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第9話

「お客様、医学に長けた者は国に重宝され、もし奴隷堕ちした者がいればすぐに買い手がついてしまいます。ですが、未だに買い手のつかない者がひとりだけおります」


 これから私の主治医になる人だ。適当な返事をするわけにはいかない。


 一段と低い声と睨みを利かせて圧力をかける。


「ほぅ、()()()()()いない、だと?」


「ほほほ本当です! 嘘はついておりません! そもそも奴隷商館に医師がいること自体珍しいのです!」


「ふん、そうか」


 この焦りようを見るに本当なんだろう。


(それなら、しょうがない。居るだけラッキーてことだもんな)


「それでですね、その奴隷、腕はいいようなのですが、少々問題があるといいますか……」


「こちらを見て下さい」と資料を指し示される。



────────────────────

────────────

奴隷番号   97番

種族     狐人

年齢     43歳

性別     男

奴隷種別   犯罪奴隷

奴隷要因   テロリストと共謀

使用用途   医師、調合師

魔力     6,400

スキル    超直感、超嗅覚、超聴覚、超味

       覚、超回避、超速度、危機察

       知、生活魔法、水魔法、毒耐

       性、物理攻撃耐性、麻痺耐性、

       動体視力、解体、イノセント、外見

       変化、能舞

問題行動履歴 従業員に毒を仕込む。

奴隷歴    22年

購入履歴

────────────────────────────────



「テロリスト……従業員に毒、か」


「はい……」


(うわぁ……)


 ひくっと顔が引き攣り、私は視線を明後日の方へ向けた。


 今まで見てきた資料が思っていたよりも悪くなかったから、すっかり油断してたよ……。最後の最後で強烈な奴がくるとは。上手くいかないものだな。


(それよりも気になるのは)


「ここの管理はしっかりしているように見えるが、何故毒を仕込まれた?」


「この奴隷のスキル、イノセントによるもので、このスキルは魅了と同じような効果を発揮するのです。奴隷堕ちする寸前に周囲の者にどうやらイノセントを発動していたようで、毎日少しずつバレぬように毒を運ばせていたのです」


(頭いいな。テロリストと共謀するくらいだし、それもそうか)


 ふぅ、と溜め息を吐く。


(龍人方式でいくか……)

※龍人方式:希望を聞き、少しでも不満を減らして信頼関係を築き、殺害されるリスクを下げる方法のこと


「まぁいい、取り敢えず見せてくれ」


「はい、こちらです」


 蝶ネクタイの男が階段を登る気配はない。どうやら、この奴隷も地下で管理されているようだ。


 そして、龍人の時のように頑丈なハンドル付きのドア前に連れてこられた。


「地下に管理されている理由は、先程の龍人の場合は魔力でしたが、この先の狐人は話術で人を惑わしますので、ご注意下さい」


「あぁ」と返事をすると同時に分厚いドアが開かれ中へ入る。


「こちらが医学に長けた狐人でございます」


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