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第1話「HIGEへの殺意」

習作というのをいい訳に、とうとうやってしまったRPG・異世界な剣と魔法と学園もの。隣の芝が青く見えてやりたくなったものは仕方がない。楽しければイイジャナイが主成分。果たして他の作者と差別化できるのか…!そもそも、作者に差別化する意思があるのか…!読んでいるほかのなろう作者の影響を受けていないと言い切るつもりなのか…!そこはかとなく香る地雷臭。踏み抜く覚悟でどうぞ。

雲一つない快晴。若葉が青々と生い茂り、

命の生き生きとした躍動すら感じられる。あらゆる命が、いや、無機物すら命の讃美歌を歌う。そんな春の暖かく心地よい陽気のなか、ある一点のみ曇っている。

具体的には、ある青年の付近のみ曇っている。「ドヨーン」という効果音が見えそうなほど。あ、今見えた。精神的にではなく物理的に文字が白く浮かび上がる。その青年が無駄に高度な無駄の無い無駄技術で視覚化させたのだろう。

なんて無駄な事をする無駄な青年なのだろう。無駄ばかりで無駄という言葉にすら失礼に値するほど無駄な無駄を無駄に煮詰めた無駄、、、


「うるせええええええええ!!」


ナレーションに割り込むとはなんたる暴挙。こいつは物語のオープニングの神聖さを理解しないのだろうか。寿司ならマグロ、山なら富士、遊園地は某ネズミ、欠かせぬものだというのになんたることか。ちなみにアイドルなら、akb48だ。異論は認める。


「いいから黙れ!」


はいはい、分かりました。さっさと本編始めりゃいいんでしょ。

はい、はじまりはじまりー





「ったく、いきなり頭の中で声が聞こえたと思ったら、続けて爆音が流れ出すしよ、どうなってんだ」


今だに揺れる脳内を気が重い。その一言に尽きる。体は重く鉛のようだ。「足が棒になる」と同じくらい使い古された言葉だが、身にしみる言葉はないだろう。ああ、今の密度 (室温付近)11.34 g·cm-3

俺は鉛だ。体よりも心の重さが。うまく釣られてここにやって来るハメになったことを呪わずにはいられない。

 ここまで体が鉛と化す原因は目の前にある。

 「聖マリア・カルメン・デ・ロス・カスティーリャ学院(および、万国合同協賛、ラスティーナ氏主宰による最鋭学徒指導学園・学校「最峰の頂」加盟学校:登録番号001「至高の大魔導」「極栄の刀剣」 2つの名を学名として名乗る権利を有する。正式名称:「極栄の刀剣をもって大地にはびこりし、魔を滅せん。(中略)至高の大魔導をもって新たなる(ry」)」

 

 なげぇよ…。

 

 何が長いって学校名の時点で長い。なのに補足がアホみたいに長い。さらに、正式名称が倍率ドン、さらに倍、で長い。聖マリア~の部分が歌の題名みたいになっている。以下歌詞みたいな。1番、2番、3番まで用意されているようだ。1番の途中で諦めたが。

 

 (そうじゃない…)

 

 念仏のようなやけに長い学校名をみて辟易としていたが、それが気が重くなる原因ではない。(完全に気落ちする責任の一端を担ってはいる…が)

 話せば長くなる。話さないと分からない。出来る限り端的に話そう。分かりやすく箇条書きにした。


 ・俺凡人

 ・超高難度学園に編入決定

 ・その初日 ←今ここ


 そら精神的に病むわってことで。そんな哀れな男、改め、編入先でいじめにあうこと請け合いの生贄こと「海人(カイト)」という。名前の前に出身地を名乗る場合が多いことから。世間では「日島(ヒジマ) 海人(カイト)」がフルネームになる。

