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第16話

「ほいっ! ガキンチョ、普通の魔銃二丁とオーダーメイドの魔銃二丁。それから、魔石と火、水、土、雷、風、無属性の魔結石が六〇個ずつ……だな!」


 あれから私たちは、またカウンターへ戻ってきた。リンジーはカウンターテーブルに四丁の魔銃を置いて、魔石と魔結石を引き出しから取り出してきた。


「はい、有難うございます」とテーブルに置かれた物を確認して、代金を支払いながらリンジーに聞く。


「それと、リンジーさん、彼らに合った武器を選ぶの、手伝って頂けませんか?」


 リンジーは「おう! いいぜ!」と真っ白な歯を見せて快く引き受けてくれた。武器が必要なのは狼人と鬼人だけで、他の三人はどちらかというと魔法重視なので要らないようだ。



***



 暫く彼らの武器選びを見ていると、魔道具屋のカウンターからウルジーに呼ばれた。


「あんちゃん! 調整出来たぜ!」


「有難うございます」  


 ウルジーによって、カウンターに置かれた六つのアイテムボックスを確認し、代金を支払う。


「あと、これはオマケだぜ!」


「有難うございます、って……これは?」


 カウンター下からぽんっとテーブル上にウルジーが置いたそれは、どう見ても三つの無属性の魔結石だった。何故オマケをこれにしたのか。


「魔力少ねぇと、魔道具使いづれぇだろ?」


「……どういうことですか?」


 私はウルジーの言っている意味が分からず首を傾げる。


「ああ、そうか。あんちゃんは田舎にいたから、知らないんだったな!」


 ウルジーは、「あちゃー忘れてた」といった様子で、額に手のひらをぱちんと一度当て、続けて話す。


「特に日常生活用の魔道具、例えば部屋の灯りとかだな。そういう魔道具には大抵魔石が埋め込まれている。それを使用するためには、魔力をそこに注ぐ必要がある。だが、魔力の少ない人は魔道具に注ぐ量が少ないから魔道具が発動しないんだ。だから、魔結石を使って魔道具を使うんだよ」


(ってことは、シャワーにも使えるってことか)


 不安が一つ消え、ほっと安堵する。


「だが、この場合、魔結石は無属性と決まっている」


「何故ですか?」


「火、水、土、雷、風には利点となる属性があり、また弱点となり得る属性もある。だが、無属性にはそれがない。つまり、他のどの属性に対しても、五〇パーセントのダメージしか与えられないということだ。

 魔結石はイメージするだけで、魔法が使えるから加減がとても難しい。

 例えば、火属性の魔結石でシャワーを浴びるための魔道具に力を注げば、その魔道具が熱によって溶けてしまうことだってある。だが、無属性なら多少加減を間違えても、そんなことはあまり起こらないんだ」



 

        〜おさらい〜


【魔力と属性の話】

 この世界の人間の体内には、魔力が存在します。魔法を使用する際、体内の魔力を変換させて、属性を決定し体外へ魔法を放出します。


 魔結石は、体内の魔力を変換させて、属性を決定した時の人間の状態と似ている。


 魔石は、人間の身体でいうところの、属性を決定する前の体内の魔力と似ている。


【魔石と魔結石】

 魔石とは、少量の魔力を魔石に流すことで倍の力を発揮して魔法を放出するもの。魔力が必要であり、魔石に魔力を注がないと使えない。


 魔結石とは、特定の魔力を秘めている石のこと。これに必要なのはイメージのみで魔力を必要としない。

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