表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Argo  作者: オカルト四季刊行誌アルゴ編集部
【緊急特別版】双見湖・双穴水鏡山エリア特集!
2/9

#001激録!! 坑道崩落に揺れる双見湖に、謎の巨獣【フタッシー】を見た!!


 雪山と湖の温泉地で、地震と坑道崩落の最中にカルト教団による生物兵器の脱走と、災害と事件に揺れるも復興を急ぎ観光の客足求む鑑石(カガミイシ)市だが、災害発生時に多くの人が目撃していた双見湖(フタミコ)周辺で起きた超常現象の数々は未だ全容解明とは程遠い。


 世間を騒がせる憶測に収束を図る拙速な気象庁の見解は、ネット界隈や気象学会からも否定的な学術論が多く出され、政府による人工地震等が疑われてもいる。


 また、脱走したカルト教団の生物兵器を撮影した筈の携帯電話が軒並み壊れ、ネットに上げられた画像は即時削除に検索するも表示されない事から政府機関の隠ぺいが疑われ、UMA(未確認生物)や宇宙人説まで出る始末には陰謀論者を差別的に見る傾向に拍車をかける様からも、C国の五毛(ゴモウ)党的に事の収束を図ったか。


 其れ等を陰謀論と一蹴する政府やメディアからは都合のよい論文が発せられるも、政府に寄り添う研究には国から入る研究費の配分に都合が見られ、その調査結果を配信した動画が即時に削除、巨大IT企業と政府の癒着も疑われるが、それも陰謀論との揶揄に動画と共に排除されて行くのだろうか。



 だが我々はとある伝説を追い、渦中の双見湖で避難中の車内から謎の巨獣【フタッシー】が水面に跳ねる姿を目撃していた。



 地震直後に禍々しい青みに(ソビ)えた双穴水鏡山(フタロクミカミヤマ)が、坑道崩落により尾根を下げ、崖崩れの土埃を雪崩が呑み込み湖底に沈み、双見湖畔を襲う高波が道を寸断。


 避難車両も動けず停まり、暫くして雲が消え去ると月夜に双見湖の水面を跳ねる何かに気付き撮影を開始すると、その後二回程跳ねたチャンスに遠い湖面の何処に現れるか、狙い構えたファインダーの中に巨大生物を何とか収める事が出来た。


 その大きさは周囲との対比に全長にして十五㍍はあると思われ、脱走したカルト教団の生物兵器とされる写真の物とは比較にならない程の大きさだが、形状に酷似する部分は多く否定は出来ない。


 一応先に断っておくが、これは地震直後の深夜に避難車両の中から慌てて撮影したがカメラ担当が負傷していた為、カメラを借りた筆者がムービーモードで撮影した映像を画像に起こしズームしたものであり、決して狙って粗くした物ではない。


 撮影した謎の巨大生物フタッシーがコレだ!!



挿絵(By みてみん)



 地震の最中に水面を跳ねて月明かりに浮かぶその巨大なシルエットからは、地震を起こす大鯰(オオナマズ)を想起させられもする。



 大鯰と言えば、鹿島(カシマ)神宮と香取(カトリ)神宮の要石(カナメイシ)をご存知だろうか、磐座(いわくら)とも伝えられる霊石で大神の御座。

 大神とは鹿島神宮の武甕槌(タケミカヅチ)神と香取神宮の経津主(フツヌシ)神の事で、二柱の大神は天照大神(アマテラスオオミカミ)の大命を受け、地中に住みつき荒れ騒ぐ大鯰を石棒|(要石)を深くさし込み大鯰の頭尾を押さえ地震を鎮めたと伝われている。


 鹿島神宮の要石は大鯰の頭を、香取神宮の要石は尾を押さえているとされ、両者の石は地中で繋がっていると云う話もあるが、1664年 貞享元年 三月、徳川光圀公が鹿島神宮へ参拝の折に掘らせるも根元を見る事は出来なかったとの事。


 けれどそれは常陸・下総付近で悪さをしていた大鯰で、関東の茨城県・千葉県の事だけとも思えるが、三重県の大村神社にも奉鎮せられたと伝わる要石がある。


 ならば地中で暴れたかにも思える双見湖の大鯰にも要石をと考える所に、先の写真に映るフタッシーを画像処理した折、そのシルエットに違和感を覚え、一応にシルエットを赤線で囲んでみると以下のような形になった。



