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Argo  作者: オカルト四季刊行誌アルゴ編集部
【緊急特別版】双見湖・双穴水鏡山エリア特集!
3/9

#002 鑑石伝説には神と仏が争い呪う驚愕の真実が隠されていた!!


 近年は温泉地として知られる鑑石市だが、元は第一次大戦後に疲れを癒す静養地として双見湖(フタミコ)畔に別荘が数軒建った事から観光地になった村。


 第二次大戦後にホテルや企業の保養所が建ち並び、別荘地らしい静けさを保ちつつ道路や遊戯施設等が整備され、湖畔を周る自然散策道や登山道やテニスコートやに、隣町の槍水(ヤリミズ)町にスキー場が出来ると温泉宿や商店街はバスで立ち寄る中継地ともなった。


 けれど行き過ぎた整備に政治的癒着と利権はバブルの崩壊にすら悪行を生み出し、道路利権に地上げ屋を雇い外資に取り入り、名物とされるパンやデザートが生まれた隣町の槍水町の商店街を嫌がらせに道路で分断した事で、目論見崩れに湖畔リゾート自体の人気に影を落とし、温泉地として踏ん張るも観光過疎地化。


 水鏡(ミカミ)峠の開通は自家用車の客足を増やす事は無く、拡幅した道は速度超過で住民に危険を齎した。けれど定期バスの双見湖周回が可能になり、周遊バスとして増便を齎した事で鉄道からの客足が戻りつつある中、例の地震と崩落により今は大打撃を受けている。



 前記事で最後に告げた、我々が調査していた鑑石市の伝説とは、地名の由来とも云われる鑑石寺の【鑑石(カガミイシ)】に関するものだ。


 鑑石市が村の頃から鑑石伝説という逸話があり、鑑見(カンガミ)川という昔この地域に流れていたとされる川の水源が双穴水鏡山(フタロクミカミヤマ)東斜面の何処かに存在するらしく、何時の時代か鑑見川は村に悪さをするからと、鑑石寺の和尚が大きな鑑石で水源を塞いだ。とされるものだが、肝心な鑑石の場所は何処にも記されておらず不明のまま。



 実はこの鑑石を我々よりも前から探していた男が居た。


 数年前に開通した水鏡(ミカミ)峠だが、最初の道路建設予定地にソレが在るのを見付けた男は、市議や役人に詰め寄り確認させるも調査は利に働き、大きな岩の脇に隙間があるだけと判断され、政に道路計画は進められる。


 すると男は自身が持つ宗教法人団体の証を流用して新たな宗教団体を起ち上げ金策に走り、暴対法で溢れた半グレを雇い強引な勧誘で貯めた御布施で建設予定地を市よりも先に買い占め建設計画を変えさせた。


 その男の名は石神(イシガミ)宇曽(ウソウ)、例の生物兵器を研究していた宗教法人団体【▲▲創穴鑑見構(ソウケツカガミコウ)】の教祖である。


 驚く事に彼はカルト教団創設前は寺の住職であり、その寺こそが鑑石市の名の元にもなったと云われる鑑石寺なのだ。


 詰まる話、カルト教団施設の敷地内に在るという伝説の鑑石は、敷地内部に関する取材を一切受け容れてはもらえない為、我々は確認する事も出来ずに居た。



 では何故今回我々が鑑石伝説を調査するに至ったかと言えば、鑑石は教団施設内に在るという建設予定地を変えさせる程に市と争った経緯から誰も調べていなかったが、そこに大きな見落としがあると気付いたからに他ならない。

 

 そもそもの市が調査したという岩の位置や写真やの調査資料が残されてもいない杜撰さは、工事を始めてしまえばという役所と利権議員の思惑がそうさせたかは判らないが、結果的には建設予定地を変え調査をしたと言う事実だけが残り、石神宇曽の話を真実にしてしまったのだ。


 せめて地図や写真だけでもと考え市に資料請求をしてみた結果それを知り、教団施設内に鑑石が在るという話自体に疑義が生じ、改めて最初から調べ直す事にした訳だ。


 そんな中、今回の【双見湖・双穴水鏡山エリア特集!】にご協力をいただいた言語地理学講師の加々見(カガミ)温子(アツコ)先生が、別の件を調べていた中とある血筋の家系図に付随された走り書きを見付け、それを辿った先で見付けた別の伝承から、あの鑑石に隠された真実が見えて来たのだ!



