もっともっと知りたいんですよ?
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俺の青春をもっと輝かせるには。
「しっかし、お前、教えるのうまいのな」
「そう? 分かりやすかったのなら何よりね」
「学校の先生より分かりやすい」
「先生はクラス全員に教えるからねー。個別に教えるのとはまた違うんじゃないかな」
「そんなもんかね? まぁ、助かったよ。勉強も面白いもんだな」
「お、そこまで前向きに!? これは教え甲斐があったというもんだわ」
「おう。お前のカミ度がアップした」
「かみど? なによそれ? なんだか知らないけどアップするとどうなるのよ?」
「カミに近づく」
「全然わかんないんだけど?」
「大丈夫だ、気にするな。俺の中だけの問題だ」
「いや、気になるって。かみって、神様のこと? だいたいあたしは人間で神様なんかじゃないし」
「まぁ、カミって言ってるけど宗教上の神なんかじゃなくて一種の概念みたいなもんだ。カミ度って名付けたのは、お前が自分で『そのうち神だと思うようになるわ』って言ってたからってのもある」
「ふーん、ややこしそうね。なんでまたそんなの、概念?、があるわけ?」
「俺の青春の輝きに関係している」
「わけわからん」
「そうだな、一つだけ言うと俺の青春の輝きはお前のカミ度に比例する」
「ほう?」
「言い方を変えればお前のカミ度がアップすれば俺の青春も輝く。まぁ、これも俺の中だけのルールみたいなもんだ」
「ふーん」
「だから俺はお前のカミ度がアップすることを絶賛行いたい」
「そ、それってどうすればアップするの?」
「それはだな、お前をもっと知ることだ」
「知ること?」
「そう。こないだ昼飯に卵焼き食わせてもらった時、お前の料理の腕前を知ってカミ度がえらく上がった」
「そ、そう」
「今週はお前に勉強を教わって、そしてお前の勉強の教え方の上手さを知ってカミ度が増し増しに上がった」
「ふ、ふーん」
「ということで俺の青春は輝きを増している。お前のおかげだ。ありがとう」
「ちょ、ちょっと、なんかわかんないわよ。たいした事してないわよ」
「いいんだ、俺の中での話だからな。だからこれからもどんどんお前を知りたい」
「な。急にそんなこと言われても」
「嫌か?」
「い、嫌ってわけじゃないわよ。いきなり面と向かって言われて戸惑ってるだけよ。もう、ドキドキするっていうか」
「すまんすまん、困らせるつもりはない」
「うん、わかったわよ。でも具体的にどうすればいいのよ?」
「あー、それは今まで通り、お前は普段通りでかまわない」
「そうなの?」
「構えられると良くないからな。自然体が一番いい」
「むー、なんだかフワフワした話ね」
「気持ちの問題だからなー。そもそも青春の輝きなんて物理的な測定方法なんぞ無いしな」
「ま、それもそうね」
「でだ。そんな感じで、お前のこと一個知りたいことがある」
「早速きたわね。何よ?」
「お前、将来の進路とかなんか考えてる?」
「んーーー、漠然とだけど、気になってるのはあるわよ」
「差し支えなければ教えてよ」
「そうねぇ。まだ誰にも言ってないんで内緒よ?」
「お、おう。内緒な」
「学校の先生になりたいかなーって。小学校の先生」
「へー、そうなんだ」
「まだ、ぼんやりとしか思ってないから別の進路もありだけど、今のところは先生が有力かなぁ」
「そっかそっか。お前、教え方上手かったし断然有りだと思うよ」
「そう言われると嬉しいわね。ちょっと真面目に考えてみようかな」
「おう、応援するぜ。全力で応援する」
「あ、ありがとうね。ねぇ、なんか今日ずいぶんやさしいじゃん」
「あ? 俺はいつもやさしい」
「なにそのドヤ顔。うざい。せっかく褒めたのに台無し。あんた本当に抜き打ち実地試験ダメダメね。そんなんじゃ輝けないよ? わかってる?」
「ははは、了解了解ー。今週一週間、勉強教えてくれてありがとうな! ホント助かったよ。来週の試験、絶対50位以内に入れるよう頑張るから!」
「う、うん。頑張るのよ。だめだったら大叫喚地獄だからね? 容赦しないからね?」
「プレッシャーやめれー。はははっ、じゃあなっ!」
「うん、じゃあね!」
学校の先生かぁ。またカミ度がアップしたなぁ。
どっちの青春も輝いてるかな。