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はじめてのもんすたあとうばつ

ごつんっ!!


「痛ったあぁー…」


ガイに思いっきり拳骨を頂きました。


 現在、僕とガイはチロナの町へと続く街道から大きく外れた森の中で立ち往生している。もちろん、僕がテンションに身を任せて目につくものに飛びついて森の奥へと進んでいったせいである。


「森の中はモンスターがうろついてて危ねえっつっただろうが!」


「ごめんなさい…」


 僕のテンションは明らかに下がっていた。僕の短絡的な行動でガイまで一緒に危険に晒してしまった自責の念で胸が痛む。


「ったく、とりあえず現状の把握からするぞ」


ガイは呆れながらも現状の把握、軌道修正をしようとしてくれている。


「お前が道をそれてから結構走ったから、街道からはかなり離れたと考えた方がいい」


「ごめんなさい…」


「そして、方向が分かるような目印も無いと」


「ごめんなさい…」


「はぁ、もういいから。現状の打開策を探すのが先だ」


 森の中で迷子になった場合、何の目印も無く歩くのは非常に危険である。余計に森の奥に入って行ってしまったり、モンスターと遭遇したりするからだ。

 まずは、現在の位置を把握して、周辺の探索・水の確保等が優先されるだろう。


「じゃあ、とりあえずはここを拠点にして周辺になにがあるか探索するか」


「うん、そうだね。ガイ、本当にごめんね」


「はぁ、もういいっつってんだろ!やっちまったことはしょうがねえ。その後どうするかだ!」


 本当にいい親友に恵まれたと思う。と、同時に自分の短絡的なところは治さないとなと改めて実感した。


そうして周囲を探索しようと動き出したその時、遠くから女性の悲鳴が聞こえて来た。


「きゃあああああああああ!!!!」


「ねえ、ガイ!」


「おう、行くぞ!」


二人して目を見合わせると、最小限の意思疎通だけして声のする方へと急いで走っていった。


----------


しばらく走っていくと、人の影と大きな猪が見えた。

 人の影は先ほどの声の主の女の子だ、金色で腰にかかるであろう長さの髪を振り乱しながら必死に逃げている。

 猪の方は、大の大人3人分の大きさはあるだろう。そして、特徴的なのはその口から生える立派なキバだ。

 あれはタスクボアというモンスターだ。その重量から繰り出される突進力と大きなキバの貫通力で小さな岩石程度なら貫いてしまう攻撃力を持っている。モンスターのランクはEランク相当、下から二番目のランクである。

 攻撃力の割りにランクが低いのは、小回りが利かず一度走り出すと直線状にしか走れないためだ。しっかり準備して戦えばそれなりに怖いモンスターでは無い。

 もちろん、全て英雄譚の受け売りである。だが、その英雄譚で対処法を構築済みだ。僕は頭の中で何度もタスクボアを倒している。


僕は思いついた作戦をガイに説明した後、タスクボアに向かって狩人スキルを使って矢を射る。


「ペネトレイト!」


 矢は猪に向かって一直線に飛んでいき、猪の胴体に矢が少しだけ突き刺さる。

 ペネトレイトは狩人スキルの一種で、本来であれば使う人が使えばモンスターを貫通するぐらいの火力が出るはずだが、ものまねしの僕が使えばこの程度だろう。

 それでも、矢が刺さった痛みで少しの間怯んだあと、狙いをこちらに定めた。


「よし、命中!猪、こっちにこい!」


 伝わらないだろうが、一応挑発しておく。

 タスクボアは僕達をキッと睨み2~3度地面を足で掻くと、こちらに突進してくる。

 僕達は一直線にタスクボアと逆方向に走り、女の子と距離を離す


「って、めちゃくちゃ速い!!」


思ったよりタスクボアが速すぎて、いずれ追いつかれそうな勢いだ。


「やばいやばいやばいやばい!!やばいよガイ!!僕死んじゃう!僕死んじゃうよ!!」


「うるせぇよ!とりあえず黙って走れ!!ほら、見えてきたぞ!」


僕達の作戦とは、女の子を探してる途中に見つけた岩石に突進させて、動きを止めようというものだ。

その岩石が遠目に見えてきた。それに少し安心してしまったのか僕はつまづいて体勢を崩した。


「しまっ…」


まだタスクボアと距離はあるが、今転けたら確実に助からない、グッと堪えようと思ったがモヤシっ子の僕に堪えるだけの筋力は無かったようで、勢いのまま倒れ込む。


「くっ、ライル!!」


その瞬間、ガイが僕の手を取り引っ張り上げたかと思うと僕を肩に担いだ。とんでもない筋力だ。


「うおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!!!」


ガイは僕を担いだまま、また岩石に向かって猛ダッシュした。

僕を広い上げる為に少し立ち止まったせいでタスクボアとの距離がかなり縮まってしまった。もう、あと5mも無いだろう。


岩石との距離が縮まってくるが、それと同時にタスクボアとの距離も縮まってくる。岩石まであと10m、9m、8m。タスクボアとの距離もグングン縮まってくる。7m、6m、5m…もうタスクボアとの距離もほとんどない。あと少し、あと少しで…………今だ!!


「ガイ!横に飛び込んで!!!!」


僕の声と同時にガイは僕を抱えたまま真横に飛び込んだ。

すると突進の勢いを殺しきれなかったタスクボアのキバが岩石へと突き刺さる。キバが深く突き刺さってしまったタスクボアは、キバを抜こうと必死にもがくが、中々抜けない。


あと少しタイミングがズレてたら、岩石の代わりにこうなっていたのは僕達だろう。


後はガイの出番だ。必死にもがいてるタスクボアに近づいたガイは、手斧を振り上げスキルを発動する。


「砕破!!」


振り上げた手斧を振り下ろすと、タスクボアの胴体を深く切り裂いた。タスクボアはしばらくじたばたした後ゆっくりと体を倒し絶命した。


こうして、思わぬ形で初めて僕らはモンスターを討伐したのだった。

猪突猛進なライルと猪突猛進な猪とのバトルでした。

まあ、バトルって程バトルしてませんが…最初だし…ね?


面白かった、面白くなりそう!面白くしてやんよ!という方はぜひとも☆☆☆☆☆☆を★★★★★にしてください!

してくださったら明日っから本気出しますん!!!

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