2:短大生♀×専門学生♂(前編)
『ごめん、椿は大切な女友達なんだ。』
人生はじめてで最後の告白は友達以上になれずに失敗した。
あれから5年、外見はかなり成長した。
「合コンいこぉー。」
授業が終わり、いつもつるんでいる合コン仲間がやってきた。
「椿、また別れたの?」
高校からつるんでいる友達が大きなため息をつく。
「だって、女遊び止めてくれないんだもん。それにそろそろ潮時だったの。自分自慢な奴なんておもしろくないし(笑)」
確かにと、好きな人がいるからと合コンに参加しない霞が唯一参加してくれた合コンの時のメンバーと付き合うようになって1ヶ月
同時に霞も好きな人とうまくいき付き合いだした。
「ラブラブ?」
霞にそう聞くととびっきりの笑顔が帰ってくる。
うまくいってるんだ。
正直かなり羨ましい。
いままでいろんな人と付き合ってきたけど、私は霞みたいに幸せを感じたことが
ない。
理由はわかっている高校に入ってからの私は、告白されれば 基本的に断らない。
断れないのが本当。
告白したのに、フラれて傷つくことを知っているから
でも、そのことは誰にもいっていない。
う~ん、なんか合コン気分じゃなくなってきた。
「椿?どうかした?」
私が黙ったままなことを不思議がりながら聞いてきた。
「今日は止めとく。」
そういい来た道を戻った。
素直に合コンに行けばよかったと後悔することになるなんて思わず・・・
「こんにちわ。」
四つ角の隅でたっている男の二人組に声をかけた。
「おう、椿。学校帰りか?」
背の高いほうの男の人が私に気がついた。
「仕事中?」
隣にいるもう一人を気にしながらいった。
「大丈夫だ。小田原、その愉快な顔止めろっ」
優しく私にほほ笑みながら隣の男の人に叫んだ。
「愉快だなんて失礼ですね。ちょっと待っててください。今、ナイフのかわりにおっきな注射を用意するように電話しますから」
そういいながら、携帯を取り出した。
なんとなく意味がわかった私
「はじめまして。川久保 椿です。」
ニッコリほほ笑み言った。
「あーぁ、川久保さんの・・・」
私が見ても分かる、すごくつまんなさそうに呟いた。
「渓くん、姉さんとも知り合い?」
渓くんは姉の旦那さま
二年前に結婚し子どももいる。
「病院でな。」
看護師の姉
きっとそこで会ったという意味だろう。
「よぅ、椿」
名前を呼ばれ振り替えると2・3日前に別れた元カレがいた。
びっくりしたものの、私は黙ってカレを見た。
「はん、切り替えの早い奴だな。お前のワガママに堪え難くなって清々していたが、次がいたなんてな。噂以上の最低女じゃん」
勝手にベラベラしゃべるカレ
幸い、渓くんたちは口を挟まないほうがいいだろうと思ったのか黙っていてくれた。
「言いたいこと、それだけ?」
カレは思いがけない返答に面を食らっていた。
「おい、人が本屋にいってる間にウロウロするな。」
カレの後ろからもう一人男の人がやってきた。
声を聞き私は、時間が止まった気がした。
しかし、すぐに覚醒し声の主を見た。
私の視線に気が付いたのかカレに掴み掛かっていた男の人がこちらを見た。
「久しぶり。こいつつれてって良い?」
一瞬驚きの表情を見せたがすぐに優しい笑顔となり言った。
昔とかわらない笑顔で・・・
私は、なにも答えずただ頷いた。
そしてなにも言わずカレをひっぱるように無理矢理つれていった。
私は二人の後ろ姿を目を逸らすことなく見つめていた。
「つーばーき」
はっと我に戻り私は、渓くんを見上げた。
「なに?」
平然を装って・・・
「スーツ 皺になる。」
そう言われて初めて無意識に隣にいる渓くんのスーツを強く握っていたことに気がついた。
「あっ、ごめんなさいっ」
私は慌ててスーツを離した。
「気にするな。聞いてほしいか?」
渓くんの言葉に首を振り
「何も言わないでくれてありがとう。それじゃぁ。」
私は、二人から離れおとなしく家に帰ることにした。
部屋に戻り、私は昔のアルバムを取り出した。
そこには、まだ幼い私とさっきいた幼い彼が笑顔で写っていた。
格好良くなってた。身長も伸びてた。声も少し低くなってた。
この頃の私は恋をしていた。
まだ傷つくことを知らなかった私
私は彼、長谷 澪が好きだった。
中学卒業の時、私は告白をした。
あえなく玉砕
それからだ、私がかわったのは恋を恐れる臆病者になってしまったのは・・・
もう恋なんてしない。
でも、私と同じように相手に傷を負わせたくない。
そう思い私がとった行動は嫌いになってもらえばいいだった。
安易な考えかもしれない。
それでも、私にはそれがおたがいのための最善の方法だと思っていた。
いつものように授業が終わり私は、バイトに向かおうと校門を目指した。
そこには、たくさんの人だかり
だれかの彼氏でも来ているのかしら?
女子短に通っている私
そんな女子たちが校門でたむろうことはいい男がいるとき。
大概の男子はそれを嫌がり彼女の迎えにしてもここまでやってこない。
私は、その集団を尻目に通り過ぎようとした。
「おっ・・・おい、川久保っ!」
まさか自分が呼ばれるなんて思ってもなく驚き振り返った。
もう一つ驚く要素はあった。。
昨日も聞いた懐かしい声がしたからだ。
「長谷くん・・・」
回りの女子たちが騒めきはじめた。
理由は簡単
私は誰とでも突き合う軽い女とレッテルを貼られているからだ。
何名かは思いっきり敵意むき出しで睨んでいる。
「川久保、昨日の人って彼氏?」
昨日の人・・・
きっと渓くんのことだろう。
私は、首を振り彼を見た。
なんでそんなことを聞くのだろうと思いながら・・・
「なら、俺と付き合わない?」
その言葉に再度回りが騒つきだした。
「何いってるの?カレから聞いてないの?」
全くもって意味が分からない。
5年前、女友達以上は見れないって言ったくせに
「軽くないワガママ女」
サラリッと言った彼
なんか段々ムカついてきた。
「んなの、昔とかわらないよ」
ニッコリと微笑む彼
プチッ
頭の中でなにかがキレた気がした。
「で、返事は?「イヤに決まってるでしょ!!」
気付いたら回りの人だかりのことなんて頭になく叫んでいた。
そしてそのままその場を後にした。
噂の渦中にいるらしいわね?」
昼からの授業を受けるために教室に入り、いつものように霞の隣に座るとボソッと言われた。
何の噂だろう?と首を傾げる私
はぁーとため息を吐き呆れた様子の霞
「来るもの拒まず去るもの追わずの誰かさんがかなりいい男を断ったらしいわよ。」
そうでした。
長谷くんの意外な言葉に驚き回りに人がいることをすっかり忘れていたのだった。
バイト先でそのことを思い出したが特に気にしていなかったが・・・
「最悪・・・」
と呟き、肩を落とした。
霞は何も言わずいつの間にか始まっている授業に集中していた。
「霞、終わったら時間ある?」
私の問いに大丈夫よ。と言って再び授業に集中した。