第0話【プロローグ】
生活のいたるところにVR技術は応用されているVR技術が発展した時代。
その中でも突出していたのはゲームである。
様々な種類のゲームがほぼすべてVR化され、VR世界に住み、VR世界で遊ぶ、バーチャルニートと呼ばれる様な存在が社会問題化されていた。
そんなVR世界の中で、【シバリエ】というゲームがVR世界を騒がせていた。
【シバリエ】は中世ファンタジーを舞台とした文明創造ゲーム、RTSと呼ばれる分野のゲームだった。広大なフィールドにランダムにプレイヤーが配置されそこを起点に都市を、国家を発展させていく。
国家運営シュミレーションゲーム、このジャンルは多く存在し、奥深いジャンルであった。そんな多く存在しているジャンルの中で異彩を放ち輝いたのがこの【シバリエ】である。
シバリエとはシュヴァリエ、騎士を意味する単語をもじったもので、プレイヤーだけでなくNPCにもレベルや職業と言った細かなステータスを割り振り、レア度の低いただのモブのようなNPCだと思っていたものが英雄になりえる可能性を秘めている。そういう要素を表してつけられたゲーム名だ。
さて、そんな【シバリエ】だが5年の歳月を経て【シバリエⅡ】が発売されることとなった。
その発表を聞いて【シバリエ】プレイヤー達は歓喜したが、同時に悲しさも感じていた。
【シバリエⅡ】に【シバリエ】で作った国家を持ち越すことはできない。育て上げたNPC3体だけ移行できるがそれ以外はダメだと宣言されていたからだ。
5年の歳月を経て作り上げた国は非常に思い出深いものである。それを捨てなければならない事をプレイヤーは悲しんだ。
しかし、Ⅱに対する期待も大きく、予約販売はたったの2時間で完売した。
その【シバリエⅡ】を買ったプレイヤーの中には全サーバー対抗ランキング1位を誇る廃プレイヤー【エイジ】が存在した。
【シバリエ】発売当初バーチャルニートとして親の脛をかじりながらバーチャル世界に存在した彼は、その自由な時間を有効に使い、さらに強運で最強の名をほしいままにしていた。チーター以外に敗北はなく、チーターもすぐに排除されるのでトップを歩み続けた男である。
そんな彼がⅡのプレイをしないはずもなく、運営経由でテスターとしてプレイさせてもらい、その報酬としてお金ではなく予約枠を貰った。
そして、彼は【シバリエ】で育て上げた3人のキャラクターと共にⅡを起動するのだった。