挿絵(By みてみん)



 ご覧の通り手足が生えているようにも見える事から大鯰とは思えない。そこで我々は別の巨大生物を思い浮かべた。


 それが大山椒魚(オオサンショウウオ)だ。

 全長60~100㌢、最大で全長150㌢超で、体重20㌕を超える程に成長し、岐阜県より西の山地に分布し、四国や九州にも記録がある。


 これに読者は『十分の一しかないじゃないか!』と思われるかも知れないが、其れ等は現在観察されている個体の話であり、実は人の背丈を余裕で超えるサイズの大山椒魚が出て来る目撃談や伝承が残されてもいる。


 中でも岡山県真庭郡湯原町豊栄の(ハンザギ)大明神の案内板に書かれている逸話には、全長10㍍、胴回り5㍍の大山椒魚が居たとされており、伝承では水神にして祟り神、荒神の一柱とされ、大山椒魚の別称“ハンザキ”を漢字で“鯢”と表記されている大明神に祀る祠が在り、その逸話の中で鯢は人を喰らっていたと云うのだ。



 今は鯢大明神に置かれる(ホコラ)だが、昔は前を旭川が流れ、龍頭の淵という深い淵で、其処に大きな“はんざき”が居た。

 近くを牛馬や人が行くと水の中へと引きずり込んでは喰ってしまうので村人は恐れ近付かなかったが、文禄元年に“大はんざき”を退治しようと向湯原村の若者 三井(ミツイ)彦四郎(ヒコシロウ)が腰に紐を結び短刀を口に龍頭の淵に飛び込み“大はんざき”を討ち取った。


 浮き上がった全長10㍍、胴回り5㍍の“大はんざき”に村人は驚くが、その後村は祟りに恐れを抱く事になる。


 毎夜 彦四郎の家の戸を叩き泣き叫ぶモノがあり、出て見るが誰も居ない。その噂に村人達も恐れ三井家とは疎遠に日暮れには戸を締め外へ出なくなったが、間もなく彦四郎一家は死に絶え、村内にも祟りが及ぶようになった事から村人は国司神社の境内に祠を建て、“はんざき”の霊を祀ったのが鯢大明神の始まりで、毎年八月八日に“はんざき祭り”が行われている。



 近くに在る、大山椒魚保護センターには大型の水槽に体長150㌢、体重30㌕超の大山椒魚が飼育されており、体長160㌢の剥製が置かれてもいる。


 シルエットの頭部は微妙に違いはあるが、例のカルト教団の生物兵器とされネットに一時的に上がった写真のソレと酷似する事からして、大山椒魚を実験体に遺伝子操作した可能性も捨て切れない。


 だが遺伝子操作の実験体ではなく、仮に写真のソレが伝承に聞く大山椒魚の種祖であったり大鯰と目される地震を起こすソレだったとすれば、我々が当初調べていた鑑石市の伝説にも関わって来る気がしてならない。


 次はその鑑石市の伝説についてを記す事にする。



ライター:Kタナカ


 

■編集後記


 一応までに、鹿島(カシマ)神宮と香取(カトリ)神宮の要石(カナメイシ)(大村神社も)の大鯰に関する話と、(ハンザギ)大明神の逸話は、本誌のネタではありません。


 実際に要石を観る事が出来るので、茨城・千葉の水郷巡りと共に神宮の参拝へ行かれてみては如何でしょうか。

 もちろん三重の大村神社や岡山の(ハンザギ)大明神の大山椒魚もね♪



 記事中の【双穴水鏡山・双見湖エリア】については、評価の★☆★☆★より下部のランキング欄にバナーを貼っておりますので、そちらを確認等にご活用いただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
双穴水鏡山
▲双穴水鏡山△

願いの飛び石
↑願いの飛び石↑
― 新着の感想 ―
[良い点] アルゴ、シンボルマークも凝っていますね。神話も印象的ですし、やはりアルゴ座のイメージがあり、幻や快速の船、はてしない海へと航海に出るイメージが、雑誌のコンセプトともよく合っていると思います…
[良い点]  タナカさんの記事だぁ♪  一般大衆に知らされないのは保護のためか、無知蒙昧としているためなのか……。知れば知る程に真相は曖昧模糊とした藪の中。ですが、その方が色々な想像が出来て楽しめま…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