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第5話 力の一端

ーーーカラカ火山。

そこは帝国と共和国との境にそびえ立つ活火山であり、火属性のモンスターが多く生息している。勿論その気温の高さから防暑対策は必須である。


「あっちい〜〜〜」


セシリーがそう文句を垂れるのも無理はない。現在の気温は40度強。体感温度にして50度は下らない数値を叩き出している。


「流石に暑いな」


現在地は山の3合目あたりだろうか。うだるような熱気が体を包み込む。

何しろ暑いからといって防具を脱ぐわけにもいかない。高レベルの戦闘職であるセシリーはともかく、非戦闘職のハルバードにとっては強敵と言えるモンスターがうじゃうじゃいるからだ。

防暑のために用意した《雪ん子の魂》もこの状況ではやや心許ないといったところか。


「ってかどこにいんのよ。サーペントドラゴンは〜。」

「サーペントドラゴンの住処はこの山の6合目あたりにあると言われている。現時点であと半分ってところかな。」

「マジか〜〜先はなげーなオイ」


あいも変わらず文句ばかり口にするセシリー。


とそこへ


「ブオオオオオオオオ!!!」


一匹のモンスターが2人に襲いかかって来た!


「ラーヴァゴーレム!!」


《ラーヴァゴーレム》はその体は溶岩で構成されているゴーレム。全長3メートルはゆうに越すであろう巨体を持ち、このカラカ火山の生物群の中でもトップクラスに強力なモンスターだ。

それが、灼熱のオーラを放ちながらこっちへ向かって突進して来ているのだ。


「ちぃッッ」


ハルバードは咄嗟に炎属性の攻撃に耐性を持つ《砕氷の盾》を構える。

恐らくまともに食らえば下手をするとHPの半分は持っていかれるであろう攻撃。

最早避けるなどという選択肢はとれない。




「《バーストスラッシュ》」




一瞬、何が起きたかわからなかった。


ーーー刹那の閃光。

恐らくはハルバードが《砕氷の盾》を構えたのと同じタイミング。


セシリーによる飛ぶ斬撃がゴーレムの体を真っ二つに引き裂いた。


「木偶人形風情が私の敵じゃないわね」

「・・・ははは」


あまりの出来事にハルバードから乾いた笑いが漏れる。

たしかにセシリーはこれまでの道中、襲いかかって来たモンスターを全て、蹴散らしてきた。

しかし今地に伏しているゴーレムはレベルに換算すると30は下らないであろう強さだ。

それをたった一撃で・・・。


それに先程から使用している《バーストスラッシュ》なる技は確か、剣技スキルの初期技であったハズだ。


さらにさらに、彼女は今ファルシオンが使用不可なため一時的に鍛冶屋に常備してある剣を使用している。当然、普段に比べ攻撃力は落ちているハズだ。


つまり彼女は今ほんの少しもこれっぽっちも、本気ではないということだ。


(強いとは聞いていたがこれほどとは・・・)


同じ人間であることを本気で疑うレベルである。伊達にソロハンターをやっていないというわけだ。


「・・・流石はワイバーン(ランク)のハンターってワケか。すごいなんてもんじゃないな。」

「そりゃどうも。あ、いくら私が美しくて強いからって惚れたりしないでよね」


「・・・・・」


セシリーは冗談のつもりでいったのだろうが、本当に惚れてしまうかもしれない。

心なしか鍛冶屋で見た彼女よりも輝いて見える。

それほどに圧倒的な強さが彼女にはあった。





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