 加々見先生がひょんな事から石神家に関する妙な話を聞き入れ調べてみると、槍水町加々見方に住む男系が途切れ姓を失くした家の生まれに富子(トミコ)と言う娘が石神家へと嫁いでいた事が判り、その家系図に石神の家系に纏わる走り書きが見付かった。


 それによれば富子が嫁いだ石神家は過去に消えた鏡石(カガミイシ)神社の宮司の家系で、鑑石寺の住職は元来 石神家ではなく堀内(ホリウチ)家であった事が判明した。


 更には鏡石(カガミイシ)神社こそが鑑石村という名の元になった鏡石を奉る神社だったようで、鑑石寺関連を調べても出て来なかった理由がこの神社と寺の歴史上のお家騒動にある。



 いつの話か鏡石神社の宮司だった石神家の長兄が、鑑石(カガミイシ)寺の堀内(ホリウチ)家の娘を双見湖(フタミコ)へと連れ出し密会した折、鑑見川(カンガミガワ)から現れし神の化身に咎められ、娘を黄泉の国へと連れ去られた。


 当然堀内家はこれを許せず娘を返せと鏡石神社の宮司に迫り、密会に連れ出した長兄を仏罰に処すとして(ヤシロ)に閉じ込め火を放った。


 社は怒り狂ったように燃え盛り、炎が木々に燃え移り出してようやく宮司が事態に気付くが、既に社は燃え尽き助ける事など出来よう筈もなく、山火事だけでも防ごうとした所、焼失した鏡石神社の灰の中から祀られていた鏡石が転げ出て来た。


 宮司は御告げの如くにそれを拾うと一目散に山を駆け上がり、鏡石ごと水源の淵へと飛び込んだ。


 すると山の多所から水が噴き出し、その火が消えると鑑見川の水も枯れ果てたという。


 鑑見川を枯らした鏡石神社の祟りを恐れた鑑石寺の住職は、温情に事を済まそうと石神家の次男を養子に迎え入れ、妙な因縁を疑われぬようにと双穴水鏡山を挟んだ加々見村から各務(カガミ)家の富子を嫁にさせた。


 だが、話はこれで終わらない。


 堀内家には妹が居り、その娘が身籠っていたと判り相手を訊くが答えない。まさかの事態に住職は次男を疑い古井戸に落とし殺してしまうが、富子も身籠っていたと判り苦悩する。


 妹の子と同じ日に富子の子が生まれると、住職は鏡石の呪いだとして枯れた水源を大きな鑑石で塞ぎ、己の身を投じてそれを封じ亡くなった。


 暫くして村の者が戦火に倒れた者を埋葬するのに鑑石寺を訪ねると、住職として顔を出した男は石神の名を口にした。



 以来、鏡石神社は歴史上から消え、厄災を防いだ鏡石は鑑石で塞がれ、封じたとされた呪いは今尚も石神家と堀内家を醜い憎悪が覆っているが、この血の争いはまた別の記事として書こうと思う。


 鏡石神社に関する物を片っ端から漁ってみて判った事に、神社と寺の話だけに村八分にするも出来ずで知るも知らずを通すが皆知る事に、村でコレを話すは禁忌とされ腫れ物扱いになっていた。


 故にか、子や孫に伝え聞かせた話や絵やが数軒の蔵から見付かり、其れ等を繋ぎ合わせて纏めたのが先の話。



 この伝承によれば伝説の鑑石は鑑見川の水源に在る、それは先日の生物兵器流出事件で創穴鑑見構敷地内から大量に噴き出した水が鑑見港まで流れ川のようになっていた事からも、石神の言うあの岩こそが鑑石のように思われる事だろう。



 しかし、それでは灯台下暗しで記事としてもいただけない。


 実はこの鏡石神社を調査していた中、我々は鑑石の位置に関する重要な証拠を手に入れていた!



 次は、本物の鑑石についてを記す事にする。



ライター:Kタナカ


地域文化資料記事作成協力:加々見(カガミ) 温子(アツコ)

著書:地域言語で探る地政史シリーズ『銀鉱に揺れた鑑石村』


 

■編集後記


 一応までに、ラストの参考書等はネタなので探しても出ません。


 記事中の【双穴水鏡山・双見湖エリア】については、評価の★☆★☆★より下部のランキング欄にバナーを貼っておりますので、そちらを確認等にご活用いただければ幸いです。

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双穴水鏡山
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― 新着の感想 ―
[良い点]  にゃるほどです。  土地の禁忌の歴史が伝説と伝承となり、現代にオカルト的なホラーとして蘇ったのですね。めちゃめちゃリアリティーがありますね(*`艸´)   伝えられるのは土地の真実。しか…
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