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第8話

 魔力登録は出来なかったため、硝子板による血液登録を行った。透明な硝子板に五十ミリリットルの血を吸収させて、赤血球や白血球から遺伝子配列までの血液データを登録したのだ。


 結果、今までどの国にも入国したことがないということが無事に証明され、身分証の発行が可能になった。


 血は注射器で抜かれたが、目の前で五十ミリリットルもの血が抜かれている様を見ているのはあまり気分の良いものじゃなく、思わず顔を歪めてしまう。


「これで魔力検査は終了です。では、身分証に情報を記載するので、こちらの鑑定士に替わりますね」


(鑑定士?)


 目の前に座った男が、私の疑問を表情から読み取ったのか説明し始めた。


「情報を正確に記載するため、ステータスの改ざんを見破り、本来のステータスを見て身分証に記載するのが、入国審査における鑑定士の役割です。 

 因みに、この身分証には偽造防止特殊加工の紙が使用されており、書き込む際も特殊なインクのペンが必要になります。なので、身分証は魔法で容易に情報を改ざん出来ないようになっています。

 それでは、情報に偽りがないか、ふたりで確認していきましょう。ステータスの表示と開示をして下さい」



 いよいよ異世界人であることがバレてしまうのかと不安を抱きながら、指示された通りに念じてステータスを表示する。



────────────────────────────────

 名前  柊木(ひいらぎ)隼人(はやと)

 年齢  15歳

 性別  女

 種族  人間(異世界人)

 魔力  使用不可

 スキル 使用不可

 所持金 (無限)(登録収納:麻袋)

 装備  簡易軍服(黒)、ローブ(黒)、革

     手袋(黒:指先がない手袋(デミグラブ))、麻袋、サ

     バイバルナイフ、ブーツ(黒)

 開示  OFF

────────────────────────────────



 一番下に『開示  OFF』とあるので、そこに視線を合わせれば、クリックも念じて出来るようで画面が切り替わった。



────────────────────────────────

                      ¡

 このステータスは現在改ざんされていません。異世界人保護のため、ステータス改ざんをお勧め致します。改ざんしますか?


    【YES】    【NO】

────────────────────────────────




 ヘルプマークか? と右上の『¡』をクリックする。



────────────────────────────────

                      ¡

 ・神による異世界人保護のため、改ざんしても高位鑑定士等に見破られることはありません


 ・改ざんした状態で身分証を発行しても、いつでも正しい情報に変換できるため、のちに人によって書き変える必要はありません


 ・変換の際、全国共通の登録情報に、異常申告されることはありません

────────────────────────────────



(なるほど。じゃあ、改ざんと変換を繰り返しても、ばれないってことか)


 もう一度、『¡』を押せば、ひとつ前の画面に戻る。



────────────────────────────────

                      ¡

 このステータスは現在改ざんされていません。異世界人保護のため、ステータス改ざんをお勧め致します。改ざんしますか?


    【YES】    【NO】

────────────────────────────────



 私は【YES】を押した。



────────────────────────────────

 名前  レオリオ

 年齢  15歳

 性別  男

 種族  人間

 魔力  0.00000000001

 スキル 0

 所持金 159,900G(ギール)

 装備  簡易軍服(黒)、ローブ(黒)、革

     手袋(黒:指先がない手袋(デミグラブ))、麻袋、サ

     バイバルナイフ、ブーツ(黒)

 開示  OFF(※改ざん済み。このカッコ内

        の文章は、相手には見えませ

        ん)

────────────────────────────────



 おぉ! 平民設定だからか、名字が無い! 魔力は多少ないとおかしいからなんだろうけど、あまりに少なすぎて笑えてくる。お金の単位も"ゴールド"じゃなくて"ギール"になってる!


 ここで興奮するわけにはいかないので、興奮するのは脳内だけにして、表面的に静かにしておいた。


 一番下の『開示  OFF』をクリックすると、画面が切り替わる。




────────────────────────────────

                      ¡

 このステータスは現在改ざん済みです。このまま、ステータスを開示しますか?


    【YES】   【NO】

────────────────────────────────



 また【YES】を押した。



────────────────────────────────

 名前  レオリオ

 年齢  15歳

 性別  男

 種族  人間

 魔力  0.00000000001

 スキル 0

 所持金 159,900G(ギール)

 装備  簡易軍服(黒)、ローブ(黒)、革

     手袋(黒:指先がない手袋(デミグラブ))、麻袋、サ

     バイバルナイフ、ブーツ(黒)

 開示  ON(※改ざん済み。このカッコ内の

        文章は相手には見えません)

────────────────────────────────



「《鑑定(リアル・セルフ)》」


 目の前の男が私のステータスに掌をかざして、詠唱した。


「魔力が……どおりで、魔力測定できないわけだ」と、鑑定士の隣にいる男の呟きと哀れみの視線は知らぬふりをしておく。




 その後、身分証の情報記載は滞りなく行われ、無事に身分証を手に入れた。




「お待たせ致しました! 貴方を歓迎します。ようこそ! エドーラ王国へ!」



 そして、通行料を支払い、入国した隼人であった。




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