挫折から始まる物語
どうも、ライマイです。
何とか連載頑張っていけたらいいなと思いますので応援お願いします!
「はぁッ、はぁッ!これで最後だ!ウオオオォォォッ“絶空断!!”」
空気を切り裂くほどの勢いで放たれた斬撃は、ダークドラゴンの体を深く切り裂き、血を撒き散らした。
世界の脅威となっていたダークドラゴンとの死闘を制し、紙一重で勝利した俺は愛する人が待つ故郷を思い出しながら帰路に着くのであった。 〜fin〜
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「あー、今回の英雄譚も最高だったなぁ!」
僕はライル=オーディファ、英雄譚が大好きな好青年である。「好青年」の部分にマーカー引いておくといいよ。
英雄譚は最高の書物だと思う。
英雄譚には冒険が付き物だ。その中には世界が広がっている。
無限とも思える広大な草原が広がり、青々とした空にはドラゴンが飛んでいる。
各地にはダンジョンや未踏の地が点在し、まだ見ぬ景色、生物が膨大に溢れている。
そんな未知を冒険しながら解明していくドキドキを、理不尽を、未曾有の危機を英雄として立ち向かい突破していく興奮を、家にいながら味わえる。
最高じゃあないか。
自由に世界を旅するのを。英雄譚に出てくる英雄になるのを。
僕は幾度となく妄想した。
しかし、その夢は早々に打ち砕かれることになる。
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成人になる15歳の誕生日を迎えると、教会で「ジョブ診断」と呼ばれるものを受けることが出来、そのタイミングで「ジョブ」が発現する。
例えば「剣士」だったり、あるいは「魔導師」だったり、変わり種で「モンスターテイマー」だったり。
ジョブが発現し「ジョブレベル」というのを上げると、そのジョブにあった「スキル」が覚えられるようになる。戦士だったら高威力の斬撃が放てる「剛断」であったり、魔導師なら火球が撃てる「ファイアーボール」だったりがそれである。
そのジョブとスキルがあるゆえに、発現した人間はそれに見合った人生を歩む。ジョブとは生き方、と言った方が正しいのだろうか。
そのジョブ診断を僕が受けられる日が、今日である。
そう、今日が僕の15回目の誕生日で、英雄としての僕の初めての誕生日になるんだ、おめでとうと言って欲しい。
診断は、僕が住む「コジンの村」にある教会で受けさせてもらえる。
僕は朝起きて朝ごはんを食べるよりも、顔を洗うよりも先に教会へと走った。
清々しい朝だ。僕という英雄の誕生に相応しい。
少しして教会に着いた僕は、神父のじっちゃんを捕まえてジョブ診断を急かした。
ちなみに僕には唯一の親友であるガイ=グランツという同い年の男がいるが、彼は一足先に誕生日を迎え、「ベルセルク」というジョブを発現させていた。
ベルセルクとは戦士系統の最上級ジョブで物理性能においてトップクラスを誇る超有能職で、冒険者として大成することが確定されたのも同然である。
その日はコジンの村は大盛り上がり、ちょっとした宴まで開かれたほどだ。
「英雄たる僕の右腕として相応しい、褒めてつかわす」とガイに言ったら殴られた。痛かった。
とはいえ、僕の胸は高鳴った。親友のガイが最上級ジョブを発現させたのだ、近しい人間がそうなった以上、期待はしてしまう。
英雄に最上級のジョブは付き物だ。僕の好きな英雄も軒並み最上級ジョブを発現させている。必須と言っても過言ではないだろう。
だからジョブ診断を受けれる今日が、英雄への第一歩になるのだ。
さあ、どんな最上級職が手に入r「うん、ものまねしじゃな」
「へっ?」
いま、何か聴き間違えたような…
「ごめん、じっちゃんもっかい言ってくれる?」
「じゃから、ものまねしじゃて」
「ものまねしって、ものまねし?」
「ものまねしって、ものまねしじゃな」
「最下級レベルの?」
「じゃな」
わーお…
こうして、僕の思い描いた英雄譚は終わりを迎えたのだった。
初回からジョブジョブ言ってすみません…
面白かった!面白くなりそう!という方は【☆☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!
ほんとだよ?