劇場型幼女誘拐事件
この作品は本当に馬鹿らしいけど、書いている側はノリノリで書いてしまった。
アイディアが浮かんだのは通勤電車の中、疲れのあまりそのまま軽く寝た時の夢を元に作りました。
アホみたいな話だ。幼い子供の体に欲情してしまう自分という最低な存在に嫌気が差す。くだらないと思っていながらも、Twitterで存在などしない理想の妹系ロリにしてもらいたい事とかを吐き捨てる毎日。
そんなある日だった。ある一つのメッセージでクソッタレな人生が逆転するきっかけだった。
そのメッセージにはこう書かれていた。
" 幼女好きが集まるオフ会メンバーの募集 "
馬鹿らしいとは思ったさ。だけどついその誘いに乗ってしまったんだ。
そしてオフ会の当日、会場は汚いカラオケ店の中に四人のロリコンが集結した。いや、してしまったというべきか。その時の雰囲気はあまりにも独特で、今でも鮮明に覚えている。
「やぁ、僕の名前は鵞玉って言うんだ。よろしくね!好きなロリのタイプは純粋無垢で色々と仕込めそうな子かな?」
そう名乗ったのはこの場に何故居るのか一番分からない奴、容姿がかなり整っており、大学生あたりの年齢の爽やかな青年の鵞玉
だが、Twitterのアカウント名は ☆紳士ロリコン侍☆ という、いかにもキモオタみたいなネームを使っている。現実世界とのギャップが激しすぎて困惑した。
「お、お、俺は。魅流です。好きなロリのタイプは尽くしてくれる母性のある系です」
鵞玉に続いて、挙動不審に名乗り終えたのが魅流。体格がゴツい俺と同じくらいの枯れ果てた年齢の男だ。だが、人見知りが激しいのかずっと地面ばかり見ており、人の顔を全く見ようとしない。
Twitterのアカウント名は マ赤ん坊マ♡ という、中々の狂気に満ちた物だ。俺も人の事は言えないが、ロリに母性を求めてしまうのはかなり重症だと言えるだろう。
「名前は勾沼。ロリの尻が好き」
この中で一番簡潔に終えたのは勾沼メガネをかけたスキンヘッドの男だ。この中で一番異様な見た目をしているが、話し方は何処か理知的に感じた。内容は尻だけだが。
Twitterのアカウント名は あ である。何よりもシンプルで味気ない物ではあるのだが、俺とタメを張り合う位の最低なド下ネタをネットの海に晒している。
「俺は刺股です。ロリなら大体なんでも許せます。デブであろうが、ガリであろうが、ブスであろうが、可愛かろうが、なんであれ幼い体を持つロリであれば何でも好みます。」
そう完璧な自己紹介を終えた俺。その後、このロリコン一行は鵞玉を中心にカラオケでひたすら歌って、酒を飲み、お互いの懐を明かし合っていった。
「やはり、尻は至高。」
そう言った勾沼に鵞玉は続けて言った。
「悪く無いチョイスだけど、俺は二の腕のが好みかな。刺股は?何か好みはあるかい?」
「俺は幼女であれば何でもいいからな。あ〜、うんこだけは無理だ。あれは体外に出ているからロリでは無い。判定外だ。」
俺がそう言い切ると、魅流が勢い良く割り込んできた。
「い、いや。ロリが生み出した物だ、だから。それはすなわち、ちロリの産んだ、新たなる生命な、なのでは。」
中々哲学的な発言に思える。確かに幼女が産んだ(クソした)と考えると少しだけ茶色の物体が可愛く見えて…来ない。流石に理解できない。
くだらなくも同じ趣向を持つ一行は、何だかんだでくっちゃべっていた。その時に鵞玉は俺ら全員に向けてこう言った。
「なぁ、俺ら皆社会のレールから外れた、最低最悪な生き物だろ?だから死ぬ前に一回くらい、リアルのロリを触りたくないか?」
鵞玉は優れた容姿であるが故、いじめの対象となり中学を中退し、そのまま引きこもっていた。結局高卒の資格も取れず、親の脛を齧ってロリを愛でる毎日を送っていたらしい。
魅流は幼少期の育児放棄が原因で、普通に喋る事が苦手になった。その上軽度の知的障害を抱えており、友人と呼べる人物は誰もおらず、倉庫で荷物を運ぶ仕事ばかりをしていたらしい。
勾沼はいつ死ぬか分からない難病を背負っており、髪は薬品の影響で全て抜け落ちた為今の様なスキンヘッドになっている。そして、友人は魅流と同じく誰一人としていないらしい。
