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小導入
世には表と裏の区別がある。
万象一切にその要素は必ず在る。
では、我々の認識する世界――宇宙を含めた全世界もまた、表裏が存在するか。
人によりその答えはさまざま。初めの二つに異を唱える事だってある。
でも、少なくとも、今挙げた一つの問に関してはこう言える。
――残念ながら存在する、と。
これより始まる物語は、そんな「裏世界」に何も知らされずにたった一人放り込まれた、普遍的な少年を一つの軸として展開していく。
すべてを知るものとしては、かの者に幸多からん事を望むばかりである。