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1:短大生♀×社会人♂(前編)

『Unconditional happiness―無条件幸福―:高校生♀×社会人♂』の続きです。

私が知っているあなたのこと


杉田 拓29歳

実は、バツイチ

車好きな芸能プロダクションのマネージャー

仕事柄スーツが多く、サングラスをするとちょっと怖い

でも本当はやさしくて思いやりのある人だってこと。


初めて会ってからもうすぐ2年

私とあなたの距離。少しは、縮まりましたか?

「あっ、小百合さんいらっしゃいませ」

高校卒業と同時にバイトを始めてもうすぐ2年になる。

あいかわらずココに来ることが日課になっている兄の恋人である小百合さん

少しでも兄である雅と一緒にいたいからと、2年経ったいまでもラブラブである。

そして私も、片思い歴2年になる。

相手はもちろん・・・


「なんだ、今日は妹ちゃんのほうか。」

きっと車を駐車場に置いてきたのだろう。

小百合さんのマネージャーの杉田 拓さんが後からやってきた。

「拓さんっ♪こんにちは。」

私の好きな人。

それは2年前、他校生に絡まれている私を助けてくれた彼

バイト先をココにしたのも、小百合さんが兄に会うために来るから。

毎日ではないだろうが、必然的にマネージャーである彼もやってくる可能性が高い。

私の気持ちを知っている兄は呆れて何も言わなかった。

「兄なら今は授業のハズですよ?」

二人分のコーヒーを作りながら言った。

「今日はね、霞ちゃんに話があってきたの。」

心なしか、ちょっとテレビモードになってる小百合さん

なんかいやな予感がするよ・・・

「知り合いの子がね、霞ちゃんを気に入っちゃったらしくて紹介してほしいって言われたの。」

はっ?

目の前で、無理ならいいのと慌てる小百合さん。

「好きな人いるので、断ってくださいね。」

ニッコリと、小百合さんに即答した。

チラッと拓さんを見てみたが、なんの反応もなかった。

見込みなしなのかな・・・

ずっとアプローチしているつもりなのに・・・

いつまでも、妹ちゃんだもんな。

名前で呼ばれたことなんて一度もなかった。

コーヒーを買うと仕事があるからとすぐに二人は出ていった。

本当に、あの用事だけだったんだ。

拓さんの様子から見て知っていたんだろうな。

と思うと、本当にヘコんでしまう。


バイトが終わり、帰ろうとした時、電話が鳴った。

「霞?聞くだけ聞くけど、合コンでないわよね?」

短大の友達の椿からだった。

いつも断っていた私。

椿は好きな人がいることを知っていたからそんな聞き方をしたのだろう。

なんて悪いタイミングなんだろう。

これってあきらめろって暗示かな・・・

「・・・行く。」

たまには、息抜きも必要だよね?

「そうだよね・・・えっ!行ってくれるの!?」

電話口で椿が叫んだ。

「たまにはね、どこに行けばいい?」

私は場所を聞き、家に遅くなると連絡を入れ駅に向かった。

初めて拓さんとあった場所

あの時、兄に呼び出さなければ私と拓さんはどうなっていたのだろう。

好きになっていたのだろうか・・・?

もしかしたら小百合さんのマネージャーだから知り合うぐらいはしたかもしれない。

でも、バイトをするにしてもあそこでするとは限らない。

なんせ短大と正反対の場所なんだから

バイト先が変わらなかったとしても話をしていたかさえ微妙だ。

考えれば考えるほどどつぼにはまっている気がする。


「霞っ?どうしたの?」

隣で心配そうに覗き込んでくる椿

あっ・・・

トリップしてた。

「ごめん。ちょっと考え事してた。」

目の前にあるカルピス酎ハイを口に運んだ。

「合コン中に考え事って・・・」

椿は呆れて周りに聞こえない程度に呟いた。

しかし、この人たち何がおもしろいんだろう。

話を聞いているとずっとお互いの自慢話ばかり・・・

なんか気分転換にもならないし

「ちょっと失礼しますね。」

そんな私に気が付いたのか椿は他の女の子をそのままにし私だけを連れ出した。

うぅ~怒られるのかな・・・

そう思いながら追い掛けようと席を立った時、タイミングよくとなりのブースの

人も立ち上がったようで思いっきり顔をぶつけた。

痛っ・・・

「すみません。」

鼻をちょっとさすりながら相手を見た。

声が重なったことはわかった。

でも、そんなことどうでもよかった。

なぜなら、ぶつかった相手を見た途端そのことを忘れたからだ。

「・・・た」

「ちょっと、霞大丈夫?すみませんでした。」

私の声をさえぎり椿が誤った。

「学校の飲み会かい?」

椿の言葉をさらりと交わし、ニッコリ微笑み私を見た。

「・・拓さんこそ」

自分が今どんな顔しているか想像がつかない。

なんとか言葉を返したといった感じだ。

お手洗いに行った拓さんを見送って、チラッと拓さんが座っていた席を見る。

拓さんが座っていた席の隣には綺麗な女性が座っていた。

向かい側には、男女が一名ずつ

「霞?」

椿が私の袖を引っ張り言った。

紹介しなさいと目で言っている。

「椿、私もう帰るわ。もう十分でしょ?」

拓さんのことに触れず椿に言った。

「・・・わかった。」

何にも言ってないけど、たぶんなんとなくでわかったのだろう。

拓さんについてはそれ以上聞かなかった。

「ありがとう。今日は助かったわ。気分転換になってればいいけど」

と明らかに苦笑いの椿

椿も今日は失敗したと思っているのだろう。

「また学校でね」

そう言い残し私は店を出た。


時計を見ると只今、20時半。

どうしようかな・・・

まさか、一時間足らずで帰るとは思ってもいなかった。

なんとなく真直ぐに家に帰ることはしたくない、近所の本屋に寄って帰ろう。

駅前に着き、最寄までの切符を買おうとお金を入れボタンを押した。

が、切符がでてこない。

かわりに、入れたはずのお金が返金された。

ボタンを押すと同時に背後から手が伸びおつりボタンを押されたからだ。

「なっ・・・」

何するのよ。といいたかった私。

でも後ろを振り向くと言葉が続かなかった。

「送るよ。」

目の前には、肩で息をしている人がいた。

「結構です。拓さん、飲み会の途中じゃないんですか?」

他の人たち迷惑になると思い券売機から離れた私達。

「かまわないよ。それに今日は車だから飲めないよ。」

苦笑いで答える彼


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