設定資料まとめ『ベルツァール王国諸侯概説』ニルベーヌ・ガルバストロ宮中伯著
第72話でガルバストロ卿がコウに手渡した紙束の中身になります。
なんでこんなに多いかって? いやいや、現実の王国の諸侯とかもっと多いからこんなもんですよ。たぶん。
北部地域諸侯一覧
-ノールラント侯爵家(北部諸侯統括役・グスタフ三世)
・タウリカ辺境伯家(シェリダン・タウリカ辺境伯)
・オーブレン伯爵家(ミルチャ老伯)
・オーロシオ子爵家(ガルベルト騎子爵)
・オーガルッヘ男爵家(ボラン女男爵)
王都諸侯(王室領邦)
-パンノニエール朝ベルツァール王室(ジグスムント四世)
・パラディン伯爵(ロンスン・ボーン)
・パラディン伯爵(ヘレン・ロウワラ)
・パラディン伯爵(ケルケット・カルケット)
・ガルバストロ宮中伯(ニルベーヌ)
西部都市国家連合(旧西部諸侯領)
-ヴァーバリア公(盾王・ナルニ一世)ヴァーバリア公国
・ニーニャ勲功爵(ユーダル独立砲兵連隊)
-トリーツ大司教兼選帝侯(オットー四世)トリーツ大司教国(戴冠式典儀典長職)
-ラグーサ議会長(ラグーサ選定議会)ラグーサ共和国(沿岸国家・海洋貿易)
・ラグーサ海防隊最高司令官(有事選定)
-ドリス公爵家(レオニード二世)ドリス公国
-アイシア公(ルプレヒト・フギン一世)アイシア公国
南部地域諸侯一覧
=サーラット公爵(名目統治家・王太子ミハイ)
-トリトラン伯爵(南部諸侯統括役・ローベック・トリトラン)
・カリム城伯(オスカー・カリム)
・マクドニル子爵(アレクサンダル・マクドニル)
・ヴォスパー子爵(パーラット・ヴォスパー)
・ロッカール男爵(ジョナサン・ロッカール)
・バートン男爵(ヒュー・バートン)
ベルツァール王国は二百年前の『統一戦争』による『レグス・マグナの解体』時に、現在まで続く名門諸侯が産まれた。
統一の中心的役割を果たした『旅の仲間』を率いる『聖王アルフレート』との繋がりが強く、戦時に卓越した活躍を残した者たちが諸侯として列せられたのだ。
そのため、当時はただの古城塞都市に過ぎなかった王都バンフレートは王室・教会と商会の三勢力が固まり、逆に南北では軍事指揮官としての称号から貴族となった諸侯が数多く存在する。
こうした諸侯の階級は基本的に軍事的階級がそのまま等級として定着したものであり、もともとは指揮権の強さを表すものであった。
上述した諸侯たちは統治する領地を持ち、その領地をさらに騎士などに提供し、という具合の者達ではあるが、ほかにも領地を持たぬ貴族家は多く存在する。
領地無し貴族は『統一戦争時の指揮官家』『ノヴゴール平定時の指揮官家』『軍事費援助の名目で爵位を購入した家』『五年戦争勲功家』『それ以後の爵位購入家』などが存在している。
が、武勲によって名を立てた『勲功貴族』と、爵位を金で購入した『商人貴族』とでは明確な軋轢が存在している。
北部は『統一戦争』とそれに続く『ノヴゴール平定』という二度の戦時を経験し、爵位と重要性が高まったこともあり高い独立性を持つに至る。
西部は貿易による中央の課税などのトラブル、また西部の都市のほとんどが他地方と比べて圧制を受けていなかったこともあり、ベルツァールの政情不安期にそれぞれが独自に自治権を申請している。
西部のこうした申請はガルバストロ卿(つまり私だ)によって認められたが、一応、こうした都市国家も完全に自活できるわけではないため、現在もベルツァールの一地方を構成している。
東部はベルツァールの国土ではあるが、『五年戦争』の戦火によって東部諸侯のほとんどは断絶し、残った者たちは荒れ果てた領地を教会に寄進しノヴゴールへ移った。
東部は現在未開の地でもあり、エルフや半獣人たちが多く定住し、彼らに配慮し貴族はほとんどいない。そのためもっとも開拓が遅れている地方である。
南部は『統一戦争』の武勲による諸侯の集まりで、隣国リンドブルム公国からの貿易と王都との中間位置でもあり、広がる平地を使っての酪農などで安定した成長を遂げてきた地方である。
西部都市国家の一つヴァーバリア公国が『吸血鬼掃討戦争』に繰り出した際には、食料や家畜、武器といったものを輸出し公国を助けつつもその歳入を増やし、王都を除けばもっとも経済的に栄えていた。
一方でベルツァール王室家長子がサーラット公爵として南部諸侯の名目上の統治者となっても、これらの諸侯は長く南部諸侯を連携させてきたトリトラン伯爵家に従ってきており、中央との不和を慢性的に抱えていた。
南部諸侯は、貿易利益を商人を通さず独占したがり、また教会に対する土地の喜捨にも消極的で、ベルツァール王よりも隣国の君主であるリンドブルム大公に信頼を寄せていたと言われるほどだ。
とはいえ、歴代のトリトラン伯爵はそうした南部諸侯たちを取り纏め、ベルツァールからの独立などといったことを夢見ぬように『外交』を行い、この南部をもっとも豊かで恵まれた地方として育て上げたのだった。
リンドブルム公国での革命にトリトラン伯爵、マッカネル・トリトランがリンドブルム大公救出のために出陣したが、彼が『カミナー湖畔の戦い』戦死すると南部諸侯連合の足並みは崩れ去っていった。
マッカネル・トリトランは中央との軋轢をさらに決定的にした張本人だが、聡明で戦下手でもなかった。だがそうだった故、彼の戦死によって南部諸侯連合は及び腰となり進軍が鈍化。
そうしている内に革命軍の組織化が断片的になされはじめ、最高指揮官を欠いた南部連合はなし崩し的に戦いに応じ『ラミリー会戦』において惨敗する。
屈辱的な敗走を繰り広げ、革命介入に失敗したベルツァールは『外交劣位』の状態で『リンド連合』と暫定交渉をするハメとなったわけだ。
お前がこれから往く国は、決して安泰などではない。
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