咆哮
「んー、こうかな?」
親父に言われた通りに中身を傷つけないように剝がしていく。最初はナイフを使ってどうやって剥がそうかと考えていたが、身体の構造を見ていくとどうやらナイフは使わなくていいようだ。
「だけどこの甲羅は食えそうにないよなぁ。親父は『女』とか言ってたけどこの生物はよくわからないなぁ。食えるところはほとんどないくせに『牙のやつ』より強いしな」
ぶつぶつと『サル』もとい『女』をさばいていく。すると全ての甲羅は剥がれた。全部合わせて4つ甲羅が剥け、より小さい『身』の部分が出てきた。
親父は俺達と同じと言ったがやっぱり同じには見えない。胸のあたりは無駄に発達しているが腹回りの肉は細いし、足は細く山道を走るには物足りない。
俺と親父と同じには見えないんだよな。
まぁそういう俺も親父には程遠いぐらい細いんだけどな。親父なんかぱっと見『でかいやつ』と見間違えるぐらいでかい。前に間違えて攻撃して滝に三日間吊るされたこともあったな。
「それにしてもこの胸のあたりはどうなってんだ?鍛えてる俺でもこんなに大きくならないのどうやったらこんなに大きくなれるんだ?」
異常に発達している胸に触れてみると。俺や親父時と違ってとても柔らかく、『ドロドロ』を捕まえた時と同じような感触がした。
「柔らかいな。こんなに柔らかい身だったら食ったらうまいんじゃないのか?」
親父は食えないんて言ったがこの部分だけはうまいんじゃないのか?
俺は解体用の石で作ったナイフを取り出しさばけないかと肉を引っ張りながら眺める。
すると「んっ…」という声と共に『女』は目を開けた。
「……」
「……?」
しばらく目があいこちらを観察するように見ると胸を掴んでいる手を見て、俺をもう一回見たと思うと
「きゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「うがぁあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
初めて聞く音量の咆哮と強烈な右のパンチが飛んできた。