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──ガチャ。

ああ、私なにされるのかな。眩しい。光が当たって眩しい。



──カツン。



なにか落ちる音がした。

「あ…っ、あぁ……」

男の人の声だ。でもあいつじゃない…。じゃあ、誰?

「ゆ、幽霊じゃ、ありませんよね…?」

私は、幽霊じゃないよ。と心の中で言って、頷いた。

「…生きていらっしゃったのですね、愛花様……。」

久しぶりに私の名前を呼ばれた。

思い出した、この人は

「久しぶり…西原」

私の執事だった人だ。






私は西原と話すために厨房に行った。西原は私の痩せてる姿を見て、ご飯を振る舞ってくれるそうだ。

「明日の夕方までは愛花様と私しかお屋敷におりませんので、ご安心してください。」

西原の話によると、あいつが帰ってくるのは明日らしい。

「出来ましたよ、愛花様の好きだったシチューを作りましたよ」

美味しそうな匂いを漂わせていた。

「…美味しい。」

懐かしい味だ。

「それは何よりです。」

西原は私が食べるのを嬉しそうに見ていた。

「愛花様、食べ終わったあとは治療しましょう。その傷を消毒しませんと」

傷…そうだ殴られたやつか。

鏡なんか見てないから全然気付かなかった。



西原が治療をしてくれた。

「…そうだ、西原。お母さんとお父さんは?」

私がそう質問すると西原は、えっ?という顔をした。

「愛花様、まさか昔の記憶がないのですか?」

昔の記憶?

「愛花様…、愛花様は真実を知りたいですか?」

真実?

──ズキン。

頭がまた痛くなってくる。そしてもう一人の私が聞かなくていいと言ってるように思えた。

「愛花様…?」

「お、教えて…」

「わかりました。少し長くなりますし、愛花様が傷つくようなことがあるかもしれませんが目を背かずに聞いてくださいね。」




愛花様、あなたはこの屋敷の人だったんです。17年前、あなたはこの屋敷の当主であり百合川財閥の社長であった百合川創志様と、その妻の百合川真美様の間に生まれました。

あなたはいわゆるお嬢様だったのです。

ですが、愛花様が7歳の時に創志様と真美様が乗った車が事故にあい、そのまま還らぬ人となってしまいました。

車の事故はひどく全て炎上するほとでした。

愛花様も、実はその車に乗っていたのです。

ですが、愛花様の遺体は見つからず、燃えてしまったと思われ百合川財閥に社長が居なくなり、大変困りました。

そして、百合川財閥の跡取りは創志様の秘書であった秋津芳輝様が受け継ぐことになりました。

百合川財閥から秋津財閥に変わったのです。

私は今、秋津財閥の跡取りの秋津怜斗様の執事をやらせていただいていますが、今日は怜斗様にもSPがつくので私はお屋敷待機になりました。



私はしばらく黙っていた。

お母さんとお父さんは生きていると思っていた。けど亡くなっていたんだ。

「愛花様…」

「西原、その怜斗って人は髪型が黒で大人しそうな顔をしている?」

「はい、そうですが…」

西原は、なんで知ってるんですか?という顔をしていた。

「この傷、その人にやられたの…」

「……!…そうだったのですか………」

申し訳ございまさん。と西原が言ったが西原はなんも悪くない。

「怜斗様は普段大人しく周りからもいろいろ言われてるので、愛花様に当たってるのだと思います……」

あの人は私に当たるようになったのは、ここ数年だ。

「……ねぇ、西原。さっきの話に戻るけど、なんで私生きてるのかな?」

「それは私にも…」

それはそうだ。西原が私の生きてる理由を知ってたら、びっくりだ。そもそも西原は私が亡くなったと、ずっと思い続けてたから知るはずもない。

──ズキン。

また頭が痛くなってきた。

思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、思い出せ、もうここまで来たら思い出せ!!!!!!!!!!あの時のことを!!!!!!!!!!

もう一人の私が次は思い出せと言い始めた。頭が混乱する。

「はぁはぁ…」

「愛花様?」

意識が朦朧とする。

「愛花様?愛花様!!」

私は意識を手放した。

最後に聞いた声は西原が私の名前を呼ぶ声だった。

(私、死んじゃうのかな……?)


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