俺こと、刺股は大学受験に失敗後、親の金を使いパチンコに明け暮れて、次第に多額の借金を抱え込でいった。頼れる友人は二人と同じく、誰一人としていない。
「触りてぇなぁ」
俺は鵞玉の発言に己の欲望のまま言葉を返した。
「わ、わかりま、ます」
魅流がそう言ってから続く様に勾沼も言った。
「なら、やるか」
「どうやるんだよ」
「そりゃ誘拐する」
「誘拐とかただの犯罪じゃねぇか。なぁ鵞玉」
「いいアイディアだ。どこで誘拐する?」
「おい、軽いノリで進める事じゃねえだろ」
「いい、いんだよ。触れるならなんでも」
「狂ってやがる」
「でも君だってそんな狂ってる連中の中の一人だろ?このまま野垂れ死ぬくらいなら、最後に一発ブチかましてやろうぜ」
「ったく。やってやるよ、やりゃあロリの体を触れるんならやるよ。やってやるぜ!」
半端ヤケクソになりながら、こうして誘拐犯グループが結成されたのだった。
その作戦は余りにもくだらない。よくテレビを見ていて映画好きだった鵞玉指導の元、大体30分で組み上げられたのだ。
それこそ劇場型幼女誘拐事件である。
ー
「お嬢ちゃん。道を教えてもらえるかい?」
俺は公園の前で黒い車に乗った状態で、容姿がそこそこの幼女そう声をかけた。するとその子はこちらを不審者を見る様な目で見つめてから、さっさとどこかに行ってしまった。
親の教育が行き届いているのだろうが、なんだか冷たい世の中になった物だ。ただ、道を聞いただけだってのにあんな反応されて、そのまま拒絶される。この社会はクソッタレだ。
「な、なんとい、いう事だ。作戦の一番か、肝心な誘拐がで、出来ないじゃないか。何たる防犯意識の高さ…恐るべ、べし。」
魅流が隣でそんな事を言っているが、リアクションに困り勾沼に問いかける。
「だなぁ。どうすりゃいいと思うよ?勾沼」
「任せろ」
そう言ってから勾沼は、大体3分くらいで一人の一般幼女を誘拐した。口にはガムテープが貼られており、腕にはキツくロープが縛られている。
何という犯罪臭。まぁ犯罪をしでかしている訳なのだが。
「んー!ん!!ー!」
悲鳴をあげようにもそれは誰にも届かない。黒い車の中に居る俺らだけのソロライブ。今この車には前のニ席に俺と魅流、後ろに勾沼と幼女が乗っている。
鵞玉はアジトで待機中だ。だが、それまでの間この幼女を好きな様に出来るのは俺らだけ。
俺も運転なんてしていなければ、幼女の体を今すぐにでも触っていただろう。
だが、この中で免許を持っているのが俺しかいないのだから仕方ない。本当に誘拐しといて、変な所が律儀というか何というか。
「最高だ」
そう後部座席から聞こえて、俺はバックミラー越しにその様子を眺めてみる。そこには怯えている幼女の尻を揉んでいる勾沼が居た。
「お、おれも、も。」
俺の隣に居た魅流も興奮したのか、車に乗ったまま後部座席に移動しようとした。なんて野郎だ、まだ運転中なんだぞこの車は。
「馬鹿!運転中に移動すんじゃねぇよ!」
俺がそう言ったのも時すでに遅し。後ろでは既に幼女の胸部に触れている。水のワンピースは乱れて、パンツや下着はみ出しており、大変犯罪臭半端ない物になっている。
まぁ、現在進行形で最低な犯罪をしているんですけどね。なんてセルフツッコミを心の中で決めて、なんとか平常心を保つ。
運転している俺が触ろうとすれば事故ってもおかしくは無い。なんたって、目的地はキャンプ場の跡地なのだから。
ー
キャンプ場の跡地に到着した我々ロリコン三人組と、無残な見た目になってしまった可哀想な幼女一人。
お気に入りだったであろう水色のワンピースは成人男性のきったない唾液に汚れて、目には大粒の涙を浮かべている。
凄く可哀想だが、むしろ可愛いその姿を見て、俺はようやく彼女の体を堪能する。
サラサラとした筆の様な髪質に、幼女らしい幼い柔肌。俺がそれに触れて行く度に、彼女は大変嫌そうな顔をしながら涙を流して行く。
間違いなく人としての尊厳は失っているのだが、それが更に胸の奥に秘めた興奮を引き出して行く…のだが。それを抑えて。堪えて。大変凄く我慢をして。
俺と残りの二人でこの幼女をキャンプ場の跡地にある、大きな廃墟の中まで運び込んだ。
