第二話 デジャブである。
俺は驚いている。すごく驚いている。
りんのいた街とやらに来ているのだが…
「集落じゃねぇか」
「ほんとねぇ」
「ご、ごめんなさい」
りんが落ち込んだぁ!?
「いやいやいやいやいやいや。めっちゃいいとこじゃん。ありがとな。案内してくれる?」
「わかった!」
かわいい。りんにはやはり笑顔が一番である。
ホッとしながらニヨニヨするという荒業をこなしていると
「あ、そんちょー!」
りんがそんちょーを発見した。
「カンチョーーーーー!」
「「「???」」」
どうやら渾身のボケは伝わらなかったらしい。この言葉が存在しないのか?
「気にしないで……」
「おー?ひさしぶりじゃの。客人かね?」
りん結構行方知らずだったはずだろ?反応薄くね?ま、いっか
「そうよ〜」
「そうかそうか。歓迎するぞい。ゆっくりしていってくれ」
こ、こいつ…初見の癖にチン子に自然に対応している!?
てか、宿とかないよな?店っぽいのとか一つもないし。聞いてみるか。
「宿とかあるのか?」
「居候という感じになるかの?」
「じゃありんの家でいいよね!」
ということでやってきましたりんの家。でっか。他と全くサイズが違うんだが?
「屋敷じゃねぇか」
「ほんとねぇ」
デジャブである。
「いこ!案内するよ!」
かわいい。
屋敷に入ってすぐ、
「おかーさん!」
お母さん…だと…
いや小学生にしか見えないんだが。
ひっくい物干し竿に小さい服を干しているんだが?かわいい。
「すず?久しぶりね」
「今はりんだよ?」
「へ?」
「主様を見つけたの!」
お母さん、呆然としていらっしゃる。チン子、なんか納得したようである。
「え?どゆこと?」
「りんの種族はなんなのかしらぁ?」
「スルーかよ!」
「フェンリル!」
「え゛」
なんかやばい種族名が聞こえたっぽいんだが?俺のラノベ知識によると、伝説の〜とか幻の〜とかいう感じのなんだが?ついていけん…
「あんた!すずのこと脅してるのね!」
あ、お母さん復活した。
「主はね?私じゃなくてあのオトコノコよ?」
あ、ほっぺぴくぴくしてる。ぷにぷにしたい。
「あんた。私の子になにしたのよぉ」
目尻に涙をためている。身長差で上目遣いになっている。かわいい。
「なにをしたぁ!ぐすっ…人間!ううっ…」
鼻から血を噴射し、俺は気絶した。