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世界で一番怒らせてはいけない人はお母さん。

 というわけで、僕は今自宅にいます。


 いや、やっぱり英雄になるのやめた。とかじゃないよ?ガイが、旅に出る準備があるから一旦解散だって言ったから仕方なく家に帰ったんだ。


 家に帰ったら、父さんと母さんに「えっ?」て顔をされた。

そりゃそうだよね。あれだけ急に、旅に出るって告げて家を飛び出してすぐ帰宅したんだから。


 それから、家族会議が始まった。


 本好きモヤシだと称される僕に似つかわしくないガタイの良い父親と美人だがどこかけんのある母親が居間に集まっている。


「それで、急に旅に出るなんて言い出してどういうつもりだ?」


「ライル、あなた急に旅に出るって家を飛び出して、殺されたいのかしら?」


 父さんはいたって普通の雰囲気なのに母さんが怖すぎでおしっこ漏れそうだ。

なんならちょっとちびった。


 父さんも恐怖で少し震えている。

 

「ごほん、それでライル。急に旅に出るってどうしたんだ?そもそもお前、昨日はジョブ診断に行ったっきり帰ってこないと思ったら、帰って来た時にはフラフラしてベッドに倒れるように寝たがなんのジョブだったんだ?」


 そういえば、昨日はものまねしになったショックと、英雄とは?という疑問で頭がいっぱいいっぱいになっていたせいもあって二人と話せてなかったな。


「そういえば報告がまだだったね。えーっと…」


 なんだろう、改めてものまねしになりました!というのは物凄く抵抗がある。

別にものまねしになった事自体にはもう、何も感じていないがこの二人がするであろう反応が容易く想像できるのであんまり言いたくないのが本音だ。


 が、言わない訳にはいかないだろう。


「も、ものまねしになりました」


「「だーーーーっひゃっひゃっひゃっwwwwwwwwものまねしってwww」」


 はぁ。ほらね、想像通りだ。

 今、父さんと母さんは僕の目の前で腹を抱えて笑っている。

あれだけキレていたはずの母さんなんて腹を抱え、床を叩きながら笑っている。


 僕に不幸があるとこの二人は大抵大笑いする。

 気を使ってくれているんだと思う。不幸なんて笑っていればなんとでもなる!的な意味が含まれているんだと思う。

 ただ、やっぱり癪だ。笑いすぎにもほどがある。もっと、「気にするな」とか「大丈夫か?」みたいな心配の声があってもいいのではないだろうか。

 

 全くもって薄情な両親である。


 ただまぁ……僕はこんな両親がどうしようもなく大好きなんだよなあ。


「はぁー、笑った笑った。で、旅に出るっていうのはなんなんだ?」


 父さんが切り替えて再度問いかけてくる。


「う、うん…父さん、母さん

僕、英雄になる為に旅に出ていろんなものを見てみたいんだ!」


 英雄になる為に。なんて理由で旅にでるって言うと物凄く怒られるだろう。仮にも大事な息子のはずだ。

 ものまねしになったことに対してはあれだけ笑ってはいたが「まぁ、いいんじゃない?」みたいな適当なことはさすがに言わないと思う。

 でも、ごまかしても話が進まないので仕方なく素直に答える。


 すると、両親どうしで見つめ合ってすぐ


「「まぁ、いいんじゃないか?」」


 と言った。


 あるぇー?


「えっと、ごめん。今の状況と雰囲気的にもっと反対されてお説教されるかと思ったんだけど」


「はぁ、だってお前小さいころからずっと英雄になる英雄になるって言っていたじゃないか

いつかこんな日が来るとは覚悟していたからな」


 とは言ったものの、さすがに薄情過ぎないかな?

 止められたところで辞めはしないけど、止める言葉がないのは物凄く寂しい。


 あまり大事にされてなかったのかな?なんてよからぬ思考をしてしまう。


 すると母さんが先ほどとは打って変わり真剣な顔をして口を開く。


「ねえ、ライル。旅立つことは止めないけど、一つだけ約束して?」


 そう言って一呼吸おいた後に再度口を開く。


「必ず、生きて帰ってきて」


 と。そう言った母さんの目には涙が浮かんでいた。

 母さん……先ほどの僕を殴ってやりたい。

 大事にされてない?やっぱりそんなことは無かった。僕はこんなにも愛されているんだ。


 僕の目にも涙が浮かぶ。それをグッとぬぐって力強く返事をする。


「母さん…うんっ!絶対に、無事に帰ってくる!」


「ったく、お前はいつも突然なんだよな。心配する親の身にもなれってんだよ」


 と、父さんは呆れた声で言ってくる。


「父さんも心配してるの?」


「当たり前だろうが!子どもの身を心配しない親がどこにいるんだ!」


 と言いながら、僕の頭をわしゃわしゃしてくる。


「だが、お前は一度こうと決めたことを途中で投げ出すやつじゃないし、止めるだけ無駄だってことも知ってるからな。だから、黙って送り出すしかないだろうが」


 父さんも母さんも僕のことを理解した上で止めないでいてくれたようだ。

やっぱり、僕は両親のことが大好きなようだ。


「明日には旅立つんでしょ?じゃあ今日はご馳走にしないといけないわね」


「おお、それは楽しみだ!さて、飯までまだ時間があるな。ライル、お前ものまねしってことは一度見たスキルはそれなりに使えるようになるんだよな?」


「え?うん、そうみたいだね。まだやった事ないけど」


そういえば昨日ものまねしになってから、ジョブの性能については何も試してなかった。


「なら、父さんの狩人スキルを見せるから頑張って覚えろ!」


 父さんは、村一番の狩人で村の周りにいるモンスター程度なら簡単に狩れる実力を持っている。

そんな父さんのスキルを見せてもらえるならありがたい。


「ちょっとでも手札は多い方が身の安全を保つにはいいだろう?」


「父さん…ありがとう」


「いいってことよ!」


 その日は夕食が出来るまで父さんのスキルを見せてもらった後、母さんが作るご馳走に舌鼓を打った。

 とても、幸せな時間だった。




旅立てませんでした。

次回から旅に出ます。


面白くなかった。面白かった。面白くなってきそうだな。面白くしてやんよ。

という方は星マーク沢山つけてもらえると嬉しいです!

両指が喜びの舞を踊ることで小説も進みますきっと!

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