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食べ物屋さんと不審者さん 《連載》  作者: サトウアラレ
二章 食べ物屋さんと不審者の星夜祭
6/16

星夜祭りの約束

(ここね)


 工房の前に立ちドアをトントンと叩き、声を掛けた。



「グレイさんいますか?」


 工房の中からごそごそと音がすると、髪がぼさぼさでフードを急いで被ったグレイさんがそっとドアを開けた。



「!!、ミアさん!どうしたの?」


 グレイさんは垂れ目を大きく開けて驚き、私を見つめた。


「突然すみません。以前、こちらの工房でお仕事されていると聞いたので、いらっしゃるかと。ご飯何か食べました?持ってきたので、よかったら食べて下さい」


「!え、もうそんな時間?あ、ごめん、ちらかってるけど、どうぞ」


「では少しだけ」


 そう言って私は中に入った。


「おじゃまします。うわあ。工房って初めて入りました」


 私はきょろきょろとあたりを見回した。


 ごちゃごちゃと不思議な道具が沢山ある。綺麗なガラスや、石。何に使うのか分からない怪しい草等。


 私がジッと見ていると、グレイさんは慌てて声を掛けて私のバックを受け取ってくれた。


 いつか、あの不思議な道具達を色々教えて貰おう。興味深いものばかりだ。


「危険なものもあるから、触らないで。怪我しちゃうよ。見る分には構わないんだけどね。ミアさん、わざわざありがとう。いい匂いがする。最近、仕事が忙しくて時間の感覚がおかしくなっちゃってた」


「気にしないで下さい。私もお店があるのですぐにお暇しますね。でも、グレイさん、ちゃんとご飯食べてください。心配ですから。ああ、顔見れてよかった」


「!!ミアさん!!ちゃんと、食べるよ!!」


「あとですね、グレイさんに、少々お尋ねしたいのですが」


 私が工房の道具等を見回しながら訊ねると、グレイさんは元気よく返事をしてくれた。


「!!なに??」


「星夜祭なんですけど、グレイさんは予定が入っていますか?なければ一緒に過ごしたいと思ったのですが」


「ああ!俺、ミアさんにそんな事を言わせて。もちろん予定はないよ。俺も、ミアさんと過ごせると思ってたから・・・。ごめん、俺が誘うべきだったね・・・。俺の家か、ミアさんの家で過ごそう」


 ショボーンっと音がしそうな顔をグレイさんはしていた。


「ああ、嬉しいです。良かった。楽しみにしておきます。では、私は失礼しますね。お仕事中お邪魔しました」


「ミアさん、わざわざ有難う。後でゆっくり食べさせてもらうね」


 グレイさんがそう言って、ミアさんちょっと失礼、と言うから何かと思ったらぎゅっと抱きしめられた。


「明日はお店に行くから」


 頭の上からグレイさんの声がして、私はこくこくと頷き工房を出た。



 火照った顔は冷たい風がすぐに冷ましてくれるだろうと、私は店までまたてくてく歩いた。



(よかった。星夜祭は一緒に過ごせるんだわ。恥ずかしかったけど、工房に行ってよかった)



 とウキウキしたが、その後。


(はっ!でも、一緒に過ごすって何したらいいの?恋人と過ごした事なんてないわ)と気づいた。


 家族となら、食事して、お話して、ゲームして星を眺めて願い事をしてロウソクを灯す。


 改めてグレイさんに、何します?なんて聞くのも恥ずかしいし、カオリさんに聞いたら大変な事になる。


 とりあえず、私が出来る事。


 星夜祭の特別なご馳走を作り、甘い物を並べる。そうだ、星夜祭の料理を美味しく二人で食べる事にしましょ。と答えを出した。


 グレイさんは甘い物が好きなので、甘い物を沢山思い浮かべて途中で商店により、沢山買い物をして帰った。


 店に帰り着くと夜に向けての準備をしたが、グレイさんと会えた事で心はぽかぽかだった。



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