超短編小説「チョコレートライオンの逃亡」No51
私はライオンを見つけてしまった。
そのライオンは大きな商業施設の地下にある食品売り場に君臨していた。
威厳のある口を開いた茶色のライオンはしかし、体は動かない。
固められているのだ。
私はその動物チョコレートのライオンを一つ買った。
私は家に帰るなり、ライオンをためつすがめつした。
すごく細部までよくできていて、爪の一つ一つまで再現されている。
もしかすると本物のライオンを圧縮して作っているのかもしれない。
私の頭の中でライオンがベルトコンベアで運ばれてチョコレートに変わっていく不気味な工場が現れて消えた。
私はそのライオンを冷蔵庫に入れて眠りについた。
明日来る友人と一緒に割って食べよう。そんな事を考えていた。
夜中、キッチンの辺りがガンガンと鳴る音で目覚めた。
私が空き巣かなにかと思い、怖くてベッドで震えていると、遠くで雄々しいライオンの雄叫びが聞こえた。
次の日、チョコレートのライオンは冷蔵庫から姿を消していた。
私は紅茶を飲みながら、少しだけ荒らされた部屋と、外に出ていったライオンの事を思い、少し大きなあくびをした。
ライオンは無事サバンナに着いただろうか?その辺に住む友達にエアメールでも出したら素敵かもしれない。
お恥ずかしながら、物語を作る仕事を目指しています。先はまだまだまだ遠いですが、少しずつ進んでいきたいとと思います。
アドバイス、お気軽なコメント待ってます。
毎日1話以上の投稿を目指していて、今日で32日目の投稿です。