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目が覚めた。
昔は、よく見ていた天井が目に映った。
「愛花様!」
西原が心配そうな顔をして、私の顔を覗き込んだ。
「西原…ここは?」
「私の部屋でございます。愛花様が倒れたので、ここまで運んで休ませました。」
そっか、私倒れたんだっけ……。
「西原…今の秋津財閥は上手くいってるの?」
「え?」
私は今、財閥の状況がどうなってるか聞きたかった。
「だから、今の秋津財閥は上手くいってるの?」
西原の顔が深刻になった。
「えっと……あの、愛花様どうしてその様なことを…?」
「いいから、言いなさい!!」
私が急に命令口調になり、西原はビックリした顔でこちらを見た。
「……百合川財閥の時よりは上手くいっていません。秋津芳輝様はあまり周りの人から好まれていないと思われております。」
「そう……」
それなら、味方は多いかもしれない。
「西原、よく聞きなさい。私は取り返します。」
「……取り返す?」
「奪われた、自由と地位を取り返します。百合川財閥の名にかけて!!!!!!!」
西原は目を丸くしていた。
けど、すぐに私の前で跪いた。
「私は、いつかこの日が来るのかと思ってもいませんでした。私は、この命が尽きるまで愛花様の執事でございます。百合川愛花様、私にご命令を」
「ええ、西原…百合川財閥を取り戻すわよ!!!!」
「かしこまりました。」
こうして、私の復讐劇が始まった──。
愛花様、とりあえずあの地下室にいるのは、もうやめましょう。
西原、私もそうしたいわ。けどね、まだあそこにいた方がいいと思うの。私が急に居なくなったら、おかしいでしょ?だから、今までどおりでいくわ。
ですが…。愛花様は、あんな場所にいるのはふさわしくないかと。
いいえ、私はまだ取り返したわけではないわ。取り返したら、あんな場所すぐに出ていくわ。西原、聞きたいことがあるの。
なんですか?
この屋敷でパーティーすることってあるの?
ありますよ、ちょうど3ヶ月後は怜斗様の
20歳の誕生日です。その時に誕生日パーティーをやります。
そう、じゃあ、内緒で報道陣を入れておいて。その時に私は取り戻します。証言者が多い方がいいでしょ?
かしこまりました。愛花様。
次の日、私は地下室に戻った。西原は、毎日みんなが寝たあと私の様子を見に来てくれると約束してくれた。
あと、ここにいるのは3ヶ月。その間に私は、たくさん作戦を練る。
(あと、3ヶ月耐えれば取り返せれるんだ。)
その日は秋津怜斗が機嫌いいのか、殴られなかった。
きっと、パーティーでちやほやされたんだろう。
次の日、西原が私に持ってきてくれた、メモ帳とシャーペンを使っていた。作戦を練ったり、あるときには絵を書いて時間を潰していた。
毎日絶望しか無かった私には、とてもありがたい事だった。
絵を書いてると足音が聞こえてきたので、メモ帳とシャーペンをすぐに隠した。
──ガチャ。
「ほら、ご飯だ。」
今日の分のご飯を持ってきたらしい。
ご飯を置いたあと、秋津怜斗は、じーっと私のことを見ていた。
「………オマエ、なんか変わったな。まるで俺を前より睨んでるみたいだ」
前より、睨んでる──。
それはそうだわ真実を知ってしまったから。
「やっぱりムカつく」
秋津怜斗は私を殴り始めた。
──痛い、痛い。
──やめて。
けど、叫んじゃダメ。言っちゃダメ。
耐えろ、耐えろ。頑張って耐えろ。
あと3ヶ月、3ヶ月だ。
自分に言い聞かせる様に私は殴られ続けた。
──そして、月日が流れた。
とうとう明日は秋津怜斗の20歳の誕生日だ。