「クソ!早く俺を解放しろ!」
そしてここで現れるのが鵞玉。奴は大きな柱に縄で縛られており、俺たちに捕まえられている設定だ。勿論その縄は簡単に解けるのだが、奴の迫真の演技によりマジでそれっぽい。
「嫌なこった」
大変棒読み極まりないその発言をしたのは勾沼である。これも鵞玉の書いたクソみたいなシナリオ通り。この後俺らは鵞玉に倒されるのである。
悪役三人に、囚われの幼女とそこそこのヒーロー役のイケメン一人。
つまりこれは幼女に映画の様なワンシーンを見せる犯罪って事で、奴はこの滑稽な茶番の事を、劇場型幼女誘拐事件と名付けたのだ。
俺は幼女をわざとらしく鵞玉の隣に縛ってから、地面に散らばるパイプ椅子を立ててそれに座った。
「彼女の拘束を解け!悪党共!」
普通に考えれば解く訳が無い。だが、これは茶番なのだ。お芝居を演じているのだから当然、幼女の縄とガムテープは解かれる。
「うわぁぁぁあああん!!!!」
大声で泣き出す幼女。まぁ仕方のない事だろう、道中散々成人男性の欲求のままに体を撫で回されたのだ。トラウマになってもおかしくはない。
そんな場面で俺ら三人は、一度この場から離れて別の部屋に移動するのである。そして拘束を自力で解いた鵞玉が幼女を連れて、その部屋に居る俺たちをボコす。
そんなアホみたいな作戦だ。ちなみにこの茶番劇で信じられないとは思うが、お触りタイムはちゃんと全員分設けられているのだ。
まず、犯人役はここに来るまでに堪能する。そしてヒーロー役は犯人を倒して、幼女から絶対的な信頼を得てから少しだけ肌に触れる。
ヒーローだけお触りタイム少ないと思う奴も居るだろう。だが、それは問題では無いのだ。大事なのは信頼を得るという事だ。
完全に自分を信じ切った幼女に触れる事が出来るという物凄い優越感を得るのだ。だから平等だと鵞玉本人が言っていた。
「お、俺。この手一生洗わな、ない」
「普通に汚い」
そんなアイドルの握手会から、帰ってきた熱狂的なオタクみたいな話をしている二人。俺はその様子を見てため息を吐いた。
その次の瞬間、幼女を引き連れたヒーローのお出ましだ。
「幼気な女の子をいじめるとは…許さないぞ悪党共!」
そう言って悪党三人組の全員にパンチやら蹴りを決めて行く。勿論俺達は当たる前にその場に倒れてしばらくじっとする。
悪党全員を倒したヒーローは幼女を軽くお姫様抱っこして持ち上げた。されている側の幼女も満更では無さそうな顔をしている。
マジで信じられないが、この馬鹿げた作戦の筋書き通りに進行してしまった。
「さぁ、早く脱出しよう」
そう言って俺のズボンのポケットから車のキーを取り出して、颯爽とこの場を去っていく鵞玉。何か映画のワンシーンみたいだな、これは。まぁ鵞玉曰く、モチーフがあるらしい。
俺は知らないがな。そして、この先奴は車で幼女を神社まで連れて行くのだ。神隠しって理由を付けて幼女をすぐに解放する、そういう事らしい。
全く馬鹿げている。今では町中に安価な防犯カメラが張り巡らされており、どこで誰かどうなったかはすぐに警察にバレる。
もうおしまいだ。終わったな、そう思いながら今更ながら後悔する。幼女を触る事には成功したというのに、何と惨めな話だろうか。怖気付いてすぐに現実逃避したくなった。
そんな自分に呆れながら外を見るとそこには見慣れた黒白の車と、うるさくて鳴り響くサイレンの音。
「警察だ!」
何人もの刑事やら、特殊部隊の様な格好をした連中がわんさか入り込んでくる。
「な、なな。なんで?この場所は俺ら、ら、以外知らない筈な、なのに」
驚きのあまり尻餅をつく魅流。そして口元を押さえて呟いた勾沼
「馬鹿な」
俺は無言のままケータイを開いて、届いた新着のメールを読んだ。
「…」
無言のままケータイをその場に落としてしまった。本当に俺って馬鹿だ。目先の幼女に釣られて人生を台無しにしちまった。
そこに書かれていたのは、鵞玉が刑事である事。俺たち三人を重度の精神的障害を持った犯人として引き渡して、そのまま昇進する事。
そして最後に…これにて幕引きと書かれていた。
最後までお読み頂きありがとうございます。