第14話
「おぉ、そうか! 確かに無ぇと不便だもんな! 収納コスト五,〇〇〇まで調整出来るが、どうする? コストが多いほどその分高くつくがな!」
「では、コスト五,〇〇〇を六つください」
「わかった! 調整するからちょっと待ってくれ! そうだ、その間に魔銃の試し撃ちしてこいよ! おい! リンジー! リンジー!」
ウルジーが、魔道具屋のカウンターから武器屋の奥にいるであろう店主のリンジーを何度も呼ぶ。
「なんだ、ウルジー? おっ! 昨日のガキンチョじゃねぇか!」
奥の部屋から後頭部をガシガシ掻きながら出て来たリンジーと目が合う。リンジーは人間で、頭はスキンヘッドの筋肉質なガタイのいい大男だ。
「今からあんちゃんのアイテムボックス調整すっから、その間、奥で試し撃ち見てやってくんね?」
「了解! おい、ガキンチョとそれから……背後の連れ? も、こっちに来いよ!」
私はリンジーに「はい」と返事をすると、背後にいる彼らに「行くぞ」と声をかけて、リンジーが上げてくれたカウンター扉を通過し、奥の部屋へ入った。
連れてこられた場所は、小さな闘技場のようなところで、家の中に土があることに驚いた。この部屋には丸い的が複数あり、試し撃ちするのに適した場所のようだ。
「ほいっ、取り敢えず魔銃一丁っと!」
注文した魔銃は全部で四丁だ。その内の二丁は元々この店で作られていたものを私の手に合わせて調整したもの。また、もう二丁は私の希望で銃口等を少し改良して作ってもらったものだ。
因みに魔銃は、元々魔力保有量が少ない人や非常用で戦闘時に魔力量が少なくなってしまった時に使われるものだ。形状は、恐らく地球にある銃と一緒だと思う。刑事ドラマでしか見たことがないので、正確にはわからないが。
いま、リンジーから手渡された魔銃は元々この店で作られていたものを私の手に合わせて調整した物だ。
「……重い」
軽々とリンジーから受け取った魔銃は、ずっしりとしている。警察官は普段、こんなにも重い物を持っているのかと疑問に思う。
「そりゃそうだろ、魔弾も魔結石も入ってんだからな!」
魔結石とは火、水、土、雷、風そして無属性といった特定の魔力を秘めている石のことだ。これに必要なのはイメージのみで魔力を必要としない。因みに、無属性とは他の属性にあてはまらないものであり、火が水に弱いように弱点となる属性がなく、そして、水が火に強いように利点となる属性がないものを示す。
魔石との違いは、魔石の場合は、少量の魔力を魔石に流すことで倍の力を発揮して魔法を放出するため、魔力が必要になってくるのだ。
魔結石と魔石に共通しているのは、使い捨てで、有限であるということ。使い終われば消える。そして、高価なもので使う人自体が少ない。また、魔法を普通に使える人からすればこれらは使いにくいらしく、すすんで使おうとする人はまずいない。ただ、魔石は魔道具には、よく使われているが。
魔銃の引き金を引く手で握る銃把の側面には、ダイアモンドのような輝きを放つ無属性の魔結石がはめ込まれており、魔弾を収納する弾倉には、魔結石から伝わる力を込めるために空洞になったカプセル状の物が入っている。このカプセルは刑事ドラマに出てくる銃弾と同じ形状だ。
魔弾は、この空洞のカプセル状の物に、魔結石の力が込められて初めて魔弾として完成するのだ。
「ガキンチョは魔銃使うの初めてだもんな? じゃあ俺の言う通りに一回やってみろ」
私は、「はい」と返事をして指示を待つ。危ないので、リンジー以外は壁側に立って見ている。
「まず、両足は肩幅に開いて支持基底面を確保し、重心を安定させろ。左足のつま先は正面に、右足は少し後ろに引いてつま先は斜め正面に。膝は完全に伸ばさず少し屈むように曲げろ。軽く前傾姿勢をとって体重の重心は前へ、そして、魔銃を構えるんだ。肘は伸ばさず若干曲げて、握り方は───こうだ」と、私の手を持ち、銃を握らせてくれる。
「右手で銃把を握り、右の親指を上げて左手が入る間を確保しろ、そして左手の掌低を銃把に添わせ、右手と同じように左手も出来る限りフレームの上の方の銃把を握れ。左手の人差し指は用心金下に押し付けるんだ──さぁ、魔結石にイメージを伝えて撃ってみろ!」
リンジーが離れたのを確認し、引き金を引く手に力を込め、狙った場所に命中するよう照星から的の中心を見る。イメージするのは、真っ直ぐ一直線に飛ぶことだけ、すると銃把にはめ込まれた魔結石が熱を持ち始め、白く輝き出した。
「今だ! 撃て!」
リンジーのその声と共に、私は引き金を引いた。
バン─────────‼︎
瞬間、銃声が響き渡った。




