりの美少女達がハーレムに加わらなかった。しかし『彼』には何一つ敵わなかった。だから御手洗憧大を苛めて自分を誇示したのだ。

衒賎絢塗は偉い。衒賎絢塗は強い。衒賎絢塗はカッコいい。『彼』―――――――姫宮遥よりも。




姫宮(ひめみや)(はるか)は完ぺきだった。姫宮遥は完成していた。姫宮遥は孤独だった。姫宮遥は男というより美少女だった。姫宮遥は空虚だった。

姫宮遥の父親は空白だった。姫宮遥の母は姫宮遥の全てだった。


姫宮遥の父親の旧姓は衒賎という貧しい家だった。姫宮遥の父親は自分の家が嫌いだった。姫宮遥の父親は名家の女を金で買い氏を変えた。

姫宮遥の父親は冷徹だった。姫宮遥の父親は一代で莫大な財を築いた。姫宮遥の父親は蠅のようにたかる親戚を切り捨てる日々が続いた。

姫宮遥の父親は人間不信であった。姫宮遥の父親は使えない社員を切り捨てた。姫宮遥の父親は邪魔な親戚を跳ね除けた。

姫宮遥の父親は息子との会話はほぼなかった。姫宮遥の父親は金で買った愛人たちのもとを廻った。姫宮遥の父親は家には帰ってこなかった。

姫宮遥の父親は妻を愛していなかった。


姫宮遥の母親は没落した旧家の家で生まれた。姫宮遥の母親は自分の家の為に男と結婚した。姫宮遥の母親は初めて会った男と籍を入れた。

姫宮遥の母親は優しい人だった。姫宮遥の母親の家は困窮していた。姫宮遥の母親の家を助けようとする者は男以外にいなかった。

姫宮遥の母親は箱入りのお嬢様だった。姫宮遥の母親は姫宮遥の理想だった。姫宮遥の母親は息子に愛情を注ぎ続けた。

姫宮遥の母親は夫に愛されることを期待してはいなかった。姫宮遥の母親は息子に夫を恨まぬように言った。姫宮遥の母親は強盗に来た義弟の衒賎絢塗の父親に殺された。

姫宮遥の母親は、夫と息子を愛していた。





「まったく!! 誰なの、御手洗君にこんなことしたのは!!」

御手洗憧大の持っていた紙を取り上げてようやくクラスに問題を提議した女子がいた。

その女子は御手洗憧大の恋愛対象だった。

「なんだい七海、まさか姫宮から御手洗に乗り換えるのかい?」

「何言ってんのよ、衒賎。あっ、犯人は衒賎ねっ」

「そんなやつ庇うなよ。ったく。」

「御手洗君はクラスメイトでしょっ。こんなことをするなんてほんと幼稚ね。」




七海瑠璃はなんていうかやたらイケメンの幼馴染を持つ少女漫画のJK主人公っぽくあった。七海瑠璃はなんていうか幼馴染系メインヒロインっぽくあった。

七海瑠璃はなんだか最後には主人公を持って行かれる臭がする女の子だった。余裕のない七海瑠璃は余裕のある鈴廣和音のライバルだった。

七海瑠璃は実際姫宮遥のお隣さんで幼馴染であった。七海瑠璃は割と突っ走る方だった。七海瑠璃は気が強かった。七海瑠璃は唯一姫宮遥の顔を殴れる女だった。

七海瑠璃はかなりのオタクという以上にヲタクだった。七海瑠璃は姫宮遥にも布教した。七海瑠璃は御手洗憧大ともよく盛り上がった。

七海瑠璃は御手洗憧大に想われていた。七海瑠璃は御手洗憧大にそのつもりは全くなかった。七海瑠璃は姫宮遥が好きだった。七海瑠璃は姫宮遥には気づかれていなかった。

七海瑠璃だって美少年の方がいいに決まっている七海瑠璃も女の子だった。

七海瑠璃はブログをやっていた。七海瑠璃のブログは姫宮遥の写真でできている。血潮は姫宮で心は遥。

~私の幼馴染(男)が美少女過ぎる件について~  ~私の幼馴染が美少年過ぎてつらい件について~

七海瑠璃のブログは多くの熱狂的な女性ファンと攻撃的な男性アンチを得た。七海瑠璃のブログの写真は全部盗撮だった。




鈴廣和音は姫宮遥の婚約者だった。鈴廣和音の父親の会社は姫宮グループに合併吸収された。鈴廣和音は生贄だった。

鈴廣和音は当初姫宮遥に興味はなかった。鈴廣和音は彼の母親に女装させられる姫宮遥を偶然見た。錫廣令佳は姫宮遥に俄然興味を持った。

鈴廣和音はお嬢さんポジションのキャラだった。鈴廣和音は人気投票ではメインヒロインの票を喰いそうな少女だった。

鈴廣和音も美少女だった。鈴廣和音は好きな姫宮遥を好きな七海瑠璃がいることを知った。鈴廣和音は婚約者であることをあっさりばらした。

鈴廣和音は七海瑠璃も気に入っていた。鈴廣和音は牽制のつもりでも何でもなく既に決まった勝利のつもりだった。

鈴廣和音は今日も余裕をもって優雅だった。





…『クラスメイト』ね。どーせ、どーせ僕はその程度さ。七海さんだって姫宮の方がいいに決まっている。

何でこう、格下に見られるんだ。そこまで酷くはないはずなんだ。確かに姫宮なんかにはかなわないさ。でも僕は、アイツよりましだ。

船武士(ふなぶし)帥男(ひきお)よりかはね。



船武士帥男はごっつい名前だった。船武士帥男はうっすい感じだった。船武士帥男は完全に名前負けしていた。船武士帥男は引きこもりだった。

船武士帥男は苛められていた。船武士帥男はリアルではダメなやつだった。船武士帥男は妄想やゲームに逃げた。

船武士帥男は理想主義者だった。船武士帥男には理想を叶える力が無かった。船武士帥男は挫折する為の現実から引きこもっていた。

船武士帥男は理想だけをどんどん膨らませた。船武士帥男は苛めの無い世界に行く夢を見た。船武士帥男は異世界勇者召喚物の小説を好んで読んだ。

御手洗憧大の仇名は『大便』だった。船武士帥男の仇名は『フナムシor引きこもり』だった。

御手洗憧大は船武士帥男よりかは自分が上だと思っていた。皆の御手洗憧大の評価は船武士帥男と同ランクだった。




とにかく御手洗憧大は卑屈で不細工でダメなやつだった。

第一話の始まりが『糞』。大丈夫かなぁ。

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