 次が本題。なぜ気落ちする原因とはなにか。


 1、普通の国立(日島の学校)に通っていたが、ライン皇国主催の全世界一斉学力調査なるものに参加。

 2、クラスメイト5人と軽い気持ちで挑む。内容はVRフィールド内でのサバイバルゲーム。

 3、結果、最優秀選手に選ばれる。賞品として「聖マリア(ry 転入の権利とその学費の全額免除。ならびに特待生権限で好きな学部に入ることを許す(強制的に最上位のクラス・全5段階)をいただいた」

 4、賞品の授与式の最中に丁重に転入をお断りしたところ、暇つぶしに来ていた皇帝が面白がって必ず来いと脅される。その場限りの曖昧な返答をして逃げる。

 5、一斉調査前と変わらぬ生活を送ろうとしたところ、教師に涙目で説得される。原因はどう考えても皇帝のせい。あの親父のせい。ひげおっさんのせい。ひげのせい。

 6、担任の教師に死相が見えていたたまれず、転入を決意する。そして今に至る。


 …


 ひげが…!黒もじゃひげサンタやろうのせいでこうなったといっても過言じゃない。賞品をもらったからといってどうするかは受け手の自由だろうに。それなら同じチームのクラスメートがもらっていた清涼飲料1年分や保存食1年分。全国で使えるギフト券10万円分と 夢の国(ドリームランド)の年間パスポートなどが良かった。

 俺が編入すると言ったらあいつらも羨ましそうにしやがって。ヨサクのやつは躊躇もせずに


 「マリア学院っていったら、大企業のご令嬢や各国の姫様。さらにはあの有名な魔王さんの娘までいるあのマリア学院でやんすよ?目が幸せすぎてやばいのマリア学院でやんすよ?おいら、一度だけ行こうとしたことがあるでやんすが、うっ…」


 と、そこで急に話を止め、手をお尻の辺りへ持っていきさすっている。授与式で学院のSPを見たときにきゅっとしてたのはそういうことかヨサク。2度と同じことをさせないためにもしっかりと調教されてきたのかヨサク。大切な何かを散らしてきたのかヨサク……。


 そのときは流石に哀れんでヨサクの肩を叩いて励ましてやったが、それはヨサクが全面的に悪い。それほどに各国の要人が集まる場所にいつもの癖でスネークしに行くほうが悪い。それ相応の警備をしているだろう。多分、ヨサクのことだろうからどこからともなく学院に侵入して、盗撮していたところを御用だろう。


 言い方は悪いがヨサクのテクは本物だ。こと盗撮関連|(とはいっても制服姿やユニフォーム姿などを際どい角度で撮るだけで、決して一般的ないいし得ぬやましさのある盗撮ではない。下着や何を撮らないのがポリシーらしい)に関しては某国のSPY・諜報員顔負けの変装・隠れ身の力を発揮する。そのヨサクをお縄にするのだからセキュリティーの頑丈さが見て取れる。


 …脱線した。


 とにかく、ヨサクが貞操を散らしてまで見たいほどに男には魅力的な場所であると同時に、他の追随を許さぬ素晴らしき教師が学園に勤務している。各界の著名人はもちろん、その道の第一人者も当然いる。新しい技術はここで生まれ、古の英知はここにのみあり続けている。それほどまでに素晴らしい場所だと世間では認識されている。


 それだけに入ることは難しく、全世界で一握りの選ばれた人間でしか入ることは許されない。ましてや、転入など学院が始まって以来の出来事である。だからこそ、


 「気が重くなるわな…」


 冒頭で鉛になるのも分かってもらえると思う。このまま家に帰ろうかという考えが、何度頭をよぎったか数えていない。だが、行かねばならないだろう。あのHIGEが気を利かせて、有り難くも全校生徒の前で転入生の紹介をしてくださるようだから遅刻するわけには行かない。


 ほぼ動かぬ重い足を引きずって、校門の内側へと足を入れた。警備員のおじ様が微笑ましいものを見るようにしてこちらを見ている。新入生にありがちな緊張と見ているのだろう。確かに緊張している。HIGEに手を出さない自信がないからだ。全校朝会が行われるセントラルホールへと向かうと同時にあのHIGEへの殺意を確たるものにするのだった。

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